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私、Rohi-taの映画の感想(ネタバレ有り!)と日常を報告するページです。

ユナイテッド93

2006-08-28 20:22:30 | 映画 ヤ行
映画館で、出演:ハリド・アブダラ/ポリー・アダムス/オパル・アラディン/ルイス・アルサマリ/デヴィッド・アラン・ブッシェ/リチャード・ベキンス/スターラ・ベンフォード/オマー・バーデゥニ/スーザン・ブロンマート/レイ・チャールソン/クリスチャン・クレメンソン/ライザ・コロン・ザヤス/ゲイリー・コモック/ローナ・ダラス/デニー・ディロン/トリエスト・デュン/トリッシュ・ゲイツ/ケイト・ジェニングス・グラント/ジェイミー・ハーディング/ピーター・ハーマン/タラ・ヒューゴ/マルセリーヌ・ヒューゴ/シェエン・ジャクソン/ジョー・ジャムログ/コーリイ・ジョンソン/J・J・ジョンソン/マサト・カモ/ベッキー・ロンドン/ピーター・マリンカー/ジョディー・リン・マクリントック/ナンシー・マクダニル/リビー・モリス/トム・オルーク/サイモン・ポーランド/デヴィッド・ラッシュ/エリック・レッドマン/マイケル・J・レイノルズ/ジョン・ロスマン/ダニエル・サウリ/レベッカ・スカル/クロー・シレーン/ベン・スライニー/オリヴィア・サールビー/チップ・ジエン/レイ・ジンマーマン/脚本・監督:ポール・グリーングラス/作品『ユナイテッド93』を観ました。

●感想
 ・この作品、公開前から楽しみにしていたので初日に観に行こうと思っていたのですが、夏の暑さと悲劇的な結末を改めて観直す決断がなかなかつかずにズルズルと日が延びてしまいました。

 ・テロの始まりである「アメリカン航空11便」が予定の進路を外れ、消息を絶ってからの航空管制センターの職員や防空指令センターの軍人達の慌てようが、実によく再現されていて、2001年9月11日にアメリカが直面していた「前例のない危機」を感じ取る事が出来ました。

 ・アメリカの様な情報を重んじる国が、ユナイテッド93便のハイジャックを知ったのが墜落してから4分も経った後だったという事にとても驚き、各管制センター、軍、民間の報道機関で情報が錯綜する様子は「世界の警察」を自負する国としては、非常にお粗末な印象を受けました。

 ・パンフレットによりますと、この映画を作るにあたって監督のポール・グリーングラスは、ほぼ全ての遺族や友人などから7週間をかけ詳細なインタビューを行ったそうです。その誠意ある対応が、この作品を多くの人から賞賛を与えられる物にしている様に感じました。国同士の憎しみ合いに宗教問題が絡んだ惨劇を僅か5年という歳月で映画にしてしまうアメリカ人のバイタリティーと懐の深さに、唖然と致しました。もし、この事件が日本で起きた事だったら、今でもタブーとして映画化されてないでしょうね。

 ・また、キャスティングに対しても乗務員の行動を正確なものにする為、機長役に民間航空のパイロットや客室乗務員役にユナイテッド航空の乗務経験のある者を選び、俳優に混ざって9月11日に実際に勤務していた管制官や軍関係者が出演しているんですが、これは「正確さを追求するため」だとポール・グリーングラス監督は語っています。この徹底した姿勢にも、私は頭が下がりました。

 ・機内のシーンはあくまで、詳細なインタビューを基にして作られた想像によるものなんですが、テロリスト達と戦う事を決断し、最後まで自分達の力で生き延びようと努力した乗客乗員の姿に思わず涙ぐんでしまいました。

●採点
 ・私的評価……85点(「正確さを追求するため」に有名な俳優を使わず、終始ドキュメンタリー的に描く事で、作品に説得力を与えている見応えのある作品でした。乗客や管制官だけの行動だけでなく、テロリスト達が犯行前に機内で緊張している表情や乗客に対する恐怖心なども盛り込み、一方的に「悪者」扱いしていない描き方に好感を覚えました。一つ気になったのが、ラストで乗客達がコックピットになだれ込んで行きますが、これは「ブラックボックス」の会話を参考に作られたものなのでしょうか?それによってラストシーンの見方が大きく変わる気がします。)

 ・と言う訳でこの作品は、今までに飛行機に乗った事のある方やこれから飛行機に乗る予定のある方にオススメ致します。

 ・最後にどうでもいいことなんですが、将軍様の国の人達がハイジャック・テロで日本の原発に突っ込まないかと心配でたまらないのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みます。

ゆれる

2006-07-21 23:55:12 | 映画 ヤ行
映画館で、出演:オダギリジョー/香川照之/伊武雅刀/新井浩文/真木よう子/木村祐一/ピエール瀧/田口トモロヲ/蟹江敬三/原案・脚本・監督:西川美和/作品『ゆれる』を観ました。

●感想
 ・本作は先週から公開されているのですが、会員になっている映画館が金曜日は1000円になるので、今日まで待って観て参りました。

 ・ストーリーは、東京でカメラマンとして活躍している早川 猛(オダギリジョー)が母の一周忌の為に帰省した際、兄の稔(香川照之)と幼馴染みの川端智恵子(真木よう子)の3人で蓮美渓谷へ遊びに出かけ、猛を追って稔と一緒に吊り橋を渡っていた智恵子が転落し死亡する出来事に遭遇します。
離れた場所で二人の行動の全てを見ていた猛は、橋の上で呆然となっている稔に駆け寄り、警察に連絡を入れ、兄を守る為に智恵子の転落はあくまで事故によるものだと証言するのですが、警察で事情聴取を受けていた稔は「智恵子は自分が突き落とした」と自白してしまう……というものです。

 ・お目当ては、主演のオダギリジョーくんではなく『ベロニカは死ぬことにした』で一目惚れしてしまった真木よう子ちゃんでしたが、この作品は出演している役者さん全てが上手いです。特に『ホテルビーナス』での落ちぶれた医者の演技を観て「この人、上手いなぁ~!」って感心させられた香川照之さんは本作でも、オダギリジョーくん演じるカメラマンの早川 猛の温厚な兄の早川 稔を熱演なさっており、リアルな演技力は途中から「香川照之さんって、本当は稔みたいな人じゃないの?」って錯覚させられる程でした。

 ・オダギリジョーくんも女に対して、だらしない男前なカメラマン役がピッタリはまっており、これまでに私が観たジョーくん出演作品の中では、この役が一番好きですね。
ストーリー上、兄弟二人だけで会話をするシーンが多いのですが、特に拘置所の面会室でお互いに本音をぶちまけるシーンが実にリアルで凄まじく、二人の心の変化が実に上手く描かれているので、このシーンを観るだけでも充分に価値のある映画じゃないでしょうか。

 ・脇を固める伊武雅刀さんや蟹江敬三さんらベテラン陣の喜怒哀楽をリアルに表現する演技も見応ありますし、強弱を織り交ぜて、ネチネチと稔に尋問する丸坊主で強面で嫌味な検事を演じた木村祐一さんの演技は劇中でも目立っており「もはや、キム兄もすっかり役者さんやなぁ~」と感心させられました。

 ・もちろん、智恵子を演じた真木よう子ちゃんも28歳の寂しい女性を上手く演じているのですが、演出上、登場してから直ぐに死んでしまう為に出番が少なく、彼女をジックリと観れなかったのが残念でした……。でも、僅かに見せた彼女の笑顔の可愛らしさに、私はまたもやハートを打ち抜かれてしまいました!

 ・それにしても、監督の西川美和さんの才能は凄いですね~!撮影は基本的にカメラをステイさせてワンシーンの長まわしを多様し、役者の熱演をしっかり生かしながらも、合間に山や川などの自然の風景とか鯛のお頭などストーリーには直接関係ないワンカットをセリフ代わりに入れる事で、観ている側に自然と登場人物の心情を連想させる高等テクニックを使い、作品中にしっかりと独自色を出しているところには、すっかり脱帽といったところでした。
下手にカメラを動かしたり、意味の無い頻繁なカットの切り替えや無駄なセリフが全く無いので、これから映画監督を目指そうと思っている方には良いお手本として絶対に観て欲しい作品ですね!

 ・さっきも述べました様に、ほとんどの会話のシーンでカメラはステイ状態なんですが、拘置所で初めて猛と稔がこれまで心に秘めていた本音をお互いにぶつけ合うシーンでは二人の感情の爆発をリアルに表現する為に、カメラは容赦なく『ゆれる』んですね~。まるで、このシーンの為にそれまでカメラを動かさずにいたかの様に。ここ一番のクライマックスシーンでの西川監督のメリハリの効いた演出が冴えた名場面だったと思います。

 ・本作では何と言っても脚本が素晴らしいですね!この複雑な脚本を西川監督自身が書いており、パンフレットによりますと、ある日、監督自身が見た夢を参考に書いたという事で、夢を基本にここまでしっかりとした脚本を作り上げてしまうなんて、驚きとしか言い様がなく、脚本家としても非凡な才能を持った方だと思います。

 ・西川監督が撮った前作の『蛇イチゴ』はまだ観ていないのですが、この作品を観て「レンタルしなくては!」と思いました。『蛇イチゴ』も夢で見た事を映画にしたとの事なので、どんな風に仕上がっているのかが、とても楽しみです。

 ・何にしても、観客にとって観易く、しっかりとした映像作りが出来る才能豊かな若い監督の登場に喜びながらも、今後の西川美和監督作品にも大いなる期待をかけて見守っていきたいと思っております。

●採点
 ・私的評価……85点(俳優陣の熱演とそれをじっくり観せる為のカメラワークや演出、しっかりとした脚本、どれをとっても素晴らしかったです。特に普通ならセリフで説明したくなるところを敢えて映像で表現しいるところに西川美和監督のセンスの良さと非凡な才能を感じました。中でも稔のズボンに垂れるお酒、川に流れて行く智恵子の靴などのシーンはとても印象に残りましたし、川の流れや車の騒音などの物語の重要な場面に係わってくる音の使い方も上手いと思いました。)

 ・ここまでベタ褒めして「何で85点やねん!」って思っている方もおいででしょうが、肝心のオチの部分が少し弱かった様に感じました。パンフレットを読むと結末は、監督自身が意識してあやふやな状態で終わらせたかったみたいなんですが、ラストシーンを観ると、どうしても「何故、猛はあそこまで稔を追い込む必要があったのだろうか?」と疑問を持ってしまいます。ここだけがちょっと釈然としないので、この点数に致しました。

 ・先程から何度かパンフレットのことに触れましたので、少し紹介しておきますとサイズは文庫本より一回り大きいくらいで、よくあるパンフレットのサイズの1/4くらいしかない、とても小さいものです。定価は800円で、一緒に出演者や映画の舞台となった渓谷のポストカードが12枚付いている(オダギリジョーくんが一人で写っているカードは2枚あるのに、真木よう子ちゃんを含めて、その他の出演者は1枚だけでした。しかも、真木よう子ちゃんは悲しそうな横顔をしているので、なんだかビミューな感じです……。)ので、出演者の中に好きな俳優さんがいる方は購入されてもよいのではないでしょうか。

 ・と言う訳でこの作品は、人間の奥底にある悪意や嫉妬を上手く表現した映画が好きな方と吊り橋の真ん中で腰が抜けて動けなくなった経験のある方にオススメ致します。

 ・最後にどうでもいいことなんですが、裁判長役をしている田口トモロヲさんが喋る度に『プロジェクトX』を思い出してしまったのは、私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みます。


陽気なギャングが地球を回す

2006-05-18 12:22:33 | 映画 ヤ行
映画館で、出演:大沢たかお/鈴木京香/松田翔太/佐藤浩市/大倉孝二/加藤ローサ/古田新太/大杉 漣/
篠井英介/松尾スズキ/原作:伊坂幸太郎/脚本:長谷川 隆/前田 哲/丑尾健太郎/監督:前田 哲/作品『陽気なギャングが地球を回す』を観ました。

●感想
 ・渡辺 謙 主演の『明日の記憶』と「どちらを観ようか?」悩んだのですが、原作の評判の良さとノリの軽さ、大沢たかお、佐藤浩市、松尾スズキなど私の好きな俳優が出演していることもあって本作を観る事に致しました。

 ・他人の嘘を確実に見破ってしまう男・成瀬(大沢たかお)、正確な時を刻む体内時計を持つ女・雪子(鈴木京香)、スリの天才・久遠(松田翔太)、演説の達人・響野(佐藤浩市)など特殊な能力を持った4人が見事な手口で銀行強盗を行い、軽妙なセリフでストーリーがサクサク進むので、とても観易い作品でした。

 ・あまり軽い役をしない佐藤浩市さんが、演説の達人として強盗に入った銀行で喋りっぱなしだったのはとても面白かったですね~。鈴木京香さんも、今回はキレイな足や胸元を見せるセクシー系の女性を演じており、「足細いなぁ~」とか「胸デカイなぁ~」など彼女のスタイルの良さを男目線でタップリと再認識させて頂きました!大沢たかおさんは、相変わらず存在感のある演技を見せてくれましたし、松田翔太くんも久遠役を無難にこなしていた様に思いました。

 ・ストーリーは、原作の良さもあってそこそこ面白いと思うのですが、肝心なオチがあまりにも強引過ぎて、ちょっと勿体無い感じが致しました。ここら辺が、原作を読んでいる方に酷評を浴びる原因になっているのかも知れませんね。映画を観終わった後に、「原作を読んでみたい!」と思わせるそんな作品でした。

●採点
 ・私的評価……65点(コミカルな内容で、ストーリーがテンポ良く進む観易い作品なんですが、クライムサスペンスにしては、意表を衝く部分が甘く、オチがあまりにもズサンだったのが非常に残念でした。)

 ・と言う訳でこの作品は、軽いタッチのクライムサスペンスが好きな方と小学生の出す難解な、なぞなぞを解く自信のある方におすすめ致します。

 ・最後にどうでもいいことなんですが、冒頭の加藤ローサちゃんのホットパンツ姿を観て「足キレイなぁ~」って思い、彼女の演技よりも足の方が気になって仕方がなかったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みます。

約三十の嘘

2005-11-13 21:45:40 | 映画 ヤ行
DVDで、出演:椎名桔平/中谷美紀/妻夫木 聡/田辺誠一/八嶋智人/伴 杏里/原作:土田英生/脚本:土田英生/大谷健太郎/渡辺あや/監督:大谷健太郎の「約三十の嘘」を観ました。

●ストーリー
3年前に仲間の裏切りによって解散した詐欺師チームが、再び一緒に仕事をする為に、大阪駅構内に集まり札幌行きの豪華寝台特急トワイライト・エクスプレスに乗り込んだ。

昔は、カリスマ的存在だったリーダーの志方大介(椎名桔平)も今では腑抜けとなり、仲間の佐々木健二 (妻夫木 聡)にバカにされる存在となっていた。

このチームの復活を呼びかけた久津内 守(田辺誠一)が新リーダーとなり、ここに昔の志方の恋人でチームの一員でもあった宝田真智子(中谷美紀)と新参者の横山宏紀(八嶋智人)を加えた5人で、粗悪品の羽毛布団を売る計画である。

車内で役割分担を決め、京都駅に着いた時、久津内が、昔チームを裏切り姿を消していた今井優子(伴 杏里)を連れて来て、彼女を今回の仕事に加える事を発表する。

今井の愛らしさに男達は、チーム入りを歓迎するのだが、宝田だけは彼女を信頼できず反対するのだったが、結局は男達の意見に押し切られてしまう。

何はともあれ、札幌での仕事が無事成功し、食堂車で今井の手品を見ながら祝杯を挙げる6人。

話し合いにより、現金の入ったトランクケースは、横山が管理することになり、昔の決め事と同じように、1本の本物のキーと4本の偽のキーを、どれが本物か分からないようにして、5人が1本ずつ持つ事になった。

次の日の早朝、横山が目覚めると枕元からトランクケースが消え去っていた。

騒ぎ立てる横山の声を聞いた全員が部屋に集まり、お互いの怪しい点を指摘していると、着ぐるみパンダの「ゴンゾウ」の下から消え去ったトランクケースが発見される。

念のため中身を確かめたいと宝田が言い出し、トランクを開けてみると中から現金が消え去り、代わりにじゃがいもで埋め尽くされていたのだった……。

●感想
最初は、消えた大金を奪ったのは誰なのか?を探すストーリーだったのですが、途中から恋愛要素が強まり、予想していた展開を外れて行ったので、肩透かしを喰った思いがしました。

それでも、テンポのいいストーリー展開と登場人物のユニークな会話、クレージーケンバンドのご機嫌な音楽が上手く交じり合って、楽しく観る事が出来ました。

私は、佐々木の役をオダギリジョーくんがやっていると思っていたので、ファーストシーンでいきなり妻夫木くんが出てきてビックリしてしまいました。

電車の中という限られた空間での物語なので、役者さんの器量が、作品の善し悪しを決めると言ってもいいと思うのですが、出演していた役者さんの演技は、みんな良かったと思います。

個人的には、クライマックスで見せた中谷美紀さんの、瞳を濡らしながらの演技が美しく、改めて彼女の演技力の深さを思い知らされました。

●採点
私のこの作品に対する評価は65点です。

私の期待していた内容ではなく、人間愛の物語で終わってしまったのでこの点数に致しました。
オチで、もう一捻りしてくれたら、もっと面白くなったと思うだけに残念でした。

ビックリしたのは、オープニングで「脚本 渡辺あや」のテロップを見つけた時でした!

『この作品も「ジョゼと虎と魚たち」や「メゾン・ド・ヒミコ」の脚本家 渡辺あやが書いてるのか~!』と一人興奮してしまいました。

だから、この作品は、詐欺師たちの騙し合いと愛情を観てみたい方と、トワイライト・エクスプレスに乗った事のある方におすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、『目つきの悪いパンダの着ぐるみ「ゴンゾウ」をもっとストーリーに絡めてほしかったな~』って思ってしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。


マスター・アンド・コマンダー

2005-10-23 06:11:26 | 映画 ヤ行
DVDで、ラッセル・クロウ、ポール・ベタニー、ビリー・ボイド、マックス・パーキス 出演の「マスター・アンド・コマンダー」を観ました。

●ストーリー
1805年、ナポレオン率いるフランスがヨーロッパ全土を席巻しようとしていた。
その勢力は海上にもおよび、フランスのアケロン号は圧倒的なスピードと火力で、幾多の敵戦艦を海の藻屑として葬り去っていた。

その劣勢を打開する為、ジャック・オーブリー船長(ラッセル・クロウ)が乗り込む英国海軍サプライズ号は、祖国からアケロン号の拿捕または破壊の命令を受けて、遠く離れた海上で捜索活動を行っていた。

そんな霧の深い夜、当直仕官が船影らしきものを発見し戦闘態勢を発令する。
その状況を察知したジャックは、素早く甲板に駆け上がり、自分の目で敵船を確認しようと望遠鏡を覗くのだが、深い霧に阻まれ、敵船を見つける事は出来なかった。

しばらく、捜索を続けたジャックが諦めて船室に戻ろうとした時、左舷に赤い閃光を発見する。
霧が切れているその光の元には、捜し求めていた敵艦アケロン号の姿があった。

危険を感じて、乗組員に「伏せろ!」と叫び声を上げるジャック。
その声が止むのと、同時にアケロン号から放たれた砲弾が次々と、サプライズ号を直撃していく。

思ってもいない奇襲攻撃に、次々と乗組員が吹き飛ばされ、船は破壊されていく。

“幸運のジャック”と呼ばれ無敗を誇っていたジャックは、この危機を回避し、何とか反撃に転じようと乗組員達に次々と指示を与えていくのだが……。

●感想
冒頭の壮絶なアケロン号との接近戦に迫力を感じ、これから更なる激しい展開を期待したのですが、冒頭のようなスリルを感じるシーンは無く、イマイチ盛り上がりに欠ける印象を持ってしまいました。

昨日、「ウィンブルドン」を観た為、二日連続でポール・ベタニーの演技を観る事になったのですが、この作品では、船医で生物学者でもあるインテリのスティーヴンを好演しており、「なかなか、しっかりとした演技も出来る役者さんなんだなぁ~」と感心してしまいました。

今回もラッセル・クロウは、戦うリーダー・ジャック船長を演じているのですが、これまでの役柄に比べてイマイチ迫力が感じられず、私の中では印象が薄いキャラになってしまいそうです。

全体を通じて何を伝えたいのかが、最後までハッキリせず、そんなに感動出来るシーンも無い為、敵船と戦って何となく終わってしまったと言う印象が強い作品です。

海の上で戦う軍艦の話しなので、ヒロインどころか女性がほとんど登場せず、全く華やかさが無いので、男性には少しガッカリな作品に映るかもしれません。

この作品を観ると、『海軍の潜水艦にも関わらず無理やり女性を乗せる設定にした「ローレライ」は成功だったな~』って思えました。

クライマックスの白兵戦でも、ほとんどみんな同じ様な服装をしている為に、誰が敵で、誰が味方なのかハッキリせず、何がなんだか分からないシーンになってしまっているのが非常に残念に思いました。

●採点
私のこの作品に対する評価は60点です。

最初の戦いで、霧の中から突如、攻撃を仕掛けて来る、敵艦アケロン号の不気味さが良かったのですが、ストーリーが進むにつれ、姿をハッキリ現して行く為、どうしても冒頭の様なインパクトを感じる事が出来ず、作品的に尻すぼみに終わってしまっている感じが強かったです。

戦闘シーン以外で印象に残っているのは、船医のスティーヴンが麻酔なしで自分の腹の中に打ち込まれた銃弾を摘出したシーンとガラパゴス諸島に上陸した時に登場する陸ガメの巨大さですね。

後は、やたらとガラパゴス周辺を行ったり来たりし、上陸するとかしないとかで、何度も揉めていたので「どうでもいい事で、ちょっと主題からズレているんじゃないの?」っていう印象が強く残ってしまう作品となってしまいました。

だからこの作品は、昔の帆船が大好きな方とガラパゴス諸島の生物に興味がある方におすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、「ジャック船長は敵に刺されたはずなのに、どうして元気でいられるの?」って不思議に思ってしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。