ホアキン・フェニックスの印象とインパクトだけが残る作品だった。
しかし、作品には必須の監督や共演者がいる。
ということは、ホアキン・フェニックスだけの圧倒的存在感を脇が作ったということにも繋がる。
映画の手法は縦横無尽、なんでもありなんだと、感服するのである。
主人公は行方不明者の捜査を請け負うスペシャリスト。裏社会の救世主である。
人身売買で売られた少女を救う。物語は単純だ。
主人公の人生の背景にあるのは戦争のトラウマと父親の虐待。
このストーリーにロバート・デ・ニーロ主演した名作『タクシー・ドライバー』が重なる人は多々いるのではないかと思う。
実は私もその一人なのである。
ただ、決定的違いを一つ言えば、『タクシードライバー』は絶望の香りで幕を閉じるが、『ビューティフル・デイ』は絶望という闇の部屋に、真っ黒いカーテンに小さな穴が開き、一筋の光が射しこんでくるような余韻があるのだ。
だからこそ、タイトルが『ビューティフル・デイ』なんだと納得するのである。
6月1日から公開
【監督】リン・ラムジー
【出演】ホアキン・フェニックス エカテリーナ・サムソノフ