マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

あるスキャンダルの覚え書き

2007年06月01日 | 映画
 初老の女教師(ジュディ・デンチ)が公園のベンチで一人で寂しそうに座っている。この孤独な女教師の週末の予定と言えば、コインランドリーに洗濯物を出しに行くだけだ。
 
 そこに、新任の美術の教師、ケイト・ブランシェットが赴任してくる。美しさと素晴らしい家庭を持ち備えた完璧な女性ケイトは、不覚にも遊び心で、15歳の教え子とデキてしまうのだ。

 その不倫現場を覗いたジュディはこの日を境に、ケイトの弱みを握る。今まで孤独で退屈な人生を歩んできたジュデイは、この密通を発見したことにより、あたかも水を得た魚のように、生き生きとしてくるのである。

 ケイトの不倫は学校の誰にも言わないから、安心してね。と、うれしそうにほくそ笑むジュディ・デンチの表情の恐さに仰天しない人はいないだろう。ケイトはその言葉にホッとし、二人は無二の親友になっていくのだ。

 しかし、しかし、この出来事が二人の女の人生を狂わせる、前哨戦になっていたとは!!!!。
 
 生粋の英国女優のジュディ・デンチは98年に、その巧みな演技力が認められて、大英帝国の「デーム」の称号を授与された。今まで、彼女の作品の中で、驚嘆させられたのが、女流作家アイリス・マードックのアルツハイマー病に侵された晩年をシリアスに描いた「アイリス」だった。それ以上に今回の作品は、迫真迫る熱演と怪演だった。

 久しぶりに女性の深層心理に迫り、女の真の恐さと孤独を抉り出してくれた格調高い映画の登場である。



監督:リチャード・エアー
原作:ゾーイ・ヘラー
脚本:パトリック・マーバー
出演:ジュディ・デンチ / ケイト・ブランシェット / ビル・ナイ/ アンドリュー・シンプソン /
配給:20世紀フォックス映画

2007年6月2日(土)シャンテ シネほか全国順次ロードショー