マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『50/50 フィフティ・フィフティ』

2011年11月26日 | 映画

 

 

さて、この映画をどういう風に料理しようか?試写を見て、かなり感動して、この感動を早く表現したいと思っていた。感傷的なカッコつけた文で始めるか、それとも、軽いタッチのチャライ文で始めるか、散々悩み抜いて、今日に至ってしまった。というのも、この作品はどちらの文章タッチにも当てはまらないほど、掴みどころもなく、実に個性的で新鮮な魅力を持った作品だったからでしょう。

ラジオ局に勤める27歳の青年アダムが、ある日、晴天の霹靂、ガンの宣告を受ける。5年生存率は50%。つまり映画のタイトルのように50/50なのである。

「なんで僕が?!」 

多分、私もこの宣告をされたら、「なんで私が?!」と、主人公アダムと同じリアクションをしたに違いない。

そして、残された命をどう生きるか、と、死の恐怖と戦いながら暗い日常を生きるのだろうか?家族、友達と、自分を愛してくれた人々にお別れを言うことの辛さ。想像しただけでも、涙が出そうになる。

あれっ?でも、本当にそんなもんかな?そんなに簡単に自分の命を限定していいのかな?そうそう、50%の生存率は50%の死と生と半分づっつ。ならば、50%生きることも可能なわけじゃない。

ポジティブな私は、50%の生に運を使おうと思った。

アダムも多分そう思ったのだろう。生死をかけた手術に踏み切った彼の生き様に、私は黒澤明監督の「生きる」の主人公がダブった。

人は死を宣告された時、自分のためには生きることはできないが、人のためには生きることができる。そう愛する人、友達や家族のためには無我夢中で生きることができる。

スクリーンを飛び交うユーモアに満ち溢れたセリフや滑稽なシーン。アダムの周囲の人間たちが冷たいようで、実は物凄く暖かい。生と死という重いテーマにも関わらず、ガンの最高の特効薬が「笑い」であるということを確実に証明してくれた作品でもあった。

 12月1日から公開

【監督】ジョナサン・レヴィン

【出演】ジョセフ・ゴードン・レヴィット  セス・ローゲン  アナ・ケンドリック

 


「昭和の銀幕を語る~名作、名優、名セリフ」

2011年11月05日 | 講演

11月2日、船橋市南老人福祉センターの教養講座の講師として、「昭和の銀幕を語る~名作、名優、名セリフ」の講演をしてきました。

邦画では「愛と死を見つめて」「キューポラのある街」「紅の拳銃」など、日活全盛の頃の作品。そして、昭和を代表する作品を心を鬼して絞った結果、黒澤明監督の「生きる」と小津安二郎監督の「東京物語」でした。

洋画ではアメリカ西部劇の代表的作品「シェーン」、アルフレッド・ヒッチコックの「サイコ」における主役のアンソニー・パーキンスの魅力。

デビット・リーン監督の「旅情」とキャサリーン・ヘップバーン。

ビリー・ワイルダー監督の「お熱いのがお好き」とマリリン・モンロー。この作品には最高の名セリフがありますね。もちろん「Nobody is Perfect」(完全な人間はいないよ)です。

「カサブランカ」における、イングリッド・バークマンとハンフリー・ボガート。最高の悲恋であり最高のラブロマンスです。この作品にも「here`s looking at you、kid」(君の瞳に乾杯)、ラストの素晴らしい男の友情「Louis、I think this is the beginning of a  Beautiful friendship」(これこそ、美しき友情の始まり)という伝説的な名セリフがありますね。

フランスではルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」とアラン・ドロンの魅力。

デボラ・カー主演の「お茶と同情」「めぐり逢い」「情事の終わり」、ぺティ・デーヴィスの「イブの総て」と、出てくるわ、出てくるわ。

たくさんあり過ぎて、なかなか、一時間の講演では語り尽くすことができませんが、来年の3月に続編の講演がありますので、その時補足するつもりです。

で、ラストはやっぱ、「風とともに去りぬ」ですよね。南部の女の底力とたくましさを演じたスカーレット・オハラことビビアン・リー。「after all 、Tomorrow is another day」(明日は明日の風が吹く)」の名セリフをお客さまと一緒に叫んでもらって終わりにしました。

「明日は明日の風が吹く」。最高にボジティブな言葉で、元気がでますよね。

講演にいらした方から、「シェーン」のアラン・ラッドの身長の話が一番面白かったというご意見がありました。

アラン・ラッドは公表身長は175センチメートルですが、実際は165センチ弱で、身長を高く見せるために台を置いて矯正した「セッシュ」というトリックを使ったことは有名ですよね。私にとっては当たり前の情報でしたが、初めて聞く皆さんはびっくりしてました。

ハリウッドのスキャンダル本「ハリウッドバビロン」みたいな話が、実は皆さんお好きなのかしらね。