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マキアヴェリの「運命と自由意志」論

2005-10-10 15:27:47 | 本と雑誌

(p189より引用) この世の事柄は運命と神とによって支配され、人間は自らの思慮を用いてその動きを変えることはできず、それに対しては手の施しようがない、という意見を多くの人々が昔から懐き続けている。・・・しかしながら人間の自由意志は消滅せず、したがって運命はわれわれの行為の半分を裁定するが、他の半分、あるいは半分近くはわれわれが支配するよう任せているのが正しいのではないかと私は判断している。

 先のブログでも書きましたが、マキアヴェリは実証的・論理的な思考様式の持ち主であり、その姿勢も「王道」だと思います。

(p192より引用) もし人が時勢や状況の変化に応じて、自らの行動を変えてゆくならば運命は変化しないことになろう。

 このように、マキアヴェリは変化への対応の重要性を指摘していますが、同時に現実も冷静に見ています。

(p192より引用) かかる状勢の変化に適応できるほど賢明な君主は見当らない。それというのも人間は生来の性向から離れることができず、またある方法によって常に成功した人間にその方策を捨てるよう説得することはできないからである。

 とはいえマキアヴェリは運命を黙って受け入れることを決して容認してはいません。果敢に行動することにより、自ら運命を切り開くべきと訴えています。

(p194より引用) それゆえ次のような結論が得られる。運命は変転する。人間が自らの行動様式に固執するならば運命と行動様式とが合致する場合成功し、合致しない場合失敗する。私の判断によれば慎重であるよりも果敢である方が好ましいようである。・・・運命の女神は冷静に事を運ぶ人よりも果敢な人によく従うようである。

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