著者は、組織の腐敗傾向をもたらすメカニズムとして以下の二つをあげています。
「ルールの複雑怪奇化」
(p179より引用) 組織において、古いルールや手続きなどを廃棄処分にして、新しいルールや手続きを作るという新陳代謝が起こりにくく、古いものはそのまま残り、新しいものがその上に追加的に付け加わっていき、その結果、古い組織ほど複雑怪奇なルールをもってしまう
「成熟事業部の暇」
(p179より引用) 成熟事業部では皆が仕事に慣れてきているので、仕事遂行能力が余っており、その余った時間で内向きの無用な仕事が次々と生みだされてしまう
また、組織の腐敗の回復策として、著者は、「既存秩序の徹底破壊」「思い切った若手の人事異動」「暇と忙しさのメリハリ」を提案しています。が、私は、これに「建設的な雑談の推奨」を付け加えたいと思います。
これは、著者が「高質な雑談」として注目しているものです。
(p208より引用) 実は、会社が優れた意思決定を生みだせるか否かを大いに規定しているのは、社員の間で語られる雑談の質である。・・・外向きの高質な雑談が日頃から行なわれている組織では、戦略審美眼が高まり、トップが目指している全社戦略が何であるのか、事業部長が目指している事業戦略の決定的なポイントがどこにあるのか、といったことを従業員が感じ取る感受性が高くなっている。従業員たちが戦略の本質を鋭く感じ取れるようになっていれば、トップも戦略を従業員たちにストレートに投げかけやすくなる。
柴田昌治氏の著作「なぜ会社は変われないのか」などで提唱されている「オフサイトミーティング」と同じコンセプトです。
このミーティングは、「おかしいと思うことをおかしいと言えるようにする」という極めて当たり前のことを実現するのが目的です。その第一歩として,「気楽にまじめな話をする場」をつくることを薦めています。
社員が何人か集まると、自然に真面目で建設的な雑談の輪ができるようであれば心配はありません。組織の心臓部は健全に動き続けています。
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