マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『サンバ』

2014年12月07日 | 映画

『最強のふたり』に感動した人なら、今回の『サンバ』では、さらに2倍も3倍も感動するはずである。

年末に来て、私の今年のベストワンの作品が登場してくれた。

フランスの移民問題を、かくも優しく、かくもシリアスに、かくもユーモラスに、かくもさわやかに描ききった作品は他にはないだろう!

『最強のふたり』での黒人男優オマール・シーの演技は『サンバ』によって、さらにデリケートにさらにセンシブルにさらにユーモラスにバージョンアップしていた。

主人公サンバことオマール・シーの恋人役になるシャルロット・ゲンズブール。彼女は強度のうつ病を患っているが、サンバに出会うことで、心の痛みが徐々に緩和されていくこのデリケートな変化。

脇に回った俳優陣の12色のパステルカラーのようなカラフルな演技。

「移民問題」を、優しいオブラートで包みながら、そのオブラートの中身がきちんと見えてくるという見事な演出の余韻は、今も、そしていつまでも続くだろう。

12月26日から公開

【監督】エリック・トラダノ  オリヴィエ・ナカシュ

【出演】オマール・シー  シャルロット・ゲンズブール タハール・ラヒミ  イジア・イジュラン


瀧澤陽子「映画塾」のご報告

2014年12月01日 | 講演

 

 

11月29日の「瀧澤陽子の映画塾」には約100名弱の参加者があり、大変感激しております。

ご参加いただいた方に心から感謝申し上げます。

映画という魅力が繋げる「輪」であると、実感しました。私の講演はともかくとして、今回は参加された方に私の方から、逆質問しました。

「あなたにとって、人生で一番思い出深い映画は?」

こんな質問を投げかけました。

ある参加者の方は「フィールド・オブ・ドリームス」と答えました。その方の理由は若くしてお父上を亡くされたとのことです。この作品で、父親が天国から舞い戻ってきてくれたような気持ちになり、亡きお父上の懐かしい思い出が頭をよぎったそうです。

素晴らしい話だと、私は涙が出そうになりました。

他の方からは、「地上より永遠に」「スタンドバイミー」「風と共に去りぬ」「となりのトトロ」

「ベンハー」「駅馬車」「しあわせの黄色いハンカチ」「ゴジラ」「エディット・ピアフ 愛の賛歌」

「冒険者たち」「ひまわり」「自転車泥棒」「かもめ食堂」などなどと、新しいところでは、「イヴ・サンローラン」などと、数えきれない作品が参加者の方の口から飛び出しました。

その中でも、かなりエキセントリックな作品、ブライアン・デ・パルマの「殺しのドレス」のお答えが出た時、パルマファンの私はとっても嬉しかった。

こうやって、話が尽きなくなるのも映画の持つ魅力です。

私はいつも言うのです。

「映画は暗闇の中の約2時間の旅」であると。

行ったこともない国の人々、食べ物、文化、風景に短時間で出会える複合的な芸術なのです。

次回は来年の5月を目指して開講する予定です。次回の講師には、映画監督、作家などを計画しておりますので、ご参加いただけると幸いです。