ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

土地

2012年01月21日 01時36分01秒 | 日記
ブ、ブレーキがない!
配属先に行こうとしたら、私の自転車の左のブレーキがない。
誰かが倒して壊したのだろうか。
ブレーキのコードがぶっ飛んでぶらりとぶら下がっている。
スポークも折れちゃってるじゃないか。
      

タイヤの空気がないのはいつものこと。
だけど、ブレーキがないのは困るなあ。
こいでみるとシャカシャカと変な音がする。
がんばれ、私の自転車!
自転車の賞味期限は一足先に切れちゃったのか。
だけどプレーキはまだ1つ残ってる。
賞味期限がなんのその。
実質どうか? まだまだいける。








私を娘のようにかわいがってくれるナムプリック屋のお父さんとお母さんから、
今週は毎日夕ご飯を食べに来なさい、といわれ毎日毎日一緒に食べた一週間。
私もそれならば何かつくりたいと、一日おきに日本食を作った。
肉じゃが、親子丼、焼きそば。
どれも、唐辛子を隠し味に入れてちょっとピリッとさせてみた。
今週の一番のヒットは親子丼。
油も使わず、こんなにおいしいなんて、日本食はすごいねえと絶賛。
   


ラッキーもしょっちゅう日本食を食べて、最近では
「タイ料理は食べずに残すけど、日本食はおかわりする。
 ラッキーはもう、いつでも日本に行けるぞ、さちえ!」
とお父さんが喜んで言う。
はぐはぐはぐ 親子丼をおかわりして3杯食べたラッキー。
      


年をとったからもう料理はしないと言っていたお母さんが
毎日ごはんを作って待ってくれる。
あしたは「กล้วยบวชชี クルアイブアチー(バナナのココナッツ煮)を作るから!」
と、毎日明日のメニューを決めて、私が来て食べて
「セーーブセッブ!」(すごーーくおいしい!!)と言うのを楽しみにしてくれている。
      


お母さんは配属先に持って行きなさいと何やかやともたせてくれる。
配属先では食堂のおばちゃんからおかずをもたせてもらい、
それをもってナムプリック屋にいく。
果物屋のおばちゃんからは果物をもらい、またそれを持って配属先へ。
行った先々で、もらった経緯を話し、話しながら一緒に食べる。
もらったものには私を気にかけてくれる愛情が入っていて、
それを媒介としてみんなと話し、日に日に仲良くなれる。
まるで潤滑油のように私と周りの人たちを近づけてくれている。





昨日お母さんが言った。
「明日はトチの誕生日なの。」

お母さんの姪っ子の子どもであるトチは事情があって自分の両親とは暮らせない。
だけど、タイではそういう子はよくいて、こんな風に親戚と暮らしていたり、
おばあちゃんと暮らしていたりする。
日本は核家族化と、タイ人に比べてもともと他人との関わりが薄いためか、
親子の密着度が濃く、親の愛情が欠けるととたんに子どもは生活そのもの、
人格形成にも大きな影響を受けるように思う。
だけど、タイでは親と暮らせない子どもも、親以外の大人たちからかわいがられて、
これが当然というように育っていく。 
たくましく育っていく。


トチもナムプリック屋の従業員から学校にバイクで送り迎えされ、
ナムプリック屋で遊び、
従業員のみんなからかわいがられてたくましく育っている1人。



配属先から帰って、私の部屋で急いで描く。
「Happy Birth day とち」
小さな横断幕を店の前に貼る。
      


誕生日と聞いては、トチが喜ぶものをつくってあげたい!
子どもが喜ぶ食べ物と言えば・・・ ハンバーグ 、ポテトサラダ。
どちらもタイにはない、一般家庭の食卓ではまず見ないもので、トチも食べたことがない。
私も大好きなポテトサラダ。タイの人も好きかな?
できあがっても「どうやって食べるの?」と不思議そうに聞く人たち。
このまま食べるの。
      


子どもの定番、ハンバーグ。
パン粉がないのでお徳用パンの耳を買ってきてちぎってつかう。
タマネギは泣きながら切る。 
ぽろぽろ出る涙はお母さんに拭いてもらう。
親子丼は作り方が簡単で、お母さんも自分も作れる!と自信を持っていたけれど、
ハンバーグは
「難しくて、覚えられない!」とギブアップ。

話しかけられてもまともに答えられないほどに集中して、
50分で8個の巨大ハンバーグとポテトサラダを完成。
      


ハンバーグにポテトサラダに、お母さんが注文したステーキが並び、
店の前で店の職員もみんなでトチの誕生日パーティ。
      


たーくさんのプレゼントを渡されて
    


プレゼントの包装紙をバリバリ破いて
このときが一番ワクワクする時。
      


私からのプレゼントはトチにそっくりなプーさんのぬいぐるみ。
「トゥッカター!!(ぬいぐるみ)」と箱をのぞいて
喜んで大きな声で叫んでいたトチ。
     
 

ケーキを食べて誕生日パーティは終了。
     


帰り際にトチが
「じゃあね。」
と日本語で言った。
私が教えたことはない。
きっと、言いたいと思って自分で調べたのだろう。
寡黙で照れ屋でなかなか私とも話さないトチが言ってくれた「じゃあね」。
とてもとても嬉しかった。


トチの本当の名前は「プーミ」。
広い土地という意味。
バンコクのスワンナプーム空港も正しくは「スワンナプーミ」で
「広い土地」という意味が入っている。
日本語ではなんて言うの?とお母さんから聞かれ
「土地」と答えたら、その「トチ」という響きがかわいいとうけて、
それからみんなが「トチ トチ」とタイの名前そっちのけで呼ぶようになった。
本人も気に入っていて呼ばれるとニンマリする。


トチ。 
広いタイの土地のように、赤いイサーンの土地のように
雄々しく豊かに育て、トチ。
豊かにたくましく育て タイの子どもたち。

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