りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

薄紫色。

2014-09-01 | Weblog
“9月”いう言葉を耳にすると、なぜかワタシは反射的に薄紫色を思い浮かべてしまう。

薄紫にも色々あるが、ワタシがイメージするのは、少し赤みがかった淡い薄紫色。
出来事でも人物でも風景でもなく、なぜこのような色を思い浮かべるのか、今まであまり深く考えたことはなかったが、
最近になって、その理由が少しだけ分かりはじめた気がしている。

小学生の頃の9月には、まだ夏休みの延長戦を過ごしているような感覚があった。
学校が終わって家に戻り、ランドセルを背中から降ろすと、ワタシは即行で家を出て、夏休みの時と同じように
近所の友だちと空き地や野山で遊びまわり、そしてふと気がつくと、いつの間にかすっかり日が暮れてしまっていることがよくあった。

あれだけ眩しかった太陽が西の空に沈み、少しずつ風景から色彩が消えて、輪郭が曖昧になってゆく。
見上げると、真っ青だった空は藍色に変わり、その奥で小さな星が瞬きはじめている。
そんな景色を眺めていると、まるで世界からたった一人取り残されたような感覚になる。


〈もう、夏は終わったんだ〉

子供心に、そう感じ取った。
そんな時、藍色の空から降りてきて、ワタシを包み込んでいたのは、決まって淡い、薄紫色の空気だった。


ワタシと妻の誕生日があったり、結婚記念日があったり。
おそらく我が家にとって、12ヶ月で最も特別感がある、9月。

夕暮れ時の景色を眺めて琴線が触れるようなことは、今ではトンと無くなってしまった。
それでも、クタクタに疲れた一日の終わりに、何かしらの趣きを感じられるならば、それに越したことはない。

8月は曇天が多かったぶん、9月は晴れの日が多いことを願う。
綺麗な薄紫色の夕暮れが、一日でも多く訪れますように。
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