Runrun日記

結婚願望



今日は、図書館に行って、山之口貘さんの詩集を借りてきました。以前は持っていたのですが、断捨離のため処分してしまっていた。読みたい本は、図書館で借りれば良いと云うんのが、私の主義だから。

◇◇◇◇◇

『若しも女を摑んだら』

若しも女を摑んだら
丸ビルの屋上や煙突のてっぺんのような高い位置によじのぼって
大声を張りあげたいのである
つかんだ

つかんだ

つかんだあ と張りあげたいのである

摑んだ女がくたばるまで打ち振って
街の横づらめがけて投げつけたいのである
僕にも女が摑めるのであるという
たったそれだけの
人並のことではあるのだが

◇◇◇◇◇

私が山之口貘さんの、こんな詩を思い出したのは、息子が遅ればせながらも結婚したからです。
この詩は、何とも素直に男の気持ちを現わしているではないか。
貘さんは、貧乏詩人でも結婚願望が強かったらしく、その手の詩を沢山残しています。
付き合っている娘が詩人ではなく俳優に興味が有りそうな事を書いた『座談』とか、もっと直接的に『求婚の広告』とか(笑)

◇◇◇◇◇

『畳』

なにもなかった畳のうえに
いろんな物があらわれた
まるでこの世のいろんな姿の文字どもが
声をかぎりに詩を呼び廻って
白紙のうえにあらわれて来たように
血の出るような声を張りあげては
結婚生活を呼び呼びして
おっとになった僕があらわれた
女房になった女があらわれた
桐の箪笥があらわれた
薬缶と
火鉢と
鏡台があらわれた
お鍋や
食器が
あらわれた

◇◇◇◇◇

この後に、炭を買いに行ったけれど売って貰えなかったという『炭』という詩を書いているので、貘さんは、結婚してからも貧乏だったのではなかろうか。『結婚』と云う詩では、結婚前には「結婚、結婚」と泣いていたが、結婚後は「おかね、おかね」と泣くようになったと書いています。

永らく独身貴族生活をおくっていた息子はそのような事は無いだろうが、私はひたすら息子夫婦の幸せばかりを願う親馬鹿です。

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