映画館で柳葉敏郎、哀川 翔、田中麗奈、出演の「容疑者 室井慎次」を観ました。
●ストーリー
室井(柳葉敏郎)が捜査本部長を務める新宿の殺人事件の被疑者として取調べを受けていた警官・神村(山崎樹範)が逃亡し、確保しようとした捜査員を振り切り、走って来た車に轢かれ死亡する。
捜査は被疑者死亡で終了するかの様に思えたが、室井が被疑者の遺留品から新たな容疑者へと繋がる物品を発見し、捜査続行を決断する。
しかし、警視庁副総監(大和田伸也)と警察庁次長(津嘉山正種)の出世争いの影響で、このまま警視庁の不手際として事件の終結を望んだ警察庁は室井に捜査の中止を命ずるが、室井はこれに従わず、真実を見つける為に新宿署の刑事・工藤(哀川 翔)達と協力し捜査を続行すること決心する。
しかし突然、捜査本部のある新宿署に東京地検の検事・窪園(佐野史郎)が現れ、室井に『特別公務員暴行陵虐罪の共謀共同正犯』による逮捕状を示し、工藤達の目の前で室井を連行して行くのだが、、、。
●感想
「なんだか、とてつもなくテンポの悪い作品だなー」っていうのが、観終わった後の私の最初の感想でした。
ストーリー自体もさほど盛り上がることも無く、オチもショボいので、なんとなく終わってしまった感じが強いです。
前半に室井さんが逮捕され、告訴した側の弁護士・灰原(八嶋智人)に過去の辛い出来事まで暴かれ、警察官としてかなりの窮地に追いやられてしまい、観ている方は「これから、どうやって室井さんはコイツらをやっけてくれるのだろう!」と期待するのですが、室井さんは何もしません。
室井さんは、ただ助けられるだけです。
しかも、室井さんを窮地に陥れた警察庁及び警視庁の幹部、弁護士の灰原には何のお咎めもありませんし、、、。(権力や法の知識があれば何をしても許されるのかよー!)
おまけに室井さんは真犯人に対して、謝ったりなんかしちゃってますし、、、。(まぁ、室井さんらしいと言えばそれまでなんですが。)
はっきり言って「なんだコレ!」ってストーリーです。
前半で主人公に試練を与え、観ている側にストレスを与える手法はいいんですよ!王道ですから。
しかーし!その前半に観ている側が溜まりに溜まったストレスをきっちりと解消できるように後半を作らないと、観てしまった者はそのどうしようもないストレスを抱えたまま嫌な気分で家に帰らなきゃならない訳なんですよ!
そこを、この制作者達は誰一人として分かっていない訳なんですよ!
警察の組織の説明だって不十分で、肝心な警察庁と警視庁の違いすら説明しようとしていません!
もし、一般人100人に「警察庁と警視庁の違いを分かりやすく説明してください」って質問して一体何人がキチンと答えられるでしょうか?
私が思うに約10%くらいなものでしょう。当然、私も答えられない人だったんですが。(家に帰ってパンフレットを全部読んでやっと違いを理解しました。)
そんな状況でこの映画を心から楽しめる作品だと制作者達は思っているのでしょうか?
説明不足で、盛り上がりも無く、オチもしらける様なストーリーの映画に当日券大人1800円(子供達の料金は知らない。)もしくは前売り券1300円を出し、休日の貴重な時間を割き、公開されるのをまだかまだかと非常に楽しみにして観に来た観客達を前にして、監督・脚本の君島良一、制作の亀山千広は胸を張って「どうです!面白かったでしょう!」と言えるのでしょうか?
もし彼らが「胸を張って面白いと言えます!」と言うのであれば、彼らの頭の中はすでに面白い映画を作る脳細胞が全て死滅している証(あかし)なので即刻、日本映画界から姿を消し、今後二度と映画に関係する仕事に就くべきではないと進言します!
以前にもどこかで言いましたが、いい役者を揃えて、役者が良い演技をしているんだから、もっと作り手が頑張らないと本当にこれからの日本映画界は良くならないですよ!
脚本をもっと練りに練って、作った者達だけが自己満足する作品じゃなく、感動を観ている側にちゃんと伝わるような作品にしないと映画を作る資格はないと思います。
そんな制作者側の悲惨な状況の中でも、俳優さん達はみんな頑張っていました。
中でも室井さんを助ける弁護士役の田中麗奈ちゃんと室井さんを陥れる弁護士役の八嶋智人さんの演技は必死に役に取り組んだ姿勢が身体から滲み出ていて、とても良かったと思います。
ですが、やっぱり劇中で一番輝いていたのは主役・柳葉さん演じる室井が自分の辛い過去を弁護士役の麗奈ちゃんに打ち明けるシーンの演技だったと私は思います。
●採点
私のこの作品に対する評価は30点です。
もう、言いたい事は「感想」でほとんど言ったのでそちらを見てもらえれば、採点の理由が分かるので、これ以上、説明することも無いと思いますが、家に帰ってパンフレットを読み返さないとストーリーの全貌が把握出来ない映画ってどうなんでしょうねー?
映画館に来た人全員が必ずしもパンフレットを買う訳じゃないですしねー、、、。
「これじゃー、家でのんびりDVDで観た方が良かったよー!」って言わずにはおれませんね!
あっ、でも例の3人トリオ「スリーアミーゴース」が登場するシーンは唯一、笑えましたよ。
青島や和久さんや真下と雪乃さんの話もちょこっとだけ出て来たし。
そういう訳でこの作品は、これまでテレビを含めた「踊る大捜査線」シリーズを全て見て来た人とかなりの警察マニア(警察の組織とか人事などに詳しい方)におすすめします。
最後にどうでもいいことなんですが、この作品を観終わって「容疑者 室井慎次2は無いな!」って思ってしまったのは私だけでしょうか?(柳葉さん、すいません!)
それでは、また何か観たら書き込みします。(今度は「メゾン・ド・ヒミコ」を観る予定にしているんだけど、どうしようかなー?って迷っている次第であります。)