徒然なるままに~のんびり、ゆったり、こまやかに

猪突猛進型の60代。そして卵巣がんですっ転んで8年。目指すはのんびり、ゆったり、細やかな生活!無理かなー(#^.^#)

父のことー番外編 その1-

2016-09-05 15:12:26 | 父とのこと
父が亡くなって、あと4日で3か月が経つ。
父が一人暮らしにピリオドを打ったのが
昨年の7月11日。
家で倒れたからだ。
父は92歳になったばかり。
母が亡くなってあと少しで
11年が経とうというあたりだった。

父は母が亡くなった時、
「奥さんが先に亡くなると、
旦那はすぐになくなるらしいな」とつぶやいた。

それから1年以上が経ったとき、
「奥さんが先に亡くなると、
旦那はたいてい1年半くらいで逝っちまうみたいだ」とも。

しかし、80代からのやもめ暮らしを11年続けた。
この年月は、父と直接やり取りをした年月でもあった。

「だたいまー」と実家の玄関を開けると、
「おっ、帰ったか」と迎えに出てくれた。
母がいつもしていてくれたことを
父はこんな形でしてくれていた。

父は母と暮らしていた時には
あまり話さなかった自分の青年時代の話をよくした。
父の年齢の人々の青年時代は、戦争中。
終戦を二十歳過ぎで迎えた。
そして、捕虜を経て外地から引き揚げた。

以前のブログでも書いたが、
父は南方で天国と地獄を味わった。

拓南塾という当時の拓南省の管轄した塾を卒業して、
大東亜共栄圏といわれた東南アジア地域の
植民地に民間人として、
プランテーションの経営にあたったこと。
若干19歳の青年が、である。

ここでのおよそ2年間弱の生活が
父にとっては天国の生活。

現地召集となって、軍隊に入り、
敗戦で捕虜になり、無人島で生活したことは
言ってみれば地獄。

そんな疾風怒濤の青年期だった。
そのあたりの話を、父は母が亡くなってから、
よく話してくれた。

おまけに戒名には「南」の字を入れてくれとも。
父の90有余年の一生のうちでは、
やはりハイライトにあたるのだろう。

母が生きているときにも話さないではなかったが、
父はやはり、母がいなくなってから、この話が増えた。

レビー小体型の認知症を患っていても、
父の記憶はしっかりしていた。
私たちもネットを使って、当時の資料を集めたりした。

母が亡くなってからは、
父は母の写真を見なくなった。
それは「いやだ」と言っていた。
私たちがアルバムを取り出してみるのも嫌がった。
悲しいからかなってその時は思った。

しかし、数年たっても母がどうこうという話は
余りでなかった。
50有余年の結婚生活をしていたのに、である。
不思議だなって今でも思う。

その代りと言っては変だけれど、
青年時代のスマトラでの生活については
何回も、何回も話してくれた。

一体それは、どういうことなのだろう??
人にとって、晩年によみがえってくるのことは
一体どういう意味をもっているのだろう?
今でもそれはまだ謎・・。

私たち姉妹は、父が母より10年以上
長生きするなんて言うことを想像だにしなかった。
まるで地雷を踏んでしまったように
急に気分の変わることのある父のことは、
どうにも理解できなかった。
いや、好きになれなかったと言った方が当たっている。

父と母は1歳違いであるにもかかわらず、
私たちは、当然父は母より先に亡くなるから、
そのあと女3人で気楽に楽しめる時をいっぱい持ちたい!
そんな夢を持っていた(ちょっぴり不謹慎なのですが)。

結果、父が残った。

もし父が母より先に逝っていたら、
決して聞くことのなかったであろう話を
聞き続けたこのかんでもあった。

レビー小体型認知症は
いわゆるボケといわれる現象は少ない。
それでも最後の3年間くらいはその手の現象も出てくる。

それと反比例するかのように
あのスマトラでの日々も語らなくなった。
と、同時にあんなに好きだった
大リーグの中継にも、お相撲の中継にも、
欠かさず読んだ新聞にも興味はなくなった。

というより、そのことの意味が解らなくなったのだと思う。
そして倒れた。

それから11か月、病院や、老健をいくつか転院した。
そんなある日「奥さんに会いてえなあ」とつぶやいた。

あんなに青年時代のことばかり話していた父だったけれど
やっと奥さんのことを思い出したのか・・・。

考えれば考えるほど、この一人暮らしの中で、
父はどんな世界に生きていたのかと思う。

そして、やっぱり母とはもっと話たかった
という思いは残っているけれど、
父のことへの理解は少し深まったかと・・・。

それにしてもなのです。
あの父の家族に対する機嫌の急変ぶりは、
今話題の阿川佐和子さんが「強父論」で描く
阿川弘之さんにそっくり。

いつかこのことを書いてみようと思っています。
妹曰く、亡くなる前の日と、
亡くなった日の状況まで酷似していると!









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