マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『世界一キライなあなたに』

2016年09月30日 | 映画

 

「ラブストーリー」というキャッチコピーの作品に触手が動かなくなったのは、年老いてきた証拠なのである。

年を取れば取るほど、実はラブストーリーを見て、心身ともに活性化すべきなのかもしれない。

ただ、あまたあるラブコメの陳腐なからくりの作品には辟易しているので、できれば、上質なラブコメに出会いたい。しかし、そんな作品を探すのは至難の技である。

やっと探した。『世界一キライなあなたに』である。

プレスシートには「女性が喜ぶ要素が満載」とか、「今年世界で最もヒットしたラブストーリー」と謳われている。

確かに甘いラブストーリーであるのだが、そこに組み込まれている重いテーマは、ラブストーリーという括りだけではないところが最大の魅力である。

愛する人が事故で車椅子の生活になったら?いや、これは若い人だけにはとどまらない。高齢化の日本であるからこそ、この問題は痛切に絡んでくるのだ。

「生」は選ぶことができないが「死」は選ぶことができる。

そんな重い選択を抱えた、確かに上質なラブストーリーなのである。

 

10月1日公開

【監督】シーア・シェアイック

【出演】エミリア・クラーク  サム・クラフリン

 


『君の名は。』

2016年09月09日 | 映画

凄い人気の『君の名は。』をやっと、劇場で見た。口コミで、公開から興業収入を伸ばしている作品ということが理由の一つだった。

近所のシネコンは、台風にも関わらず、若い人で溢れていた。その人たちが前売りですでに購入しているチケットが『君の名は。』であることは、一目瞭然だ。他の作品は空席ばかりだったからだ。

上映30分前に着き、まだまだち空席がたくさんあるとばかり高をくくっていた私は、やっと一席得ることができた。

シネコンなのに、なぜか、昔の映画館の小屋のような活気がある。昔の映画館は、上映時間の前からごちゃごちゃし、人々の期待感で溢れていたからだ。映画しかレジャーのなかった時代だ。私はこのざわついた風景を見ただけで、至福の思いだった。

さて、本家本元の作品である。

先日、シャマラン監督の『シックスセンス』を見直し、その哲学に胸が打たれていた。こんなに素晴らしい作品であったのだと、改めて思った。その余韻が、まんま、『君の名は。』に繋がった。

時空を超えて、救済を求める者、与える者、それが、一本の組紐で繋がっていく。愛する者を失った悲しい人々にとって、夢物語になるかもしれない。しかし、一時の幸福の時間を取り戻すことができる希望の物語でもあるのだ。

大ヒット、納得!

 ラストの運命的な融合、泣けました。

公開中

監督:新海誠