月に2回、地元の福祉センターで映画解説をして、早3年がたってしまった。
邦画、洋画と交互に解説している。最近作で、一番感動を与えてくれたのがビットリオ・デ・シーか監督の「ひまわり」(1970)だった。
リアルタイムで見たのが中学1年生の時。戦争に巻き込まれる夫婦の姿、その悲しみが、幼かった私には衝撃的だった。
戦争の愚かさを初めて教えてくれた作品でもあった。ソフィア・ローレンが、行方不明になった夫を捜し、ソ連のひまわり畑に佇むシーン。
その夫となるマルチェロ・マストロヤンニには現地の妻がいたという悲劇。
ヘンリー・マンシーニの不朽の名曲が悲しく流れ、まるで映画音楽に奇跡が起こったように、ストーリーに溶け込んくる。
サウンドトラックを聴いているだけで、映画のシーンが思い出され、涙が溢れる。
こんな素晴らしい作品に出会うのは一生に1度と言っても過言ではない。
執筆と違って、解説という仕事は自分のありったけの言葉を駆使して、観客に訴える。
まるで、ライブハウスのような乗りで、観客が私の肉声に反応するまさにその瞬間、活字では味わうことのできない快感が体を走る。
これもまた、映画の感動を伝える手段としては重要なエッセンスだと、実感している。
さて、来週は、どんな作品のリクエストがあるのか…。