Rohi-ta_site.

私、Rohi-taの映画の感想(ネタバレ有り!)と日常を報告するページです。

私の頭の中の消しゴム

2005-09-30 06:12:06 | 映画 ワ行
試写会で、ソン・イェジン、チョン・ウソン 出演の「私の頭の中の消しゴム」を観ました。

●ストーリー
建設会社の社長令嬢・スジン(ソン・イェジン)は、自分の勤めるアパレル会社の上司・ヨンミン(ペク・チョンハク)と不倫の末に駆け落ちの約束をし、彼がやって来るのを一人、駅で待っていたのだが結局ヨンミンは現れなかった。

失意の中、スジンはコンビニに立ち寄りコーラを買うが財布と共にレジに置き忘れてしまう。
その事をバスを降りる時に気付いたスジンは急いでコンビニに引き返す。

偶然にもスジンがコンビニに入ろうとした時、コーラを片手に持ち、無精ヒゲを生やした無愛想な男・チョルス(チョン・ウソン)と鉢合わせになり、レジにコーラが残されていないのを確認したスジンは自分の買ったコーラをチョルスが持って行こうとしているものだと思い込み、チョルスが持っていたコーラを取り上げ、一気に飲み干し、空になった缶をチョルスに渡すと笑顔を残し立ち去った。

数日後、スジンは建築会社社長の父と共に工事現場に立ち寄った時、偶然にも先日コンビニで出会ったチョルスが作業員として働いているのを目撃し、恋心を持ってしまう。

翌日、スジンの勤めるアパレル会社のテナント工事を請け負っていた工務店が倒産し、工事が進まず困ったスジンは父に助けを求め、作業員を1人送ってもらう事になる。

偶然にも、やって来た作業員がチョルスだった為、ビックリしたスジンは、工事の指示を上司に任せて、自分は慌てて身を隠すのだったが、スジンが自動販売機でコーラを買い飲もうとした時、急にやって来たチョルスにコーラを取り上げられ、アッと言う間にすべて飲み干されるのだった……。

●感想
「世界の中心で愛をさけぶ」や「解夏」でお馴染みとなった「愛する人が難病になった時、あなたはどうしますか?」を問う内容の映画で、男らしいチョン・ウソンと天真爛漫で愛らしいソン・イェジンの演技に何度も涙を流しそうになりました。

この原作は読売テレビが制作した「Pure Soul~君が僕を忘れても~」が原作となっているらしく、チョン・ウソンが映画のプロモーションで来日した際、原作の主演をした永作博美さんに花束をもらったりしています。

作品は、前半をスジンとチョルスの出会いから結婚に至るまでの幸せなエピソードを時間をかけ描いている為、中盤から後半へかけてスジンの「若年性アルツハイマー」の症状がだんだん重くなっていく毎に、二人のお互いを思いやる「愛」が切なく感じ、何度も涙を流しそうになりました。

もちろん、試写会場でもストーリーが進むにつれ、あちらこちらから鼻をすする音が多く聞こえて来たのは言うまでもありません。

私が思うにこの映画の良い所は、主役にチョン・ウソンとソン・イェジンを起用した事でしょうね。

スジンとの出会いを通して、服装や身だしなみの変化から憎んでいる実の母に「許し」を与える心に行き着くまでの無骨で優しいチョンスをチョン・ウソンは実に上手く演じていますし、天真爛漫でありながらも難病を抱え、次第に愛するチョンスの事さえも忘れてしまう悲劇のヒロイン・スジンを演じたソン・イェジンは終始、愛おしくてたまりませんでした。

●採点
私のこの作品に対する評価は85点です。

あまり私の好きなジャンルの映画では無いのですが、何度も泣きそうになりました。
それでも、さすがに劇場で観ていた為、人目を気にして涙は流しませんでした。

でも、1人でDVDで観ていたとしたら、確実に泣いていたでしょうね。
それくらい胸が痛くなる、切ないシーンが多かった作品であります。

その中でも、ラストシーンでチョンスがスジンに向かって言う、初めての「愛してる」の一言は、とても重く心に響き印象に残りました。

だから、この作品は切ない純愛映画を観たい方とファミリーマートで出会い、恋愛を始めたカップル達におすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、「スジンが病気のままで家を出て行ったのにも係わらず、良く無事でお父さんの所までたどり着けたな~」と思ってしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。

シン・シティ

2005-09-29 02:38:23 | 映画 サ行
9月19日(月)、試写会でブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン 出演の「シン・シティ」を観ました。

●ストーリー
<エピソード1>
巨大な身体と醜い容姿を持つ仮出所中の男・マーヴ(ミッキー・ローク)は、酒場で高級娼婦ゴールディ(ジェイミー・キング)に出会い一夜を共にするが、目覚めてみると何者かにゴールディは殺されており、マーヴは警察から追われる身となる。

一夜とはいえ自分に愛をくれたゴールディの復讐を果たすべく真犯人の手がかりを求め、ある人物にたどり着くマーヴだったが……。

<エピソード2>
過去に犯した罪から逃れる為、全てを捨てて、昔の恋人ゲイル(ロザリオ・ドーソン)が仕切る娼婦街に身を潜める男・ドワイト(クライヴ・オーウェン)。

ある時、トラブルで娼婦街で暴れようとした警察官・ジャッキー・ボーイ(ベニチオ・デル・トロ)をゲイルの用心棒で殺人マシーンの異名を持つミホ(デヴォン青木)が殺してしまい、窮地に陥るゲイルと娼婦達。

そんな危機を救う為、ドワイトはジャッキー・ボーイの死体を車に乗せ、夜の街を疾走するのだが……。

<エピソード3>
街の実力者ロアーク上院議員(パワーズ・ブース)の息子で、連続幼児殺人事件の犯人・ロアーク・ジュニア(ニック・スタール)をついに追い詰めた正義の刑事・ハーティガン(ブルース・ウィリス)は、危機に陥っていた少女・ナンシー(ジェシカ・アルバ)をなんとか救い出し、ロアーク・ジュニアに致命傷を与え、逮捕まであと少しという所で、相棒の刑事・ボブ(マイケル・マドセン)に裏切られ瀕死の重傷を負い、ロアーク上院議員の策略で無実の罪を帰せられ投獄されてしまう。

やがて、年月が過ぎ去り8年後、無事に出所したハーティガンだったが、かつて救い出したナンシーに再び危機が迫っていることを知り、彼女の身を守るべく、行方を捜し始めるのだったが……。

●感想
この映画の存在を知ってから「絶対に観たい!」と思っていた作品なんで、「試写会で一足先に観れて本当に良かったなぁ~」と感じましたので、時間があれば「もう1度観たいな~」と思っております。

映像が本当に斬新で、基本的には白黒作品なんですが、エピソードごとに赤、青、黄色を強調し、背景はほとんど漫画で描かれたシーンとの合成で、混沌とした「シン・シティ」のアンダーグラウンドな世界を上手く表現していたと思います。

ストーリーもハード・ボイルド作品らしく、強い男が傷つきながらも、愛する美しい女を命懸けで守り抜く激しいもので、「北方謙三」作品の大ファンの私にとっては、とても気持ちの良い作品でした。

観る前は「これだけ大勢の主役級のハリウッドスター達を集めて、どうやってまとめるのだろう?」と心配していたのですが、3つのエピソードにブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェンをそれぞれ主役として配置しながらも、各作品に少しずつ重なる部分を持たせて、見事にまとめられた作品だと納得させられました。

それでも、腕や足や首が当たり前の様に飛ばされる残酷なシーンが多いので、女性には嫌悪感を覚える方も多数いらっしゃると思います。
だから、この作品に恋愛映画の要素を期待している女性の方には、絶対にオススメ致しませんのでご注意下さいませ。

しか~し、私にとっては、その残酷なシーンもたまらなく刺激的で凄く気に入ってしまい、この映画の評価を上げる要素となった事も、これまた事実であります。

●採点
私のこの作品に対する評価は90点です。

主役もヒロインも素敵なんですが、この作品で一番オイシイのは何と言っても、ジャッキー・ボーイ(ベニチオ・デル・トロ)、ケビン(イライジャ・ウッド)、イエロー・バスタード(ニック・スタール)などの悪役と殺人マシーンのミホ(デヴォン青木)や最初と最後だけに出演したザ・マン(ジョシュ・ハートネット)の異常キャラですね!

どうオイシイかと言うと、悪役は主役を「これでもか!」というくらい苦しめるのですが、その100倍くらいの仕返しを受けて、悲惨な死に方をするので、観終わった後もやたらと記憶に残ってしまい忘れ難くなってしまいます。

また、ザ・マンも冒頭の冒頭で振ったネタをラストのラストで落とすという荒業を、出演していた事さえ、すっかり忘れてしまった頃に見せてくれ、否が応でも印象深くなってしまいます。

それでも、この作品の中に登場する数多いキャラの中で、私の脳裏に一番焼き付いてしまったのは、デヴォン青木が演じた殺人マシーン「ミホ」ですね!

何がスゴイかって言えば、セリフがほとんど無いのに、とにかく強くてカッコイイのでやたらと目立ってしまいます!

「ミホ」はもちろん女性なんですが、なぜだか主役のドワイトを押し退けてしまうくらいに、インパクトのある強さに設定されているのが素敵で、たまらなく魅力的でした。

日本刀を一本ずつ両手に構え、「忍者」の様な身軽さと、ルパン三世の「五右衛門」並みの強さでジャッキー・ボーイや軍隊の特殊部隊を次々と切り刻んでいく姿には、映画を観ながら思わず「強ぇ~」と一人つぶやいてしまいました。

ちなみに劇中で「ミホ」が使っている日本刀のうちの一本は「キル・ビル」で使用された刀の「服部半蔵」であり、タランティーノが親友のロバート・ロドリゲスに貸し出したとの事です。

だから、この作品は男臭いハード・ボイルド作品が大好きな方と残酷なスプラッター映像に耐える自信のある方にオススメ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、観る前は「タランティーノが撮影した1シーンを絶対に見つけてやるぞ!」と思っていたのに、いつの間にかストーリーにすっかりはまってしまい、観終わった後に「しまった!タランティーノの撮影シーンをチェックするの忘れてた~!」と後悔してしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。







シービスケット

2005-09-18 21:42:07 | 映画 サ行
DVDで、トビー・マグワイア、ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパー 出演の「シービスケット」を観ました。

●ストーリー
1929年、アメリカの大恐慌時代に、自動車ディーラーとして成功を収めたハワード(ジェフ・ブリッジス)は、最愛の息子を交通事故で亡くし、その影響で妻にも去られてしまった。

失意のどん底に陥ったハワードだが、運命的に出会った女性マーセラ(エリザベス・バンクス)と結婚し、乗馬好きな彼女の影響を受け、やがて競馬の世界に興味を持つようになる。

馬の魅力に引かれ、馬主となる事を決めたハワードは、有名厩舎で調教師を探している途中に、故障した1頭の競走馬に愛情を注ぐ孤独なカウボーイのトム(クリス・クーパー)に出会い、彼を調教師として雇う事にする。

調教師になったトムが、ハワードから競走馬の購入を任され、ある競馬場に立ち寄った時、小柄で気性の荒いサラブレッドと運命の出会いをする。

その馬の名前は“シービスケット”、良血なサラブレットの両親から生まれたものの不遇な時を過ごして、安い値段で売りに出されたのだった。

しかし、あまりの気性の荒さにどの騎手もシービスケットに騎乗することが出来ず、困っていたトムは、厩舎でシービスケットと同じ様に気が強く、数人の厩務員を敵に回し派手な乱闘をしていた騎手・レッド(トビー・マグワイア)が目に留まり、彼をシービスケットのジョッキーとして起用するのだったが……。

●感想
観る前は、故障したサラブレットを人間達が復活させる物語だと思っていたのですが、これは大間違いで、傷ついた男達がサラブレットによって復活させられる物語でありました。

不幸や不遇の境遇の中、偶然にも出会った、レッド、ハワード、トム、そしてシービスケット、彼らの随所で見せる、想いやりや優しさが名セリフと共に心に響く傑作でした。

この物語の中で一貫されている「相手を信じ、思いやる気持ち」の描写が上手く、レッドが大怪我をして手術室にいる間、ずーと病院のベッドでレッド待っているハワードの姿や、故障したシービスケットの傷を優しく接しながら、時間をかけて治していくレッドの行動に感動せずにはいられませんでした。

レースシーンも実際に行われたレース模様を参考にして作られたというだけあって、本物の競馬中継を観ているようなリアルさが伝わって来ました。

また、冒頭から登場する山脈や草原、林などの風景映像が美しく、「自然に勝る映像美はない!」と感じさせてくれる作品でもありました。

俳優陣もそれぞれ上手く、男性ばかりが登場する物語の中でハワードの二番目の奥さん・マーセラを演じたエリザベス・バンクスの明るさが作品に華を添え、ラジオ競馬の実況アナウンサー・ティックをコミカルな演技で熱演したウィリアム・H・メイシーが目立って面白かったです。

トビー・マグワイアも「スパイダーマン」の時より、明らかに頬がこけているのが分かり、ジョッキーの役作りに励んだ姿が見受けられ、好感を持ちました。

私にとって、不遇な時を乗り越える精神力の大切さと、良い人との出会いで人生は劇的に好転するという教訓を学んだ、実話を基にした感動作となりました。

●採点
私のこの作品に対する評価は90点です。

劇中で本当に人生の為になる様な言葉がたくさん出てくる作品なんですが、中でも私は傷ついたレッドをシービスケットに再び乗せるのを渋るトムに、ハワードが彼を説得する為に言った「少しの怪我で命あるものを殺すことはない」という言葉が心に沁みました。

小細工を使わずに、役者の演技と脚本の出来の良さで、観客に感動を与える王道的な作品の作り方に脱帽した、2003年度のアカデミー賞・作品賞に輝いた素晴しい作品でした。

だから、この作品は現在、不遇な境遇に嘆いている方や乗馬好きの恋人と付き合っている方にオススメ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、シービスケットを落ち着かせる為に同じ馬房に入れていた白馬が「オスなのか?メスなのか?」が気になって仕方がなかったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。

SHINOBI

2005-09-17 20:13:28 | 映画 その他(数字・英語など)
映画館で、仲間由紀恵、オダギリジョー、黒谷友香、椎名桔平、沢尻エリカ 出演の 「SHINOBI」を観ました。

●ストーリー
長い戦乱を治め、太平の世作りを始めた徳川家康(北村和夫)は、将軍職を嫡子・秀忠へ譲った後も、影で政権を握り、天下統一を目指して幕府に反乱の可能性のある芽をことごとく摘み続けていた。

やがて、人々が安定した平和を感じ始めた1614年、家康は側近の南光坊天海(石橋蓮司)の助言により、忍者の二大勢力、伊賀・鍔隠れ衆と甲賀・卍谷衆の人並み外れた忍術に幕府転覆の可能性を感じ、両衆の頭領である、お幻と甲賀弾正を駿府城に呼び出し、3代将軍の世継問題に絡め、両者の精鋭5人ずつによる、果し合いを命じるのであった。

ちょうどその頃、鍔隠れ・卍谷それぞれの跡取りである朧(仲間由紀恵)と弦之介(オダギリジョー)は互いの立場を知らずに出会い、運命的な恋に落ち、両者の頭領が里に戻り次第、祝言をあげる事を誓い合っていた。

しかし、朧と弦之介は、不運にも駿府城から戻って来た、お互いの頭領から果し合いの代表に選ばれてしまう。

家康の身勝手な決定に納得のいかない弦之介は抗議すべく、卍谷の精鋭4人を引き連れて、家康の居る駿府城へと向かうのだが……。

●感想
CGによる特撮やワイヤーアクションを使った映画が大好きな私は、早々に前売り券を購入し初日に劇場に向かう事を決めていました。

原作が山田風太郎氏の名作・「甲賀忍法帖」とあって、凄まじい忍術合戦を期待していたのですが、私が満足出来た戦いは、最初に行われた「夜叉丸」(坂口 拓)対「筑摩小四郎」(虎牙光揮)の1戦だけでした。

この初戦が良く出来ていたので、その後の合戦も期待したのですが、「筑摩小四郎」と「薬師寺天膳」(椎名桔平)そして、主役の2人を除いた、その他の精鋭忍者達はあまりにも呆気なくやられてしまいちょっと残念な気持ちになりました。

物語の主軸が「朧」と「弦之介」のラブストーリーに置かれている為に仕方の無い事だとは思いますが、漫画「バジリスク」の様な中味の濃い忍術合戦を期待して観に行った方は、不満に思うかも知れませんのでご注意して下さい。

鍔隠れ・卍谷の里の情景や自然の描き方はそこそこ上手くいってるのですが、「英雄-HERO」や「LOVERS」のチャン・イーモウ監督の映像美と比べると残念ながら見劣りしてしまいます。

仲間由紀恵、オダギリジョー、黒谷友香、椎名桔平、それぞれのファンの方は出演シーンが多いので観ても満足できる作品だと思いました。

●採点
私のこの作品に対する評価は70点です。

「感想」でも書きましたが、忍者同士のアクションシーンが盛り上がりの少ないものになっていたのが残念に思います。

オチも予想できるもので、ストーリーの流れを考えると「ああするより、仕方がないのかな~」みたいな無難なものになっています。

だから、この作品は仲間由紀恵とオダギリジョーのファンの方とこれまでに「伊賀上野・忍者博物館」に行こうと思った事のある方におすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、「蛍火を演じた沢尻エリカの美しさは仲間由紀恵と並んでも、見劣りしないなぁ~」と思ってしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。





運命じゃない人

2005-09-16 20:13:23 | 映画 ア行
映画館で、中村靖日、霧島 れいか、山中 聡、山下規介、板谷由夏 出演、内田けんじ監督作品「運命じゃない人」を観ました。

●ストーリー
婚約破棄が決まり、それまで住んでいた家を出て来た桑田真紀(霧島 れいか)は、大きなバックを2つ抱えながら、婚約指輪をお金に換える為に質屋にやって来たのだが、たった3500円の値段しか付けられない安物だった事に悲しみのどん底に落ちてしまう。

そんな気分も所持金も絶望的な状況で、偶然入ったレストランで近くの席に座っていた探偵の神田勇介(山中 聡)に「一緒に食事しない?奢るから」と言うナンパな誘いにすぐさま乗り、同席していた神田の幼なじみで親友の宮田 武(中村靖日)と共に食事をする事になる。

最初は3人で食事をしていたのだが、神田が急にトイレに行ったまま帰って来ず、心配した宮田が神田の携帯に電話を掛けると「今、仕事中だから、あの子と上手くやれ」と言い残し電話は切れた。

急に真紀と2人きりにされ、どうしたらいいのか戸惑う宮田だったが、彼女が婚約破棄の為、帰る家が無く困っている事を知ると、最近買ったばかりの自分のマンションへ泊まる事を勧め、真紀と一緒に自宅へと向かうのだったが……。

●感想
いや~、この作品は本当に巧く出来た作品です。
ストーリーの進め方なんて超巧いです!

こう言うのを、練りに練られた脚本って言うんでしょうね!どの作品もこれくらい脚本を練ってくれれば失敗作なんて出来るはずがない!と思わせるような傑作でした。

監督が脚本も兼ねているんですが、多分、「どうやったら低予算で面白い映画を作れるのか?」を必死で考えたんでしょうね!

その結果、CGとか特殊撮影とかは一切無しで、ストーリーの展開の巧さと会話の面白さで、見事なエンターテイメント作品に作り上げてしまっています。

この若き新人監督・内田けんじ氏の力量は計り知れないものがあり、「早く次回作も観てみたい!」と思わせる程、人を楽しませる映画の作り方をしっかり心得ている頭の良い人だと感じました。

役者陣も山下規介さん以外は、名前に馴染みの無い人ばかりなのですが、主要な登場人物を演じた中村靖日さん、霧島 れいかさん、山中 聡さん、板谷由夏さんが、それぞれ与えられた配役の個性を充分に引き出す演技をしていて、リアルさが上手く画面から伝わって来たように思います。

何と言っても、この作品を良い物にしているのは、それぞれの登場人物から見た視点で、同じシーンを違う角度から観せると言うアイディアとそれぞれの登場人物の会話や行動の面白さに集約されていると思います。

冒頭の宮田 武と神田勇介、桑田真紀の3人が一緒に食事をするレストランを基準として、それぞれの人物の少し過去と少し未来の状況を行ったり来たりする映像の観せ方をしているので、観客はまるでタイムマシーンに乗せられて時間軸を旅している様な、不思議な優越感を体感できると思います。

そういった観点から見ると、現在上映されている「サマータイムマシン・ブルース」と同じ匂いを感じた作品でもありました。

●採点
私のこの作品に対する評価は80点です。

劇中、現在の日本を象徴する様な、他人を騙して利益を得ようとする人物が何人か出てくるのですが、その中で、中村靖日さん演じる宮田 武だけが、バカが付くほどのお人好しで優しく、現実を何も知らないまま、一人幸福感を得るのですが、彼を主人公にしている為に作品全体に救いとか癒し等の安堵感を与えていて、それをさりげなく演じた中村靖日さんに私は拍手を送りたいと思いました。

だから、この作品は「良く出来た脚本で作られた映画が観たい!」と言う方と知り合いになった人の家で偶然にも2000万円の現金が隠されているのを見つけてしまった事のある方にオススメ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、「桑田真紀の乗ったタクシーの運転手さんは良いこと言うなぁ~」としみじみ感じてしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。




「メゾン・ド・ヒミコ/オフィシャルブック」を買いました。

2005-09-16 17:41:53 | 映画 マ行
今日、「メゾン・ド・ヒミコ」を観たのと同じ劇場で「運命じゃない人」を観て、何気なく売店に立ち寄ると「メゾン・ド・ヒミコ/オフィシャルブック」が目に止まり、サンプル本をパラパラめくると、渡辺あやさんのシナリオが完全収録されている事を知り、思わず読みたくなり買ってしまいました。

まだ、全然読んでないのですが、
●オダギリジョーさん、柴咲コウさん、田中 泯さん、西島秀俊さん、脚本家・渡辺あやさん、音楽家・細野晴臣さん、犬童一心監督、その他プロデューサー等、制作者へのインタビュー。

●劇中のカット写真

●脚本家・渡辺あやさんの完全シナリオ

●美術デザイン

●桜沢エリカさん、タナダユキさん、大場正明さん、田中千世子さんによる作品評

●撮影日記

等が掲載されているので、楽しみながら少しづつ読んで行きたいと思っています。

ちなみに定価1680円(1600円+消費税)となっており、キネマ旬報社から発行されております。

別に本の宣伝をするつもりはないですが、興味のある方は手に取ってみてはいかがでしょうか。

それでは、また何かあったら書き込みます。

サスペクト・ゼロ

2005-09-15 19:49:55 | 映画 サ行
DVDで、アーロン・エッカート、キャリー=アン・モス、ベン・キングズレー出演の「サスペクト・ゼロ」を観ました。

●ストーリー
雨が激しく降り続く夜、少し小太りのセールスマン、ハロルド・スペックは、レストランで食事を摂っていた。

そこに、全身黒の服装をした謎の坊主頭の男(ベン・キングズレー)が急に現れ、紙に描いたラフスケッチをハロルドに数枚見せつける。

これを見た、ハロルドは急に表情を変え、慌ててレストランを出て行くと、自分の車に乗り込み、急いで走り去る。

しばらく走り、冷静さを取り戻したハロルドが後部座席に目をやると、突然、さっき会った坊主頭の男が手袋を嵌め現れ、ハロルドに車のスピードを落とす様に命令すると、急に襲いかかったのであった。

その次の朝、ニューメキシコ州の田舎町、アルバカーキへ連続殺人犯を不当逮捕した責任を取らされたFBI捜査官のトム・マッケルウェイ(アーロン・エッカート)が左遷されてやって来た。
彼が着いた早々、殺人事件が発生したとの連絡が入り、トムは現場へと急行する。

現場に着くと、車が州境に放置されていて、その中には丸に斜線の入った不思議な記号が描かれた紙で顔を隠された一人の男が死亡していた。

気になったトムがその紙を取り除くと、両方のまぶたを切り取られ、無残な死に顔が露わになり、事件は猟奇殺人の様相を呈してきた。

車のナンバーから、被害者の男はセールスマン、ハロルド・スペックだと判明し、早速トムはシカゴから応援に来た元同僚のフラン(キャリー=アン・モス)と共に昨夜、ハロルドが食事をしていたレストランで怪しい男の情報と、昨夜から放置されている塗装の剥げた車を発見し、トムがその車のトランクを開けると、そこにも両方のまぶたを切り取られた男の無残な死体が放置されていたのだった……。

●感想
序盤は雨のシーンと怪しげな男の登場で、ワクワクしたのですが、それから話自体があまり盛り上がらずに、そのまま終わってしまいました。

なんだか雨を使ったり、ラストシーンなんかを観ていると「セブン」を意識した様に思うのですが、そんなにビックリする様な殺人シーンが無いせいか、「セブン」からは遠く離れた作品になっていました。

あまり予算がなかったのか、CGや特殊撮影は殆ど使われておらず、「上手くリメイクしたら、日本映画でも作れるんじゃないの?」と思わせる作品でした。

怪しげに登場する、謎の丸坊主の男の正体や目的が分かってからは、「ラストはどうなるんだろう?」と期待をしてしまったのですが、これまた、あっさりとした終わり方で「ふ~ん、こんなオチで終わってしまうんだ~」と少し呆れてしまいました。

これは下手をすると、日本の「2時間サスペンス劇場」に負けるかも知れない、そんな作品でした。

●採点
私のこの作品に対する評価は50点です。

アイディアをもっと煮詰めて、残忍な殺人シーンや犯人を設定した方が「もっと盛り上がって良かったんじゃないかな~」と思いました。

期待したキャリー=アン・モスも、大した活躍もなく終わってしまいましたし、発想は良い所を突いていただけに残念な作品になってしまいました。

よって、この作品は残酷なシーンが少なく淡々と進むサスペンス作品が好きな方と今までに遠隔透視をした事のある方におすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、不謹慎にも「遠隔透視や未来予知が出来たら、いい金儲けが出来るじゃん!」って思ってしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。


マルコヴィッチの穴

2005-09-14 22:21:19 | 映画 マ行
DVDで、ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、キャスリーン・キーナー、ジョン・マルコヴィッチ出演の「マルコヴィッチの穴」を観ました。

●ストーリー
売れない人形使いのクレイグ(ジョン・キューザック)は、ペットショップに勤める妻・ロッテ(キャメロン・ディアス)やたくさんのペット達と共に貧しい生活を送っていた。

ある日、クレイグは街角で人形劇を見せていたが、子供のいる前で卑猥なシーンを演じてしまった為に、子供の父親から殴り倒されてしまう。

殴られたのは、これが初めてではなかったクレイグだったが、この一件で定職に就く事に考えを変え、新聞の求人欄で見つけた、マンハッタンのビルの7と1/2階にある天井の低いフロアーにオフィスを構える、レスター社のファイル整理の職を得る。

そこで偶然にも、フロアーの天井が低い理由を説明するビデオを一緒に観ていた美人OL・マキシン(キャスリーン・キーナー)に一目惚れしたクレイグは、彼女を口説こうとするが全く相手にしてもらえない。

そんな時、クレイグは仕事中に偶然にもファイリング室の棚の裏側に、有名俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に入る事ができる小さな扉を発見する。

扉の先にある小さな穴を潜り抜け、15分間だけジョン・マルコヴィッチになる体験をしたクレイグは、この不思議な体験を興奮しながらマキシンに話す。

マキシンは、最初クレイグの話しを全く信用しなかったのだが、この体験は商売に出来ると考え直し、クレイグと共に15分だけマルコヴィッチの体験ができるというビジネスを1回200ドルで始めるのだった。

2人が始めたこの商売は、順調にお客を増やして行くのだが、クレイグの妻・ロッテがこの穴を通り、マルコヴィッチの身体を利用して、マキシンと肉体関係を持った事をきっかけに、複雑な方向に進んで行く事になるのだが…。

●感想
この作品も前から気になっていた作品で、「いつかは観なければ!」と思いながら今日に至った訳なんですが、観る前に持っていた印象と全く違い、複雑で色々な要素を上手く合わせた、非常に良くできた傑作でした。

物語の序盤はクレイグと会社の秘書や社長とのズレた会話で笑いを取り、中盤は色々な人がマルコヴィッチの頭に入るという奇想天外な方向に物語を展開させ、終盤でそれまで複雑に絡み合った愛情劇をミステリー要素を入れながら一挙に解決してしまうという、誠に天才的な荒業でまとめられた素晴しい脚本で構成されています。

これだけ良く出来た脚本で作られているのですから、どんな俳優が出てもある程度は面白くなると思うのですが、頭に入られる俳優をジョン・マルコビッチという非常に個性的で演技力のある俳優に決めた事がこの作品の最大の成功の要因だと私は思います。

物語の序盤までは、「ジョン・マルコビッチはもしかして脇役なの?」って思える様な展開だったのですが、マルコビッチがマルコビッチの穴を通って、たくさんのマルコビッチが存在する、マルコビッチだけの世界に辿り着いてからは、ほとんどマルコビッチの一人舞台のような活躍ぶりで、踊ったり、人形劇をしたり、頭の中を乗っ取られたり、と遺憾なくマルコビッチの魅力を充分に堪能させてくれます。

また、ジョン・キューザックとキャメロン・ディアスもむさ苦しい格好で貧乏な夫婦を好演し、キャスリーン・キーナーも美人で気が強いが複雑な恋をしてしまう難しいOL役を上手く演じていました。

いい脚本と演技力のある俳優陣が揃えば、こんなに素晴しい作品が出来るという事を証明する様な非常にクオリティーの高い作品でした。

●採点
私のこの作品に対する評価は90点です。

劇中で禿げたチャーリー・シーンやインタビューを受けるショーン・ペンなど、有名俳優がちょっとだけ出演するサービスシーンもあり、遊び心を忘れないスタッフのうれしい演出が好きになりました。

また、人間の容姿や心、愛情の有り方についても根本的に考えさせられる作品で「私が100回位、生まれ変わってもこんな内容の脚本は絶対に書けないだろう」と思わせる様な、とんでもない衝撃を受けた作品となりました。

だから、この作品は大勢のジョン・マルコヴィッチが一度に出てくるのを観てみたい方と勤めている会社の天井が異常に低い方にオススメ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、この作品を観て「他人の身体に入ってまで、永遠に生き続ける必要があるのだろうか?」と考えてしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。

メゾン・ド・ヒミコ

2005-09-13 23:07:58 | 映画 マ行
映画館で、オダギリジョー、柴咲コウ、田中 泯 出演、犬童一心 監督作品「メゾン・ド・ヒミコ」を観ました。

●ストーリー
塗装会社に勤める吉田沙織(柴咲コウ)は、亡くなった母の医療費を親戚に借り、借金を抱え、風俗への転職を真剣に考えていた。

そんなある雨の日、沙織が勤める会社に、岸本春彦(オダギリジョー)と名乗る、若くて美しい男がやって来る。彼は、沙織が幼い頃に出て行った父親・吉田照雄(田中 泯)の恋人だった。

春彦は、父の照雄が癌を患い、余命が残り少ない事を沙織に告げ、照雄がゲイの為に建てた老人ホーム・
「メゾン・ド・ヒミコ」で働く事を沙織に頼みに来たのだった。

沙織は、母と自分を捨て、我がままに生きてきた、父親のことを許せずにいたが、春彦が提示した「日曜だけの勤務で、日給3万円」と言う条件の良さと、遺産の話しに心が動いてしまい、日曜日の朝、生まれて初めて「メゾン・ド・ヒミコ」を訪れるのであるが…。

●感想
病気で親と死に別れるという、誰にでもいつかは起こりうる切ない題材を基にして、新しい人々との出会いや知人が老いて行く事の悲しさ等を、暗くなり過ぎない犬童監督独特の表現で観せてくれる味のある作品だと思います。

私がこの作品の好きなところを挙げるならば、まずはキャスティングの上手さですね。
オダギリジョー、柴咲コウ、田中 泯 、そしてゲイ役の人々、全てがピッタリはまっていて違和感を全然感じませんでした。

この作品を観る前は、「たそがれ清兵衛」の剣客イメージを田中 泯さんには強く持っており、正直言って「この配役はどうなんだろう?」と不安を持っていたのですが、ふたを開けて見ると、私の心配は杞憂に過ぎず、田中 泯さんの落ち着きのある演技は、癌を患いながらも少しも動揺を見せない「卑弥呼」にピッタリで劇中一番輝いて観えました。

逆に、この作品で残念なところは、物語中盤辺りで、沙織とゲイメンバーの一人の山崎(青山吉良)が色々なコスプレ衣装を着替え、はしゃぎ回り、そのままの衣装でダンスホールに出かけて行くシーンがあるのですが、この一連のシーンは全体の流れから見て、ちょっと浮いてしまっているように思えるのでカットし、代わりに卑弥呼と沙織の母親との過去のエピソードシーンを入れて、二人の関係をもっと詳しく描いて欲しかったと思います。

それでも、肝心なラストシーンは、ちょっとお茶目な微笑ましいエピソードで終わっているので、私にとって記憶に残る作品になりました。

●採点
私のこの作品に対する評価は70点です。

私の中での、犬童一心監督の代表作といえば、「ジョゼと虎と魚たち」なので、どうしてもこの作品と比較して観てしまうのですが、残念ながら「メゾン・ド・ヒミコ」で、「ジョゼと虎と魚たち」以上の感動を得ることはできませんでした。

しかし、こういった人の感情の機微を上手に描く犬童作品が私は大好きなので、これからも犬童一心監督には「メゾン・ド・ヒミコ」や「ジョゼと虎と魚たち」の様なオリジナル脚本での感動できる作品をたくさん作って欲しいと思っています。

だから、この作品は犬童一心監督ファンの方と我がままに生きているゲイの身内を持っている方におすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、「メイクダウンをしているとは言っても、やっぱり柴咲コウはカワイイじゃん!」って思ってしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。

フル・モンティ

2005-09-12 22:42:55 | 映画 ハ行
DVDで、ロバート・カーライル、マーク・アディ、スティーヴ・ヒューイソン出演の「フル・モンティ」を観ました。

●ストーリー
昔は鉄鋼業で栄えたイギリス北部の街シェフィールドも、今は失業者が溢れ、どの家庭も生活に苦しんでいた。

ガズ(ロバート・カーライル)もこの不況に巻き込まれ、失業して6ケ月を迎えようとしていたが、仕事が無く、息子のネイサン(ウィリアム・スネイプ)の共同親権を得るために必要な養育費700ポンドが工面できず、別れた女房マンディ(エミリー・ウーフ)に親権を奪われそうになっていた。

ガズは親友デイヴ(マーク・アディ)を誘い、閉鎖された工場から鉄柱を盗み出そうとしたが失敗し、家に帰る途中、人気の男性ストリップ・グループのショーが開かれているのを見つけ、女性限定のこのショーに、裏口のトイレの窓から忍び込み、1000人近くの女たちが熱気にまみれ大きな歓声を上げている場面を目撃する。

「これなら自分にも出来る!」と感じたガズは、車に排気ガスを引き込み、自殺しようとしていた内気なロンパー(スティーヴ・ヒューイソン)、社交ダンスが得意な元上司ジェラルド(トム・ウィルキンソン)、ブレイクダンスは得意だが、年がいきすぎている黒人ホース(ポール・バーバー)、リズム音痴だがイチモツは立派なガイ(ヒューゴ・スピアー)らを仲間に加え、自分達の人生と身体を賭け、ひたすらストリップダンスの練習に取り組み始めるのだが…。

●感想
これも、随分前の作品ですが、ちゃんと観る機会がなくて、ずーと気になっていた作品であります。

思っていたよりも、主人公達を取り巻く状況はシビアなんですが、主人公のガズの行動が子供っぽいせいか、物語自体はそんなに暗い雰囲気にならず、男達の再起を賭けた挑戦をメインにガズの息子・ネイサンへの愛情を交えて上手く物語を作り上げていると思いました。

私が記憶に残ったのは、ストリップショーに出演することを決意した6人の男達が、ダンスの練習を重ねて行く上で、段々とダンスにのめり込んで行き、職業安定所で一列に並んでいる際に、いつも練習している曲がかかり、思わず同時にステップを踏み出すシーンで、とても微笑ましい気分になりました。

また、ネイサンが父親のガズのショー会場を借りる資金を作る為に、銀行で自分の預金を下ろそうとするシーンでは、親子の愛情が感じられ少しジーンと来てしまいました。

他にも、ショーの本番が近づくにつれ、各人それぞれ、巨根になる器具を購入したり、ダイエットの為にコッソリとお腹にラップを巻きつけるシーン等は気持ちがよく分かり、思わず笑ってしまいました。

「なんだか、人間って、どうしようもない状況に追い込まれても、変な見栄やプライドさえ捨て去る事が出来れば、結構シブとく生きて行けるもんだ!」と勇気付けてくれる、そんな作品でした。

●採点
私のこの作品に対する評価は70点です。

そこそこストーリー的には面白かったのですが、今一つ盛り上がりに欠けるので、ラストのダンスシーンの前にも、何か感動できるエピソードを入れて欲しかったです。

それでも、人生の崖っぷちに立たされた男達が、自分達の再起を一夜限りのストリップショーに賭け、必死にダンスを練習し、笑顔を浮かべながら、見事に脱いでいくラストシーンは、確実に私の記憶に残るものになりました。

だから、この作品は、人生の崖っぷちに立たされている方と男女を問わず、男性の裸に興味のある方におすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、「性欲に飢えた女性って、こんなにも恐ろしいモノなんだ!」と恐怖を感じてしまったのは、私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。