齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

11月の言葉「歩々是道場(ほほ これ どうじょう)」

2016年11月03日 | 今月の言葉
皆さん、お変わりございませんか?

早いものでもう11月の声を聞くことになりました。
ついついこの間まで、「暑い、暑い」と言っていたのに
めっきり寒さを感じるようになりました。

皆様お風邪を引かれませんように、ご用心ください。

ご来訪、感謝致します。


今月の言葉は「歩々是道場(ほほ これ どうじょう)」です。




「道場」とは禅の世界では「真の自己」を求めるために修行する場所という意味で使われます。

この語は「直心是道場(じきしん これ どうじょう)」(赤子のような、こだわりのない、直(じか)付(づ)けの「こころ」でいるならば、建物などにこだわらず、どこに居てもそこが道場である)という言葉から由来していて、「日常生活の諸局面や人生のいつ、いかなる場所も即ちこれ道場である。」というのが本意であります。

さりながら、小衲は、未熟なる故か、この語に出会うと、いつも「歩」という文字にこだわり、「一歩一歩、道場に居ると思って歩いているか(生きているか)」と直感します。

「足元を見る」という言葉があります。
昔、駕籠かきや馬方が旅人の歩く姿(足元)を見て疲労度を見抜き、高い値段を要求したことが語源であるといいます。

禅問答に来室する修行者の足音だけで、指導者はその修行者の完成度が判るといいます。

禅の世界で修練された方の歩き方は本当に清々(すがすが)しいものです。
その歩かれる様(さま)に一陣の清風を感じ、まさに「歩々清風起」(ほほ せいふう おこる)であります。

『「歩」は「口ほどにモノを言う」』と言えます。

この語に会うと、結果、本意に繋がるのですが、いつも「(内面が出るという)私の歩き様(ざま)は大丈夫か」と先ず自省する小衲であります。




     お知らせ

十一月二十日 午後二時

 花園会秋季特別布教 布教師 一色宏襄師


十一月二十三日 午前十時 先住東慶和尚 大祥忌

           導師 岫雲軒老大師


                                                  平成二十八霜月