GWも終わったので、電子書籍サイトwookで公開している私の拙作の短編小説
「爪」を、少しだけ補正して、再度UPしました。
なぜ、GWが終わったこの時期なのか?というと、物語の舞台となっている季節が、
ちょうど今ごろの季節だから。
イラストにしろ、小説にしろ、作品と名の付くものは永続性を追い求めるためにも、
ある意味生鮮食品と同様に、“旬”というものが大切なのではないだろうか・・・と
思うことがあります。
なので、定期的に読み直して、その時代その季節に即した作品として修正するのも、
作者としての責務なのではないかと思うのです・・・なぁーんて、クソ真面目に
書いていますが、要は、できるだけ、たくさんの方々に読んでいただきたいと(笑)
この作品は、今からちょうど10年前に書いた小説です。
自分でこう書いて、ちょっと驚いた。
もうそんなに時間が過ぎているだなんて。
まだ5年くらいかと思っていた。
でも、どんなモノでも自分で作った作品は、自分の分身・・・まさに自分の子どもと
同じような感覚なので、どれだけ時間が経っても、愛おしいです。
よろしければ、お読みください。
●「爪」の電子書籍サイト→
http://wook.jp/book/detail.html?id=208119
最後に、2年前に初めて電子書籍にUPした直後に私がこのブログに書いた、
この作品を執筆した経緯を転記しました。
参考までに読んでいただければ、嬉しいです。
もっとも、上述した文章よりも、こちらの方がちょっと長いけど(笑)
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先日のブログにも書きましたが、僕が生まれて初めて世間に発表した小説は、タウン誌に連載された
「コカ・コーラ!」という中編小説でした。
執筆したのは2002年で、連載されたのはその翌年の5月から7月まで。
で、それが脱稿して後は連載されるだけ・・・と言う時期に、もう1本書いてみたいなぁと、
自然にそんな思いが芽生えて書いたのが、この小説でした。
テーマは、「血筋」です。
当時は僕自身、父親という存在になって間もなかったためか、親から受け継ぎ、自分を媒介して、
子どもに受け継がれてゆく・・・ということに、ものすごく敏感になっていたのだと思います。
内容は前作の「コカ・コーラ!」と比べると、本当に同じ人間が書いたのか?と思うほど、
シリアスですね(笑)
「コカ・コーラ!」は、とにかくひたすら明るくて一直線な青春小説だったから。
この作品の重要なキーワードになっているのは「原爆」です。
広島に落とされた、原爆。
僕は広島県で生まれ育ったので、血縁者に被爆者が何人もいて、中にはいまだに遺骨が見つかっていない
親類もいます。
だから子どもの頃は、毎年8月6日が訪れるたびに、そういう話を祖父母や両親から聞かされて育って
きたんですね。
大人になった今でも、8月6日が仕事が休みであれば、子どもたちを連れて出来るだけ平和公園に
お参りするようにしています。
だから「原爆」を題材として扱ったのは、広島に生まれ育った人間として、もう本当に必然というか、
責務というか、大げさかもしれませんが“使命”のようなつもりでしたね。
そして、もうひとつのキーワードが、タイトルにも用いた“爪”なんです。
これは、原爆とは反対に日常の些細な出来事からヒントを得たものなんです。
僕の妻の足の小指の爪って、ちょっと個性的というか変わっていて、ほとんど爪がないんですよ。
申し訳程度に、チョコンと小指にくっ付いているような感じで(笑)
ある日、当時3歳くらいだった娘の足をふと見たら、小指の爪のカタチが妻ともうホントにそっくりで。
それを見た瞬間、“親子って、こんなところまで似るのか”と、驚きというか、感心というか、とにかく
ものすごく印象に残って。
そういった子どもの頃の経験や大人になっての出来事を自分なりに咀嚼して執筆したのが、この小説でした。
執筆後、この作品は中国新聞主催の「中国短編文学賞」に応募したんです。
そしたら、入賞は逃したものの、最終選考まで残ってしまった。
処女作の「コカ・コーラ」の受賞は、あくまでもビギナーズ・ラックだと思っていたから、さすがに
二匹目のドジョウはいないだろうと思っていたのに、結果として予想以上の善戦だったもんだから
とても驚いて・・・そういうことがあれば、僕も人間だから勘違いしますよね。
“あ、俺って、もしかしたら小説を書ける人間なのかな?”って(笑)
だから、ちょっと腰を据えて書いてみようって思ったのは、この小説がきっかけだったような気がします。
電子書籍にUPしてからは、たくさんの方が購読してくださって、読後に何人かの方からコメントを
いただいたのですが、
「泣けました。そして、最後、感動しました。とても深い作品、たくさんの人に読んでいただきたいと
思いました。」
・・・と感想をいただいた時は嬉しかった。
テーマや題材から考えても、僕自身、できるだけ多くの方に読んでいただきたいと思っていましたから。
あと、ずいぶん前にご購読いただいた方で、
「 同じ本なのに、前回(昨年)と今日では読後の感じ方が違いました。 つい、東北の事が頭に浮んでしまいます。」
・・・というコメントをいただいた時は、この作品は、もう完全に自分の手元を離れて不特定多数の読者の
ものになってしまったんだな、と実感しました。
最後に表紙の装丁についてですが、これは原爆ドームをモチーフにしてデザインしました。
この装丁を見て、東京の友達でクリエーターのちいはなちゃんが、「いいデザインだね」って褒めてくれた。
同い年で、仕事に厳しい彼女に褒められたことは、想定外のことで嬉しかったです(笑)
●「爪」の電子書籍サイト→
http://wook.jp/book/detail.html?id=208119