戦前に美しい書物を数多く輩出した第一書房。
全容の解明の手助けになればと、家蔵の第一書房本を整理分類し、少しづつではありますが公にしていきたいと存じます。
この企ての先達は、勿論『第一書房長谷川巳之吉』(1984年 昭和59年 9月14日 日本エディタースクール出版部 )でありました。
企画に参画した林達夫、福田清人、布川角左衛門の編集諸氏には、頭が下がります。
皆様すでに鬼籍に入られていらっし . . . 本文を読む
白革装も美しい清楚な『ディラン・トマス全詩集』を紹介します。
すべてのすべてのそしてすべての乾いた世界が
II
はたらいている世界を恐れるな わが死すべきものたちよ
むらのない綜合の血を恐れるな
また 助骨をなす金属のなかの心臓をも恐れるな
踏み車を 種を入れたひき臼仕事を 恐れるな
引き金と鎌を花嫁にとっての刃(やいば)を
恋する男の手荒い行為の際の燧石を 恐れるな
ディラン・トマス(田中清 . . . 本文を読む
第一書房の戦時体制版『世界文学五十講』に、ルバイヤートが掲載されているのを発見しました。
アメリカ人のジョン・アルバート・メイシーが著した世界各国の文学書抄録を翻訳家の内山賢次が訳したものです。
1940年(昭和15年)8月30日に初版3000部、頒価1円80銭で刊行されました。
『世界文学五十講』 ジョン・アルバート・メイシー 内山賢次訳 第一書房戦時体制版
1940年(昭和15年)8月 . . . 本文を読む
丸善本店で「現代フランス文学 受容と展開」と題された展覧会が開かれています。
「ヴァレリー、コクトー、サルトルらの貴重な草稿、書簡から永井荷風、堀口大學が三田の文学者による訳業、研究までを展示。フランスの知性と感性をどう受け止め、日本の文学の土壌にどのように展開してきたのか、その創造的な受容をたどります」とのこと。
慶應義塾大学図書館蔵の数々の貴重な手紙、貴重書籍が鑑賞できます。
それも、無料で . . . 本文を読む
もう少し、平凡社版『ルバーイヤート』を取り上げてみます。
第56歌(岩波版第67歌)を鑑賞しましょう。
まず、岩波版から。
岩波版 第67歌
昨夜酔うての仕業(しわざ)だったが、
石の面(も)に素焼きの壺を投げつけた。
壺は無言の言葉で言ったー
お前もそんなにされるのだ!
四行詩らしくかちっとまとまっています。
ただ、最後の四行目。
「お前もそんなにされるのだ!」。
推敲の余地ある言い回しの . . . 本文を読む