今日の女王サマ

映画、本、音楽、お出かけ、思ったことなどズラズラ書き連ねています。

ブロークバック・マウンテン

2006年04月01日 | 映画&本&音楽&TV
水曜日にシャンテシネが満席で観られなかった映画です。
本当は、今日、ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズで『ステップ!ステップ!ステップ!』というドキュメンタリー映画を観たかったのですが、3月31日で終了してました。今更ながら、水曜日東劇へ移動して『ヒストリー・オブ・バイオレンス』を観たのが悔やまれます。いや『ヒストリー・・・』は面白かったけど、来週でもよかったなぁ、って気持ちです。

さて『ブロークバック・マウンテン』。
1963年のワイオミング州、ブロークバック・マウンテン。季節労働者の羊番としてイニスとジャックは知り合います。
2人だけで山にこもり仕事をするうち、友情よりも強く深い感情が芽生えます。
男らしさの象徴であるカウボーイ。自分たちが同性愛者であることを認めたくない・・・。お互いに気まずい罪悪感を持ちつつも抑えることのできない情熱。

仕事が終わり、山を降りた2人は、再会の約束もしないまま別れて行くのですが、一見クールなイニス(写真右)は建物の陰に隠れて号泣するのでした。

イニスはその後、結婚して2人の娘が立て続けに生まれる。ジャックの方も大金持ちの娘ラリーンと結婚し、息子が生まれます。
数年後、ジャックから近いうちイニスを訪ねて行くというハガキが来ます。4年ぶりの再会に衝動を抑えきれない2人は物陰で抱擁し、キスを繰り返すのですが、イニスの妻がそれを目撃してしまいます。
当然のように、イニスと妻の関係は冷え込んでいき、ついに離婚。それを知ったジャックは一緒に生活できると思い込みイニスのもとに車を飛ばすけど、そんなことできるワケないと拒絶されショックを受けます。

年に数回逢う関係が20年近く続いた時、ジャックに宛てたハガキが返送されてきます。「死亡」のスタンプが押されて・・・。
ジャックの妻ラリーンに電話すると、事故で死んだと告げられる。しかし実際は、ゲイを嫌う男たちによってリンチされた挙句の死だった。
ラリーンは「遺灰をブロークバック・マウンテンに撒いて欲しいと言っていた。彼の両親を訪ねてみて」とイニスに伝えます。

生家を訪ねたイニスが、ジャックの部屋に入りクローゼットを開けてみると、あの1963年の夏、初めてジャックと知り合った夏に自分が着ていたシャツがジャックのシャツと重ねてハンガーに掛けてあったのです。ジャックは20年も自分を想っていてくれた。シャツに顔を押し付け涙にくれるイニス。

1人になって今はトレーラーハウスに住むイニス。ジャックの部屋にあったシャツは、今はイニスのクローゼットに掛けてあります。ブロークバック・マウンテンの絵葉書とともに。

はぁ~、ため息。やっぱり愛にゲイもヘテロもありません!
ゲイバッシングによるリンチを何よりも恐れていたイニス。彼自身が幼い頃に見たリンチがトラウマになっているからなのです。

『トーチソング・トリロジー』というゲイ・ムービー(元はブロードウェイのミュージカル)を観た時も、主人公の恋人がリンチによって殺されるのに私は衝撃を受けました。この映画は1988年製作。『ブロークバック・マウンテン』でジャックが殺されたのは1982年となっています。わずか20数年前です。
近代国家のアメリカでも、まだまだ同性愛には偏見があるということなんですね。アカデミー賞に多数ノミネートされながら、監督賞だけしか受賞できなかったのも、こんなところに理由があるのでしょうか。

イニス役のヒース・レジャーは『チョコレート』『サハラに舞う羽根』『ブラザーズ・グリム』で観た時と喋り方が違う!口をあまり開かないモゴモゴした喋り方。ひょっとしてこれ、方言を喋ってたのかな?

ゲイを描いた映画なので、観客もそれらしき人が多いです。私の右隣に座ったカップルはまさにそう!女性にもモテそうなちょっとワイルドな感じの青年と、胸元に大きめのネックレスを垂らした中年男性。中年の方が「もっと後ろの方がよかったぁん」(私、苦笑)と言うと、若い方が「ごめんネ」と優しく謝っていました。とにかくオトコの二人連れが多かったデス。

白バラの祈り-ゾフィー・ショル、最期の日々

2006年04月01日 | 映画&本&音楽&TV

1943年、ヒトラー打倒を市民に呼びかけた実在のグループ“白バラ”の紅一点、ゾフィー・ショル。ミュンヘン大学の学生でもあった彼女の、逮捕から処刑までの5日間を描いた作品です。


通常49日かける裁判はたった1日で終わり、刑の執行までの“99日の余裕”は、即日執行という形で終わります。まさに見せしめですね。

逮捕のきっかけとなったのは大学構内で反ヒトラーのビラを撒いたこと。兄とともに人目を避けて、構内のあちこちにビラを配置し、3階の手すりからホールに向けてビラをすべり落とす・・・しかし、用務員がそれを目撃していてゲシュタポへ通報してしまいます。

取調べが始まり、最初は無関係を訴えていたゾフィーでしたが、保釈を目前にして自宅から証拠物件が見つかってしまう。やがて兄が「自分たちがやったことは間違っていない」と事実上行いを認めて署名したことを知り、ゾフィーも「信念に基づいて行動し、それを誇りに思っている」と反撃に出ます。

ゲシュタポの取調官モーアは、自身も同じ年頃の息子を持つ父親。人生を台無しにしているとしか思えないゾフィーの態度に、仲間の情報提供と引き換えに逃げ道を用意するのですが、ゾフィーはこれを拒否。兄妹のあとに逮捕されたビラの草案者クリストフと共に人民法廷で有罪の判決を受けます。

独房へ移されたゾフィーは「すぐに別れの手紙を書きなさい」と言われ、即日執行されることを知り激しく動揺します。
地方から両親が面会に来て、「もう会えないのね」「天国で会いましょう」というシーンでは、切なさに劇場はすすり泣きの音。私も今日はスッピンで出かけたので、思い切り涙を拭くことができました。
実際は、ご両親は即日執行を知らされていなかったようです。

処刑は絞首でもなく、ガスでも電気でもない、なんとギロチンです。静かに笑って逝ったゾフィー。若くて純粋な思想犯は強いな。

1943年
2月18日 ハンスとゾフィーのショル兄妹 逮捕
2月19日 ビラ草案者のクリストフ 逮捕 
2月20日 クリストフ 草案者であることを認める
2月21日 起訴状作成
2月22日 人民法廷 審理開廷・有罪判決 即日執行