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第一書房巡礼行記  大田黒元雄の『過ぎし日の音樂家』

2009年11月03日 00時00分00秒 | Weblog
ロマン・ロオランが1908年に書いた『過ぎし日の音樂家』。
ルネッサンス期のイタリアにおける歌劇の変遷をまとめたものですが、大田黒元雄は、20年後の1928(昭和3年)4月15日に第一書房から初版500部で訳本を出します。
装訂も天金、総クロース装、476ページの堂々たる装いです。
定価も5円とかなり強気。
どの程度売れたのか気になります。

巻末には、ルイジ・ロッシの「オルフェの絶望」第3幕第10場7枚の楽譜が付いています。
演奏のための楽譜にしては、わずか7枚と少なすぎます。
洋書、洋楽が一般に受け入れられていなかった当時の日本人に、雰囲気だけでも伝えたいと考えた大田黒元雄の親心からでしょうか。



『過ぎし日の音樂家』 ロマン・ロオラン著 大田黒元雄譯 1928年(昭和3年)4月15日 
初版 233×165ミリ 500部限定 菊判 総クロース装 天金 函 476ページ 5円


500部本の頒価5円も高くて驚きですが、更に倍の10円の頒価を持つ特装本が存在します。
三方金、背革の多少手が込んだ装訂ですが、用紙に変更はなく奥付も「限定500部頒価5円」の部分に「特装頒価10円」と訂正紙が張り込まれただけの、若干手抜きの造本ですよね。
家蔵本には、東京神田の古書肆・一誠堂の値札が貼れています。
その古書価格も10円でした。

『過ぎし日の音樂家』特装本は、発行部数の記載がないので、どの程度出されたのかは不明です。



特装本『過ぎし日の音樂家』 ロマン・ロオラン著 大田黒元雄譯 1928年(昭和3年)4月15日 
初版 233×165ミリ 菊判 背革装 三方金 函 476ページ 10円


今までの書誌には触れられていない特装本が、第一書房には結構あるように思われます。
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4 コメント

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夜鴉亭日乗・革装丁本の巻 (Roku・Roku.)
2009-11-03 00:48:50
 第一書房の総革・背革、それに五段マウント装丁本だけでも、収集に値します。以前、貴殿が触れられていたように、すでに所蔵している同じ本でも本棚に並べると、天井の高い貴族の館に見られるような書棚に比べようはありませんが、それは壮観です。いつの日か『木下杢太郎詩集』の書影を拝見したいものです。barennsiaに行きましょう。
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余も老けまいりました (夜鴉亭)
2009-11-03 00:56:03
夜も更けて参りました。
お元気で何よりです。
『木下杢太郎詩集』見つかりましたよ。

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特装本『過ぎし日の音樂家』 (VOILA!)
2015-12-17 17:57:13
はじめまして。
古書店にて第一書房刊「パンテオン」の第2号を入手しましてパラパラと眺めてましたところ
ページの最後にこちらの書物の広告が載っておりました。
記載によりますとこちらの特装本は全500部出版の内、30部のみの出版となっております。
現存数を考えますと手抜きの造本とはいえなかなか貴重かと思われます。
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Unknown (夜鴉亭)
2015-12-17 18:30:49
VOILA!樣
ご指摘有難うございます。
三十部ですか。
少ないといえば少ないし。
多いといえば多い。
微妙な部数ですね。

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