畑村氏が論じる「決定」には、「個人」としての決定についてのみならず、「組織」における決定もスコープに入れています。
個人としての決定を「組織として共有」することの意義を説きます。
(p56より引用) 自分がどんな背景で何を考え、何に制約を感じ、何に迷ったのか。そして何を決めたのか。真に決定を共有するということは、そうした決定のプロセスを相手に理解してもらうということです。決定が共有できなければ、組織力は発揮できないし、組織を改革・改善するエネルギーも生まれてこないと思います。
ひとり一人の決定が共有化され「個々の思考のネットワーク」ができると、組織としても、個々のメンバとしても、考えの広さ・速さが格段に向上します。
(p276より引用) 大切なのは一人一人、個々が全体を意識しながら独立して考え、行動することです。それぞれが独立した状態で自由に物事を考えれば、各人の個性に合わせてその思考領域は広がります。そして各人に共通する思考領域を足がかりにすれば、他者の考えも超高速で理解できるようになる。そうなれば、自分では考えつかなかった他人の思考や他人の経験を自分のものとして活用できるのです。
あと、この本を読んでの気づきです。
それは「想定外」の効用についてです。
いままで、後発者としての強みを活かして発展してきた日本は、分野によっては、トップランナーの仲間入りをしました。先頭を走るものは、先人の経験を辿ることはできません。自らがリスクを想定し、それに対応しなくてはならないのです。
当然、「想定外」のことが起こります。畑村氏は「想定外の事態」を「進歩の契機」と捉えています。
(p271より引用) 想定外の事態にぶつかったということは、フロントランナーの証です。他に頼る術のないフロントランナーにとって想定外の出来事はいわばダイヤの原石であり、原石を磨き上げることが“進歩”につながるのです。「そのダイヤモンドの原石をただの石ころだと思って蹴飛ばしてはいけない」
つまずいた石をよく見ましょう。拾い上げてみましょう。
「転んでもただでは起きない」気構えです。
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