林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

理系の英語嫌いを克服するには(その2)

2009年04月06日 | 英語学習
理系の生徒が英語苦手という問題は、もしかしたらかなり深刻なのかもしれない。そしてこの問題は、かつての日本の英語教育で、英語は一応は読めるけれども全然話すことはできないというのと共通しているのかもしれない。

①数学においてはある程度高度な知的水準の文章に接することができる。他方、英語学習においては極めて単純・単調な課題が設定されている。解くべき問題もない。要するに、「とっかかりのない」課題が与えられている。このギャップのために、理系の人間は英語の勉強したくなくなるのではないか。

かつての英語教育にも似たような問題があった。中学で一通り簡単な英文法を終え、高校ではかなり難しい英語を一応は読むようになる。あくまでも「一応」読めるというだけなのだが、むつかしい英文を「読み解く」という快楽を知ることができた。つまり数学の問題解くように英語の文章を読み解いていたのである。かつての高等文官試験だとか原仙作の『英標』(中原先生が改訂版を出す以前の『英標』)はその象徴であった。こういう英語の勉強が身についてくると、単調な英会話の勉強ができなくなってしまうものだった。幾ら英会話のために必要だとわかっていたとしても、読むだけならば余りにシンプルな英語表現を、今さら声に出して覚えることなどは、バカバカしくてやっていられなかったのだ。(また、英会話を学習する機会も限られていた)。

私の考えでは、理系人間が英語が苦手であるというのと、後者の英文「解釈」英語教育で英会話ができなくなってしまうのと、かなり共通の要素がある。学問的刺激を求める生徒と学問以前的英語学習とのギャップが原因で、英語の勉強がはかどるなくなると言ってもよい。ではどうしたらよいのか。

②いくつかの対策

(a)プログレス型
学問教育と非学問的英語教育のギャップが英語学習を妨げる原因であるとするならば、英語教育で取り扱われる英文やサウンドを知的に高度な内容を含むものにしたらよいということになる。この考え方にのっとったのが、私見では、フリン神父が執筆したプログレスのような教科書である。

もっともこの教科書は、1960-70年代と1990年代以降とでは受容のされ方が相当変わってきたのではないかという気がする。

(b)早期幼児英語教育型
子供が言葉を覚えるときのように、まずは会話から入ってくるアプローチというものがある。このアプローチの欠点はすでに述べた。学問的刺激を求める高校生や大学生には退屈なものに映るかもしれないのだ。しかし、会話重視のアプローチを10歳前の段階で始めることができるならば、そういう抵抗を受ける心配は全くないということになる。

ただしこのアプローチは、日本において現実的であるのかは疑問である。日本には、幼児からの本格的英語教育の学校はほとんどないからである。また、ある程度知的にすぐれた子供を集める事ができなければ、単なる半日本人養成の英会話学校になってしまうだろう。


(c)初期に集中型アプローチ
日本では英語の勉強をおもに中学3年高校3年の計6年間にやってきた。だがよく考えてみれば、中学1-2年生と中学3年生とではかなり成熟度に違いがある。子供の発達段階から考えれば、小学5・6年生から中学1・2年生、中学2・3年生から高校3年生というふうに分けることが出来るだろう。(細かい点にはいくつか異論があろう)。前半と後半とではアプローチや教育方法を変えるべきではないだろうか。

小学校56年生になると10歳以前の小さな子供ではないので、文法の考え方を使って言葉を教えることができる。かといって高度な英文を読み解く段階ではない。私見では、この段階で集中的に文法学習や発音学習をやるべきではなかろうか。週5回以上の頻度で、しかも少人数クラスで集中的に英語教育をしてしまえば、かなりの効果を上げることができるだろう。

逆に中三くらいになって、英文法の基礎が身に付けば、英語は週2-3回でも良くなってくる。仮に週二回の英語の授業でも、ある程度英語ができるようになってしまえば、家庭学習で対応できるようにようになるからだ。(ハワイイ大学では初級では週五回、中級では週三回であった。初級段階で頻度を多くするのは、正しいアプローチだと思ったものだ)。

私はこれが現実に即してもっとも理想的な英語教育の方法論だと思っている。小学校56年生からの英語教育が無理であれば、中学校1-2年生の間に資源の集中投資をしてしまえば良い。(少人数制が無理であれば、大人数でも仕方ない)。中三以降になって、 SVとかSVO だとか、「疑問文にして」「否定文にして」とか、退屈な英文法の学習等を勉強したくないではないか。

英語力としては中学2年生で英検準二級レベルに持っていく。そうすれば、中三あるいは高1で自然に英検2級が取得できるようになる。