いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
日本が“先進国”と言われていたのはもう昔の話でしょう。社会状況を表す様々な指標を国際比較すると、むしろ “日本の後進性” が際立ちます。
本書は、海外の記者が感じる数々の「日本社会の特殊性」を紹介したものです。
取り上げられたテーマをいくつか書き連ねてみましょう。
・なぜ日本人は銀メダルでも謝罪するのか
・なぜ日本の政界は世襲政治家が多いのか
・“ファックス”をやめられない理由
・日本の会社員を縛る義理チョコはなぜなくならないか
・「居眠り」は勤勉の証!?
・日本で年功序列が続く理由ーなぜ年上が「エラい」のか
・日本人の自殺率はなぜ高い
・「日本の老舗」の生存戦術
・なぜ日本の若者は「内向き」になってしまったのか
・なぜいつまでも女性スポーツ選手に「女らしさ」を求めるのか
・日本の若者の投票率はなぜ低いままなのか
なかなか興味を惹くような「お題」もありますが、読んでみると、正直なところ、論考としての説得力には今ひとつの感がありました。
たとえば「日本で年功序列が続く理由」について解説した記事では、こういった分析が紹介されています。
(p73より引用) 日本で年配男性が覇権を握っているのは、日本の人口動態の影響も考えられる。日本の全人口の4分の1以上が65歳以上の高齢者で、これは世界で最も高い割合だ。・・・ 日本では、年齢こそが他のあらゆる素質を上回る最大の物差しとみなされていることが多いのである。・・・
日本で年功序列制度が続いているのは、安心感が得られるからだ。 労働者たちは、年功序列制度をキャリアの道しるべとしている。さらに、彼らは子供の頃から年齢による上下関係を徹底して教え込まれているのだ。
確かに表層的な現象はそういった面があるとは思いますが、高齢者の割合がそれほど高くなかったころはどうだったのか? 今の教育も上下関係を重んじるよう教えているのか? 年功序列制度が続いている理由は「安心感」が最大か?企業側の管理上の理由もあるのではないか? 等々、もう少ししっかりと掘り下げた考察が欲しかったですね。
強いて面白い指摘だと感じたものを挙げるとしたら、最後の章「第5章 日本の深奥」、“海外メディアが日本の皇室をどう見ているか” が語られているパートでしょうか。
そこでは、海外記者と同様に私も違和感を感じるエピソードもあれば、知らなかった事実やいつもとは違う立ち位置からの新鮮な指摘も紹介されていて、まあまあ刺激になりましたね。
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