今日の女王サマ

映画、本、音楽、お出かけ、思ったことなどズラズラ書き連ねています。

ドン・チードル

2006年02月02日 | 映画&本&音楽&TV
ドン・チードルと聞いても、私の周りでは知っている人がほとんどいません。
 米国の黒人俳優といえば、シドニー・ポワチエから始まり、デンゼル・ワシントン、ウェズリー・スナイプス、ウィル・スミスが有名ですね。メジャーな映画配給会社は『ホテル・ルワンダ』に出資するにあたり、主役にそういう有名俳優を使って欲しかったらしいです。

しかし、私は予告編でドン・チードルを見たときから、この映画には彼がピッタリだと思っていました。最初から既にヒーローのイメージを持つ俳優を持ってきたのなら、この映画はそこそこのヒットで終わったと思う。いや、ヘタしたらヒットしなかったかも。

脇役としてのキャリアは長く、今回が初めての主役。
主な出演作品は ◆ブギーナイツ ◆ブルワース ◆アウト・オブ・サイト ◆天使のくれた時間 ◆トラフィック ◆ソード・フィッシュ ◆オーシャンズ11 ◆オーシャンズ12 ◆リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 そして2月11日公開の◆クラッシュ

私の上司にあたるデスクは何人かいますが、そのうちのお一人に似ているって常日頃思っています。
  もちろん日本人ですから顔は黒くないけど・・・(笑)。

ホテル・ルワンダ

2006年02月01日 | 映画&本&音楽&TV

都内ではシアターN渋谷のみの単館上映。シアター1が75席、シアター2が102席の小さな劇場ですが、2月3日までは両方で『ホテル・ルワンダ』を上映中。

米国では2004年12月公開。1カ月後には2300館で拡大公開されるヒット作になりましたが、日本では公開の予定さえありませんでした。「日本でも観たい」と20代の若者がインターネットで署名活動を展開、3カ月で4000通超を集め、公開の運びとなりました。

映画ファンサービスデーとは言え、雨の降るこんな日にどんどん席が埋まっていくんですよ。私が行った11時15分の回は残り3席でした。

『ホテル・ルワンダ』は実話。ルワンダで起こったフツ族とツチ族の諍い、大虐殺を映画化したものです。
フツとツチと言っても、見かけは同じアフリカ人。どこも違いはないけど、フツは多数派、ツチは少数派で、この民族間には長年の確執があるのです。

ツチ族の隣人が民兵に連れ去られるのを見ても、妻タチアナ(ツチ族)の兄から「ツチ族の大虐殺が始まる」と聞かされても、主人公ポール(フツ族)はまだ楽観的でした。世界が見ている中での虐殺などありえないと思っていたんです。
 (連れ去られる隣人を見るポールと妻タチアナ)

しかし、フツ族の大統領がツチ族に殺されたのがきっかけになり、大虐殺が始まります。ポールの働くホテル、ミル・コリンには民兵に追われたツチ族や穏健派のフツ族が集まってきて、難民収容所のようになって行くのです。

1994年当時、日本ではそれほど大きく報道されなかったんじゃないでしょうか。新聞の1面やテレビのニュースで見た記憶はあるけど、遠い国の出来事ぐらいにしか思っていませんでした。

欧米諸国も静観していたんですよ。当時、ルワンダにいたのは国連の平和維持軍で、非介入を貫いていたのです。欧州諸国の介入を心待ちにしていたポールの元にやってきた国連軍は、ルワンダ人を助けるために来たのではなく、国連職員や外国人を退去させるためだったのです。 
 
自分たちを置いて、みな行ってしまうんです!絶望じゃないですか!

  わずかなツテを頼って出国するチャンスを得るのですが、ホテルに残される人たちを見て、ポールは土壇場で残る決意をします。その頃、ホテルには1300人近くの難民がいたのですから・・・。

最初は「とにかく自分の家族さえ助かれば」と思っていたポールは、いつしか難民の救世主になっていくのです。しかし、下手すりゃ自分も殺されかねない状況で時には絶望の淵にも立ったことでしょう。
100日で100万人の殺戮は今の若者言葉で言えば「ハンパない」数です。
このとき、平和維持軍は2500人からほぼ10分の1に減らされてます。

テレビのニュースで見ましたが、ナタを振り下ろして殺すんです。子供も殺す、根絶やしにするために。
首を落とされた死体がゴロゴロしているというニュースも見ました。
 

現在のルワンダは、2003年に挙国一致政府の大統領が選出され、フツ族、ツチ族という用語も使われていません。しかし、人口レベルは虐殺前当時にはまだ戻っていないそうで、貧困水準も非常に高い国なのだそうです。

遠い国のことだからと無関心でいてごめんなさい。そう謝りたい気持ちでした。

 ←実際のポール・ルセサバギナ氏(家族と共にベルギーへ亡命)
実際のポールはとてもタフなイメージ。しかしこの映画ではドン・チードルがはまり役です。1800円払っても惜しくない映画でした。オススメ!

                         ◆公式サイト→