ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

活動準備

2011年11月17日 20時36分51秒 | 日記
日本に帰国中、考えていたのはタイの人たちのこと。


洪水で被害が広がっている間は、日本いる私にできることは何だろうと考えた。
募金をすることもだが、このブログでタイのことを知ってもらうこと、
関心をもってもらうことは、私にできることじゃないかと考えた。


タイにいる仲間や、世界にいる隊員仲間のことも考えた。
素晴らしい出会いに感謝したい気持ちになった。


タイの人たち、コンケンの人たちのこと。
私が帰国しなければならないと分かったとき、果物をどっさりと持たせてくれた大家さん、
また会いたいと泣いてくれた果物屋のおばちゃん、
忙しい中アパートまで会いにきてくれた配属先の同僚、
泣いてくれた配属先の人たち、
心から悲しそうな顔をしてくれた食堂のおばちゃん、
「今度帰ってくるときにはおみやげは何がいい?」と聞く私に
「さちえが元気に帰ってくれたらなにもいらない。」
と言ってくれた同僚。

その人たちにもう一度会いたい、役にたちたいと強く思った。


そして、活動のこと。
配属先では、うまくいかないことがたくさんあった。
ものを使いたくても勝手が分からない、伝えたいことが伝わらない、
伝えるだけの時間をとってもらえない、迷惑をかけたくない、
私のせいで仕事を増やさせたくない、遠慮して小さくなっていた。
作業療法士で肢体不自由の子どもが座れる椅子を造った前任者に比べられ、
「さちえは何を造るの?」「何をしてくれるの?」と言われることで
満足されていないのかと思い、自信をなくしてしまった。
何の役にも立ってない気になり、自分の価値がないようにさえ思えた。


けれど、中間報告会のためにこれまでの活動を振り返ってみたとき、 
         (→ 過去ブログ 2011.6.17 「中間報告会」 7.10「バンコク週報」
私には作業療法士のようなリハビリも椅子作りもできないけれど、
自閉症のクラスでは、地道に関わり続けることで
子どもたちの変化があり、保護者にも変化があり、先生にも変化があったことを
確かに思えた。 
できていたこともたくさんあるんじゃないかと。
      


満足できなかったのは私。
言葉を伝えられなかったのも私。
再赴任したら、残り任期はあとわずか。
日に日に残り任期が気にかかる。

短い時間で、何がやれるか日本で有り余る時間に考えた。
    

日本帰国直前のこと。
いつものように、「次はさちえは何をするの?」と聞かれたとき
3つの提示をした。
私がいなくなっても、このセンターで持続可能な活動。

  1つは  障害の状態を把握するためのチェックリストづくり
  2つめは 保護者や先生が自閉症の子どもに接するときの注意やアドバイスを書いたガイドブックづくり
  3つめは 音楽と身体表現によって、運動感覚訓練や情緒の安定を図るミュージックケア。


3つめのミュージックケアは、人の受け売りで私自身はやったこともなく、
資料も全く足りない。
私にしたら、実情に即して最も重要だと思うのは、1つめの障害の把握チェックリストと
2つめの自閉症の子どもへの対応マニュアルだった。
しかし、配属先の人たちは3つめのミュージックケアに飛びついた。


確かに、音楽と見かけの華やかさはタイ人が好きそうなものだから、飛びつくのもわかる。
しかし、私には自信がなかった。
でも、がっかりされる顔を見たくなくて、自信がないと言えなかった。
準備をしようと思っても、タイにいてその資料集めも、準備もままならなかった。
窮地に立たされ、追い込まれた気分だった。


そんなときの帰国。
日本に帰ったこの時間、ミュージックケアの資料を必死に探した。
福祉施設で働く姪が一緒になって資料を見つけてくれ、練習してくれた。
楽譜を見て、想像して、こういう障害の子にはこう、とイメージトレーニングをした。
140ページある資料は、ひととおり、どの楽譜も対応できるように準備した。
   


楽器も準備した。
本来なら、ものを持ち込むのではなく、タイで入手できるものや手作りしたものを使い、
私がいなくなったあとにもタイ人だけでやっていける環境を残すことが望ましいが、
その時間がない。
100円ショップをまわって、肢体不自由の子でも持てる握れる楽器、鳴らして音を楽しめる楽器、
聴覚障害の子でも、音が出たら目で分かるおもちゃの笛。
どっさりと用意した。
      



タイへ持ち帰る荷物のほとんどは、楽器とおもちゃと資料だ。
準備はできた。
自信のなさは、十分な準備で補うしかない。

日本の空気をたくさん吸って、たくさんおいしいごはんを食べて、力を蓄えた。

あとは、やってみるだけ。
       






最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。