五反田の猫
枯れた向日葵 . . . 本文を読む
ルミイ・ド・グウルモン著、堀口大学訳、秋朱之介装訂による『彼女には肉体がある』(120×90ミリ)。1934年(昭和9年)7月1日、裳鳥会より150部限定出版されました。革背に金箔でタイトルが押され、平は淡い翠色の丸く波打つシルクが使われています。天金も美しい袖珍本です。利休鼠色の張り函に表題の印刷は無く、ただ限定番号のみが奥付と同じ筆使いで背に書かれているだけです。記入者は秋朱之介でしょうか。刊 . . . 本文を読む
登場する男性が弁髪ではないため、明時代の春画ではと推測します。岩絵具を使用した非常に能筆な絵師で、女性の顔も愛らしく中国美人をうまく表現しております。水墨画調の木、岩の描き方も緻密で見ていて楽しくなる図です。全12図あり今まで様々な図録で紹介されてきた中国の春画中、最上級の部類に入るのではないでしょうか。淡いブルーのシルクで縁取られた帙に入っております。残念なのはシルクがほとんど残っていないのです . . . 本文を読む
iPhoneが登場して2ヶ月が過ぎました。巷間いろいろと雑音も聞こえてきますが、私は購入して非常に良かったと思います。
好きな音樂をいつでも聞くことができるし、インターネットもいつでも見ることができます。小川亮作の『ルバイヤート』も青空文庫にワンクリックでアクセスしていつでも読むことができますし、2chを読むことも投稿することも簡単です。ブログの更新も特別な設定なしにできます。その上電話の機能が . . . 本文を読む
東京・日本橋地区は今再開発中です。「江戸回帰」がテーマのようで、三越の店頭に暖簾がつきました。風に揺れて綺麗ですね。
越後屋呉服店 残暑一陣乃風 劈頭揺暖簾如 (よ)
三越の向かいには、石見銀山で有名になった島根県物産センターがあり、手作りの和紙でできたお面や銀製品が売られています。 . . . 本文を読む
音樂
何びとの手がかって
おまへを縛めたであろうか、
地上のあらゆるものが
呻きを立てながらひれふし
力のまへに虐げられるとき……
闇にしづかな月夜をおもひ、
水にしたゝる靜かさに
ほのかに羽をひらく白鳥をしのび、
夜空のかなた星屑の
きらめくかなたに天使を追ふ──
*
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魂は音樂の上に
狂ひ死したる女兒の黒瞳の追憶の契點に
あゝわが生は色濃くきらびやかに映れりき
わが喜悦はひそやかに茂林の間隙を漫歩りく
心の吐息を愛でいつくしめ
あゝ わが七情をばかの積雲の上に閃きいづる
賢き金星に鉤掛け
肉身は四月の夜の月光の香氣中に溶解しめよ
*
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一旒の旗がはためき
山脈のいただきに
音が砕けるとき 夜は
静かな庭のひとむらに
きみを抱いて 空を
果てしなく空間を舞う
そこで長い永い時間
豊かな乳房を吸って
稚児のように酔い
いのちの果てまで飛びつづける
やがて
折れた音楽が朝を告げ
ぼくはふたたび 風のはためきのなかに
立つ
*
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またしても太陽は悲鳴をあげる
僕は雲のトンネルに飛びこんだ
あたり一面シヤボンの泡だらけだ
ああ 眼に苦く心臓に沁みる
僕はここに在る さうして無い
僕は僕を完全に紛失した
それなのに明るい雲のトンネルだ
またしても天使は忠告する
君は君を完全に紛失すべきである
完全なる紛失は完全なる發見である
そして現在必要なる事柄は
雲のチウイン・ガムを噛むことだ
そこに君は君の歯を發見するだろ . . . 本文を読む
月よ
漂ひゆく郷愁よ
見知らぬ街々よ
毒ある寶石よ
寶石の絞り汁よ
精神ある鏡よ
玻璃の戀よ
焔なき燈皿よ
時劫の蝋燭よ
第三紀層の夢よ
荒廃の美學よ
古風なる抒情詩よ
新しい抒情詩よ
懐疑なき哲學よ
懐疑ある哲學よ
月よ 月よ。
『詩集 近世無頼』 第一書房 城左門著
「月への詠嘆詩」より
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霙さくら忍冬の花
ありがたいお經のこと
障子に稻妻がうつる暗い夜
少年は祖母にたうもろこしを燒いてもらつて食べる
酒や油や玉子さえ凍るやうな夜
爐邊では葛根湯を煎じてゐる
どこか遠くの家で藁を打つてゐる
霙の音 山のほうから來た霙の音
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『詩集 . . . 本文を読む