江戸のグラフィズムと副題の付いた『草紙絵図案帖』が、監修に浮世絵界の重鎮・服部仁を選んでマリア書房から出された。
題から推測するに、入手困難な江戸時代の貴重な合巻、草双紙の表紙や袋絵などが満載された快作と思い購入したが、残念ながら、どうやらそうではないらしい。
大正から昭和初期にかけて、かなり手抜きで復刻された別の意味で有名な『草紙絵図案帖』をベースに、今風な装訂デザインで掲載された復刻版の再収録 . . . 本文を読む
大江精志郎の『人生觀學-世界觀學-』を紹介しよう。
第一書房から、1938年(昭和13年)5月25日、初版1500部で出版された。
『人生觀學-世界觀學-』 大江精志郎 1938年(昭和13年)5月25日
初版1500部 200×139ミリ 函 255ページ 1円50銭
戦前ドイツの思想家、ハインリッヒ・リッケルトを師と仰ぎ、彼の価値哲学を継承発展させる思想を展開した255ページからなる . . . 本文を読む
国家間の条約は、締結した時期の環境に左右されるのか。
条件が違えば、なかったことにして再度交渉できるのか。
常識からすれば、締結時に整った内容は、致し方なしと秘かにかみ締め乗り越えるのが正論ではないのか。
それならば、日本人として一番先に言うべきことがあるはずだ。
敗戦時、致し方なく結ばれた条約調印は、絶対に見直すべきである。
すくなくとも、戦争犯罪として3月10日東京地区へのホロコーストや広島 . . . 本文を読む
島崎藤村の『破戒』初版は、1906年(明治39年)3月20日に自費出版で緑蔭叢書から出された。
初版の古書価格は、昔からべらぼうに高い。
ある古書店主、宅買いで古書を引き取りに行った。
雑本ばかりでガソリン代にもならないと嘆いていたところ、屑山の中から『破戒』初版がポロリと覗く。
近代文学館の復刻本かと悪い予感が横切る。
だが、どうやら本物。
美本で一安心。
喜び勇み手に取れば、残念無念。
表紙 . . . 本文を読む
第一書房から全10冊が発行されたフランス現代小説シリーズ。
1936年(昭和11年)から翌年にかけて、四六判、布装訂、頒価1円50銭で堀口大学、菱山修三、青柳瑞穂、佐藤朔らの訳により刊行された。
そのなかから、最近の古書展で拾った1冊を紹介しよう。
ジュリアン・グリーン著、新庄嘉章訳の『閉ざされた庭』だ。
古書価格は、わずか200円。
平の布も美しい美本が、である。
『閉ざされた庭』 ジュリ . . . 本文を読む