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スタンドアップ

2006-01-06 23:57:50 | 映画 サ行
試写会で、出演:シャーリーズ・セロン/フランシス・マクドーマンド/シシー・スペイセク/ウディ・ハレルソン/ショーン・ビーン/原作:クララ・ビンガム/ローラ・リーディー・ガンスラー/脚本:マイケル・サイツマン/監督:ニキ・カーロ/作品『スタンドアップ』を観ました。

●ストーリー
ジョージー・エイムズ(シャーリーズ・セロン)は、夫の暴力に絶えかね、2人の子供・サミー(トーマス・カーティス)とアリス(シシー・スペイセク)を連れて両親が住む北ミネソタへ戻って来た。

10代で相手の分からない子供を生んだ事で、父親のハンク(リチャード・ジェンキンス)はジョージーを「一家の面汚し」と呼び、親子の関係は決して良好とは言えなかった。

両親と同居しながらも、2人の子供を養う為に美容院のシャンプー係として働いていたジョージーだったが、給料が安く、このままではいつまでたっても自分達の家を持てない状況だった。

そんな時、偶然にも美容院で幼馴染みのグローリー(フランシス・マクドーマンド)と再開し、彼女が鉱山で大型ダンプの運転手をしている事を知り驚くジョージー。

グローリーはジョージーの経済状況を察し、彼女にも給料の良い鉱山労働者の職を紹介してくれるのだった。

鉱山労働者である父親からは男社会に入り込んで来る事を反対されるのだが、ジョージーは2人の子供達と一緒に暮らす家を持つべく鉱山労働者として働く道を選ぶ。

しかし、ジョージーが選んだ炭鉱労働者の職場は、全てにおいて男社会であり、共に働く女性の地位は低く扱われ、同僚の男達からは露骨で悪質な嫌がらせを受けていたのだった……。

●感想
『モンスター』でアカデミー主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンが、またもや体当たりの演技をしているという事でこの作品は随分前から「絶対に観よう!」と決めていました。

本作は、1988年にアメリカのミネソタ州で起きた実話を基に作られているのですが、人権にうるさいイメージが強いアメリカでも僅か20年前には、これほど酷い女性差別が職場内で平然と行われていた事に驚かされました。

本作で女性が差別を受ける背景には、海外から質の良い鉱石の流入でアメリカ国内の炭鉱が次々と閉鎖に追い込まれ、「いつ自分が職を失うかもしれない状況で、社会政策に守られた女性達が自分の職場に入って来る」という男達の嫉妬や恐怖感があります。

この事を考えると、男の職場に女が入って来るのに抵抗を示す炭鉱労働者の気持ちも分からないでもないですが、それにして女性に対する嫌がらせが卑猥で悪質過ぎまて、男性の私が見ても無性に腹が立ってしまいました。

職場での卑猥な言葉や落書きはもちろんの事、ペニスを模ったおもちゃをランチボックスに入れたり、誰も来ない場所でキスを要求したり、押し倒したりと街中でやったら、すぐに逮捕されるような行為が職場内では平然と行われていたんですから、閉ざされた社会での集団心理って怖いですね。

女性が職場で受けた差別を上司や社長に訴えたとしても、会社自体に女性を厄介者としか見ない風潮があるので、職場が気に食わない女性には、すぐに退職を勧める始末で全く話にならない訳です。

社長や上司の対応を見ていて腹が立ちましたが、この当時の会社は女性の地位改善という発想が全くなかったんでしょうね。
会社がこの時点で上手い解決策を見出していれば、後で痛い出費をしないで済んだのでしょうけどね。

この様な状況だったので、鉱山で働く女性達は辞めるか我慢するかの選択しかなかったのです。

その中でジョージーが女性の職場での地位改善の為に立ち上がるのですが、男達の報復や会社からの解雇を恐れて、女性達の足並みも最初はなかなか揃わず、裁判で勝訴する可能性が高くなる集団訴訟に持ち込めない不利な状況のまま、ジョージーと弁護士のビル(ウディ・ハレルソン)は会社を相手に裁判を起こします。

会社側もやり手の女性弁護士を雇い、女性従業員に会社に有利な供述書を書かせたり、法廷でジョージーの長男の出生の秘密を暴露したりと、何でも有りな手段でジョージーの人格に問題がある事を訴える作戦に出ます。

まぁ、この作戦が後で大きな誤算となってしまうのですけど…。

法廷でジョージーの秘密を知ってからの父親・ハンクのとった行動やその後のジョージーに接する態度の変化が、前半ではあまりにも冷たかっただけに大変感動させられました。

全編を通じて父親役のリチャード・ジェンキンスの演技は実に素晴らしいです!
私としては、アカデミーの助演男優賞をこの人にあげたい気分になりました!

友人のグローリーを演じたフランシス・マクドーマンドも巨大なダンプをスタント無しで運転したり、元気な時から難病にかかり、身体が弱って行く様を実に見事に演じています。
この人の名演は、アカデミーの助演女優賞を獲るかも知れませんよ。

ジョージーを優しく支える母親・カレン役で存在感を示してくれたシシー・スペイセク、グローリーの夫・カイルをこれまでにない良い人役で見せてくれたショーン・ビーン、普段はシャイだがジョージーを助ける為に熱弁を振るった弁護士・ビル役を好演したウディ・ハレルソン、昔のジョージーの恋人で昔の秘密を知る同僚・ボビーを、観ていて思わず殴りたくなるくらい絶妙に演じ切ったジェレミー・レナー等の脇を固める出演者達の演技も実に素晴らしいので、こちらも是非、注目して観て欲しい作品です。

●採点
私のこの作品に対する評価は75点です。

主演のシャーリーズ・セロンを含めて主要な登場人物を演じている俳優陣の演技のレベルがとても高いので「観る価値有り!」な作品だと思います。

特に女性は共感した人が多かったみたいで、私の両脇に座った女性の方はハンカチで何度も目元を拭っていました。

試写会前に司会のお姉さんが言ってたのですが、シャーリーズ・セロンの母親もシャーリーズがまだ幼い時に夫から激しい暴力を受けていて、自分と娘を守る為に夫を殺害したそうなんです。

幸いにも、母親の行為は正当防衛として認められ服役はしないで済んだそうなんですけども、それから女優になるまでシャーリーズは大変苦労したそうです。

そういう彼女の背景を考えると、映画に出始めた時に見せた「美しい容姿にも係わらず、異常なまでの脱ぎっぷりの良さ」も「女優として大成する為に必死だったんだな~」って理解出来ました。

そう言う訳でこの作品は、骨太な実話を基にしたアカデミー賞最有力作品を堪能したい方と幸せな明日を願うすべてのシングルマザーにおすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、もうすでに次のシャーリーズ・セロンの主演作『イーオン・フラックス』が観たくて仕方がない!って思ってしまっているのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みます。



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2 コメント

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ハンク役の (Zero)
2006-01-15 12:33:02
リチャード・ジェンキンスには、ぜひ!アカデミー助演男優賞とって欲しいですねぇ!



ジョージーの母役はシシー・スペイセク(キャリー!!)デス。カレンは娘です。小さい訂正でした。
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こんばんは。 (rohi-ta)
2006-01-15 22:45:35
>Zeroさん、コメントありがとうございます。

シシー・スペイセクの訂正、本当にありがとうございます。

間違えてコピペしていたのに全く気付いていませんでした。

役者陣の熱演が輝る映画でしたね

リチャード・ジェンキンスには是非、アカデミー助演男優賞とって欲しいです

それでは、また
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