午前中に『ぼくを葬(おく)る』を観ようかなと思っていたのですが、終わったあと仕事が始まるまで30分しかないので断念。仕事のあと、銀座テアトルシネマのレイトショーで『RENT』を観ました。
以前観た『シカゴ』『オペラ座の怪人』『プロデューサーズ』がクラシカルなミュージカルなら『RENT』はロックなミュージカルで、テーマもエイズ、同性愛、ドラッグと少し重いものです。
オープニングは舞台版へのオマージュとも言えるシーン。整列したメンバーが「Seasons of Love」を歌う場面から始まります。
52万5600分をあなたは何で計りますか?で始まるこの歌はとても印象的で耳に残ります。
これといったストーリーはなく、エイズに苦しむ若者、恋人を亡くす哀しみ、創作に身悶えする若者たちの群像劇なんです。
当時(1980年代後半)はHIVが世間に知られるようになった時代で、詳しい原因がわかっていなかっただけにその恐ろしさは今と比べようもないほどでした。
創作の苦しみというのは、凡人には分からないものですよね。私だったら自分にその才能がない、とすぐに諦めがつくけど、彼らは違う。自分には才能があると信じて疑わない。それが若さと言えば言えるけど、家賃(RENT)が払えないほど貧乏でもけして夢を諦めない。
台本・作詞・作曲を手がけたジョナサン・ラーソンは1996年1月25日、『RENT』のプレビュー前夜、大動脈瘤破裂で亡くなりました。映画のなかでメンバーの1人、ロジャーが「たった1曲でいい、自分が納得できる音楽が生み出せたら死んでもいい」と歌う場面があります。これはジョナサンの叫びでもあったのでしょう。35歳で亡くなった彼は、売れない作曲家でした。『RENT』の住人の1人1人が彼の分身だったのかもしれません。
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