
いつも利用している図書館の新着本リストで、タイトルに惹かれて手に取ってみました。
1984年に出版された「古代エジプト動物記」を改題したものとのことでちょっと古い本ですが、変わった切り口なので気になったものです。
読み通しての感想ですが、私が勝手に思い描いていた内容とはかなりズレていました。
もう少し対象の “動物” にフォーカスして、その生態や当時の人々との関わり方をもっと立体的に解説しているのかと思っていたのですが、実際は、王家や宗教等を柱にエジプト王朝の中でのそれぞれの動物の位置づけを多くの “ピラミッド・テキスト” からの引用を示しながら顕かにしようと試みた著作でした。
もちろん、それでも数々の興味深いトピックは紹介されていました。それらの中から特に私の関心を惹いたところをひとつ書き留めておきましょう。
対象は “馬” です。
(p282より引用) 馬の主たる用途は軍事用であって、おおむね二頭だてで曳かせる戦車は戦場の主役であった。その活動の姿は、王の記録だけでなく、貴族や軍人の記録に描かれた。ここで「記録」というのは、文字記録だけでなく、神殿、記念碑、墓室の画やレリーフの芸術表現も含むのであって、ここで描かれる馬の姿はまさに颯爽たるものであった。芸術家は躍動する馬を描くことに情熱を傾けた。こうして、馬は、新王国時代の芸術に革命的な活気を与えた。
この芸術性の高まりが、第18王朝のツタンカーメン王の数々の遺品や第19王朝のラムセス2世の建造物のレリーフや絵画に残されたのでした。
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