マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

君のためなら千回でも

2008年02月07日 | 映画
 ソ連からもアメリカからも介入されなかったアフガニスタンが、こんなに平和でこんなに豊で、こんなにユーモアに溢れた国だと思わなかった。アフガニスタン国民のレジャーが大空に飛ばすタコ上げだったことも、この作品で知った。

 ここに登場する二人の少年は立場は違うが、強い友情で結ばれている。お互いに、大の映画好きでもある。おこづかいを貯めては街の映画館に通う。彼らが好きな映画がアメリカの大スター、スティーブ・マックイーンの作品だったことに、微笑んでいた。作品は「砲艦サンパブロ」と「大脱走」だったと記憶する。カブールの少年たちにとっての憧れの銀幕の大スターが、スティーブ・マックイーンだったことに、私は感涙にむせた。私の中でも、スティーブ・マックイーンはアメリカを代表する男優だと信じていたからだ。

 こんな穏やかで平和な国アフガニスタンの首都・カブールにソ連が侵攻する。すぐさま、アメリカが介入し始める。内戦の火蓋が切られるとともに、あどけない二人の少年の友情が見るも無残に引き裂かれていく。少年たちの憩いの場であった映画館も銃弾と爆弾で廃墟になってしまう。

 泣けてくる。

 戦争をテーマにした作品を見ると、その本数だけ、戦争の傷跡が心に残り、胸が痛んでならない。今公開中の日本映画「母べえ」を見た時もそう思った。平和な街の風景、明るい人々の表情を破壊する戦争を、なぜ人間は愚かにも繰り返すのだろうか。

 戦争がある以上は、戦争をテーマにした映画はこれからもずっと創られていくだろう。しかし、願わくば、戦争映画がスクリーンから消える日が来て欲しい。その時こそ、本当の意味で、世界に平和が訪れる日になるのではないだろうか。

監督 マーク・フォースター
出演アブダラ アミール
エルシャディ ババ


2月9日 恵比寿ガーデンシネマ、シネスィッチ銀座にて公開


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