マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

「P.S. アイラヴユー」「最後の初恋」

2008年09月29日 | 映画
久しぶりにコテコテのラブロマンスの登場だ。

最近、なんだかやたらアナーキーになり、より男性化しているので、ネチャネチャした、靴にへばりついたチューイングガムみたいなボーイズミートガールズストーリーは、苦手で好みではなくなっていた。が、『P.S.アイラヴユー』と『最後の初恋』だけはめっけもんで、泣けていた。


●『最後の初恋』

 リチャード・ギアとダイアン・レイン共演と聞いて、『運命の女』の続編かなと思ったら、『マジソン郡の橋』と『タイタニック』を足して2で割ったみたいな正真正銘の大人のラブロマンス。主役の女性のダイアン・レインが独身だったら、この物語は単なる茶番で終わっていたが、二人の子持ちだという設定が、よりこのラブロマンスに真実味を加えていた。

 しかし、リチャード・ギアはオッサンになっても、ラブロマンスが似合う。日本ならば、田村正和なのかも…。いずれにしても、リチャード・ギアの色気は健在でホッとしたマリリンだった。


全国で公開中

監督
ジョージ・C・ウルフ

出演
リチャード・ギア
ダイアン・レイン
スコット・グレン
ジェームズ・フランコ


●『P.S. アイラヴユー』

 これも『最後の初恋』以上に、体が溶けるくらいのコテコテのラブストーリー。ただし、恋愛というよりも夫婦の絆と純愛を描いている点で、ラブストーリーのジャンルに入れていいものやら…。

 オープニングでヒラリー・スワンクが夫役のジェラルド・バトラーと夫婦喧嘩するシーンに、「これはいい作品だぞ!」という手ごたえを感じた。やっぱ、予想的中。いい映画は最初の20分で決まる。ヒラリーの母親を演じたキャシー・ベイツのバイプレイが、この作品をなお一層キラ星のごとく輝かせた。


10月18日から公開

監督・脚本
リチャード・ラグラヴェネーズ

出演
ヒラリー・スワンク
ジェラルド・バトラー
ハリー・コニックJr.
ジーナ・ガーション
キャシー・ベイツ


「デトロイト・メタル・シティ」「おくりびと」「パコと魔法の絵本」

2008年09月17日 | 映画
早くも今年の日本映画のベスト3が揃ったような傑作が公開中だ。

『パコと魔法の絵本』

 中島哲也監督ワールドが爆裂。『下妻物語』『嫌われ松子の一生』を超える中島監督の最高傑作だ。コラージュをほどこした独特な映像、奇々怪々たる登場人物のおかしさと切なさ。これこそ喜劇の原点。喜劇の最高の調味料は哀感であるからだ。主演している役所広司と記憶が1日しかもたないパコことアヤカ・ウィルソンちゃんの心温まる交流、画面に目を釘付けにさせてしまうようなストーリーテリングに満ちた破天荒なストーリー。たまらない魅力の作品だ。

【監督】中島哲也
【出演】
役所広司
アヤカ・ウィルソン
妻夫木聡
土屋アンナ
阿部サダヲ
加瀬亮
小池栄子
劇団ひとり
山内圭哉




『おくりびと』

 納棺士という、死体を整えて最高の美しさで棺に納める仕事の存在を世の中に知らしめた。死化粧、旅の仕度を最高の演出で見送る。納棺士を演じる本木雅弘と山崎努のその技は、まさに芸術だった。人間の死の尊厳が深く心に刺さり、それでいてコミカルな要素もある滝田洋二郎郎監督の最高傑作になるだろう。

【監督】滝田洋二郎
【出演】
本木雅弘
広末涼子
余貴美子
吉行和子
笹野高史
山崎努



『デトロイト・メタル・シティ』

 松山ケンイチ大好きな娘と娘のカレシと一緒に見た。映画館にはギャルとギャルオばかり。その中で、未だに骨太メタルババーの私は一人。気弱な根岸君と、デスメタルの権化・ヨハネ・クラウザー・II世を演じ分ける松山ケンイチの巧妙な変わり身の速さにはぶっ飛んだ。「デスノート」のL役といい、松山ケンイチは素晴らしい!!!!
 ラストでアメリカからやって来たメタルゴッドが、「キッス」のボーカル・ジーン・シモンズにもぶったまげた。できれば、メタルゴッドは私の大好きなメタルの帝王、オジー・オズボーンにやってもらいたかった。
 いずれにしても、この3作品の中では一番大笑いした大爆笑メタル映画だった。
 しかし、見終えた後、娘のカレシが「なんか、くだらないんですけど…」という感想を言った時に、張り倒してやろうと思った。骨太メタラーの母を持つ娘のカレシなら、メタルゴッドネスのマリリンの趣向を読めっつーの!!!

【監督】李闘士男
【出演】
松山ケンイチ
加藤ローサ
秋山竜次
細田よしひこ
松雪泰子
鈴木一真
高橋一生
宮崎美子
大倉孝二
岡田義徳
ジーン・シモンズ

マルタのやさしい刺繍

2008年09月07日 | 映画
「夢は見るもの、見せるもの」を座右の銘にしている私に、それを確信させる作品がスイスからやって来た。

『マルタのやさしい刺繍』である。

 夫に先立たれ、生きる希望を失っていた80歳になるマルタは、閉鎖的なスイスの田舎町の因習と闘いながら、親友たちと一緒に念願のランジェリーショップを開店させてしまった。

 スイスの古風な村に、封印されていた女性たちの個性が爆発する。そんな内容のコラムを「GRACE」10月号の映画欄に書きました。

 物語が淡々と優しく流れ、見終えた後に必ず心の隙間を埋めてくれる暖かい映画です。お金やCGを駆使しなくても、いい作品は出来る!!!この作品は全世界の女性たちに感動を与えること間違いなし!です。どうか、ご覧ください。

 また、「今月のご招待」では、北野武監督の新作『アキレスと亀』を扱っております。主演している北野武さんと樋口可南子さんのインタビュー記事の執筆をなさったフリー編集者兼ライターの清水千佳子さんの奥行きのある取材と優しい視点で描かれた文章も圧巻です!

 合わせてお楽しみいただけると幸いです!


マルタのやさしい刺繍公式サイト

監督: ベティナ・オベルリ
出演: シュテファニー・グラーザー
   ハイジ・マリア・グリョスナー
   アンネマリー・デュリンガー
   モニカ・グブザー

10月シネスィッチ銀座ほか、全国順次ロードーショー