マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『エリックを探して』

2010年12月18日 | 映画
イングランド・プレミアリーグのマンチェスターユナイテッドファンの私には、たまらない魅力の作品だった。

そういえば、今公開中の『君を思って海をゆく』という作品も、クルド難民の少年がドーバー海峡を泳いで渡るという硬派な内容のものであったが、この少年の夢もまたマンチェスターユナイテッドの選手になることだった。

なんだか、最近、マンUが一気に映画の中に登場して、うれしい限りである。

「すべては美しいパスから始まった」

『エリックを探して』の中で、元フランス代表であり、マンチェスターユナイテッドの天才プレイヤーであったエリック・カントナが語る名セリフである。マンUの試合を見るたびに、このセリフが頭に焼き付いて離れない。素晴らしいシュートやゴールは、素晴らしいパスがあってこそ成立するということだろう。

パニック障害の郵便局員。何をやってもうまくいかない。人生に悲観的になっていた彼の前に突然、実際のエリック・カントナが現れ、彼の人生の水先案内人になっていく。

物語は単にそれだけのことであるが、突然、彼を襲ったアクシデントを郵便局の同僚たちが助けたりと、サッカーを通した男たちの熱い友情も語られている。そこにも、またもマンUのエリック・カントナが面白おかしく絡んでくるのだ。

アイルランド闘争を描いたシリアスな『麦の穂をゆらす風』から180度回転し、監督のケン・ローチはサッカーコメディの真髄に迫ってくれた。

ケン・ローチ監督自身が無類のマンUファンだからこそ実現できた、世界のマンUファンに贈る作品といってもいい。

12月25日から公開

【監督】ケン・ローチ

【出演】スティーブ・エベッツ、エリック・カントナ