マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

秋深き

2008年08月28日 | 映画
 

11月公開予定の作品なので、ちょっと早いかなと思ったけれど、舞台が尼崎の園田競馬場ということもあって、競馬ライターとしての視点から、どうしても感想を書きたくなった。


 昭和の文豪・織田作之助の短編、「秋深き」と「競馬」が原作の浪花の夫婦の純愛を描いた心温まる作品だ。

 主役の教師の夫役が八嶋智人、病気を患う妻役がサトエリちゃんこと、佐藤江梨子。ストーリーは男女が出会い、結婚するまでが、優しく穏やかに流れる。


 33歳で夭折した作家、オダサクの原点「夫婦善哉」が甦る。そこに今では、衰退しつつある地方競馬・園田競馬場が絶妙に絡んでくる。


 私は園田競馬場に行ったことがないが、浪花の夫婦の純愛と園田競馬場がこんなにピッタリと合っていることに、唸っていた。

 病気の妻の名前は一代(かずよ)。夫は妻の病気を治すためにお金が必要だ。そこで、園田競馬場の馬券売り場で、一代だから「1-4」の馬単馬券だけを毎レース買い続ける。競馬好きなら、この気持ちが手に取るようにわかるだろう。

 プレスによると、園田競馬場が積極的に撮影に協力してくれたとあったので、これも競馬ライターの私にはうれしかった。

 この映画の重要なシーンは全て園田競馬場に終結するからだ。

 同じくプレスにプロデューサーの寺田環さんの興味深いコメントが載っている。撮影で一番苦労した点はという質問に、

「ストーリーの大事な要素の1つとなっていたのが、競馬場で「1-4」の馬がくることでした。ただ、園田競馬場はそもそも馬場のつくりで1が来る確率が低いという統計があり、撮影中に1-4の馬が勝利することは全く期待できないことだったので、低予算ながらもCG処理を行う覚悟でした。撮影中は、スタッフのみならず、八嶋さん、佐藤浩市さんまでが1ー4の馬券を毎回自腹で買い、祈りを込め、毎レースを見守る様子が見られました。そして、撮休の日もレースの撮影をするためにだけ競馬場に何度も足を運んだスタッフの苦労の甲斐があり、なんと1-4の馬の勝利をリアルに捉えることに成功。苦労した池田組が一致団結する大きなきっかけになりました」


 監督が、俳優陣が、スタッフが、一丸になって本物の嘘偽りないレースの1-4の馬券を買い続けていたことに、私は涙腺がゆるんでいた。1-4が来なければ、このシーンはつまらないCGで処理されていたからだ。

「競馬はCG処理じゃ、迫力ないよ。本物のレースをそのまま撮ってくれないと、競馬じゃないよ」

 そんな気持ちで1番4番の馬が走ってくれたようで、なおさら感無量になってしまった。



公開は11月予定。「秋深き」に感動したたくさんの映画ファンが「1-4」の馬単馬券を買いに園田競馬に訪れてくれたら、それもまた素晴らしいことである。


秋深き公式サイト

11月シネマスクエアーにて公開

主演:八嶋智人 佐藤江梨子
   赤井英和 渋谷天外 山田スミ子 佐藤浩市 他

監督:池田敏春
原作:織田作之助





わが教え子、ヒトラー

2008年08月23日 | 映画
 

 とっさに思い浮かべた作品が、スタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情』とロベルト・ベニーニ監督主演の『ライフ・イズ・ビューティフル』だった。

 ともに、おろかな戦争を痛烈なユーモアとアイロニーでぶった切った傑作だからだ。

『わが教え子、ヒトラー』も全く同じタイプの作品である。そのタイトルに、内容は硬派で真面目、厳然としたナチズム批判だと誰もが想像してしまうだろう。ましてやプレスやリリースに挿入されている写真など見ると、これから見る人は身構えてしまい、二の足を踏んでしまうかもしれない。

 宣伝部の方に、「喜劇なのにどうしてこんな硬いプレスリリースを作ったのか?もっと軽いプレスにすればよかったのに」と、大きなお世話だが、サジェストしていた。


 そのくらい、この作品は全くの喜劇でお笑いなのである。

 ヒトラー政権が連合軍の侵攻により、衰退の一途を辿っていた1944年12月。この頃、ヒトラーは負け戦を前に自信喪失に陥っていた。その自信を取り戻させるために、ドイツ軍は収容所にいたユダヤ人の俳優を使い、ヒトラーのセラピスト役の命令を下すのだ。

 全くのフィクションだが、この発想の面白さに度肝を抜かれた。スクリーンの中で、私は初めて気弱でボロボロになった鬱のヒトラーの姿を見たからだ。

 もう、それだけで痛快な喜劇である。ヒトラーという独裁者の裏面を描いたシニカルな喜劇である。ドイツ軍人たちが出会うたびに手を上げて「ハイル、ヒトラー」というあの有名な挨拶を茶化すシーンには、カンラカンラ大笑いしてしまった。


 「情けないヒトラー。それを励ますのがユダヤ人」
 
 これこそ、ホロコーストへの最大なる皮肉だ。

 ユダヤ人の俳優を演じたのがウルリッヒ・ミューエ 。『善き人のためのソナタ』で素晴らしい演技をしてくれた男優だ。しかし、悲しいことに、彼は、『善き人のためのソナタ』の後にガンを患い、『わが教え子、ヒトラー』が、遺作となってしまった。実に惜しい。

 そんな意味も含めて、今年見た作品の中で、私のベスト10に入ってくれそうな力作だ。
  
わが教え子、ヒトラー公式サイト

監督・脚本
ダニー・レヴィ

出演
ウルリッヒ・ミューエ
ヘルゲ・シュナイダー
シルヴェスター・グロート


2008年9月6日(土)公開
ル・シネマにて公開
[2007独/アルバトロス・フィルム]
上映時間:95分

キャメロン・ディアスは絶世の美女だった!

2008年08月05日 | 映画
 締め切り原稿を抱えていたけど、キャメロン・ディアスの来日記者会見に行ってしまった。

 『ダークナイト』のクリスチャン・ベール、『カンフー・パンダ』のジャック・ブラックに続き、ビッグスターの到来だった。明日は、『レッドクリフ』で、大好きなトニー・レオンと金城武、ジョン・ウー監督の来日会見があるけど、悔しいが、これには行けない。18日には、『幸せの1ページ』でジョディ・フォスターも来日する。この作品はファンタジーであり、荒唐無稽なアドベンチャーだが、神経質な作家をジョデイが楽しそうに演じていたのが印象的だ。『リトルミスサンシャイン』で初アカデミー候補になった子役のアビゲイル・プレスリンも共演し、彼女も実にキュートだった。
 
 キャメロン・ディアスは『ベガスの恋に勝つルール』(8月16日公開)という作品での来日だった。共演するアシュトン・カッチャーと一緒だった。実は、この試写は見に行く時間がなくて、パスしていた。でも、なんとしても、生キャメロン・ディアスだけは見たかった。親日家である彼女は、もう6度目の来日だけど、私は初めてキャメロンをこの目で見た。

 フェンディのバルーンスカートに包まれた長く細い美しい脚に魅了され、透き通るような美白の美しい顔にもうっとりだった。色々なハリウッドビューティを見てきたが、最大値のニコール・キッドマンを抜いたようだ。

 同性の私が、これほどその美しさに感動するのだから、世の男性がキャメロンに夢中になるのは当たり前。

 会見そのものは、ありきたりの月並みなものだったけど(作品を見ていないので質問したくても口出しはできない)、とにかく、ちょっとデカ口でころころ笑う笑顔のキャメロンはキュートで美しかった。16歳の時にモデルとして6ヶ月ほど日本にいたことを、楽しそうに話していた。

 実年齢は35歳。でも、それよりも絶対に10歳は若く見える。

 共演したセクシーなアシュトン・カッチャー(私はあんまり好みの男優じゃないが…)は、奥様のデミ・ムーア(ブルース・ウィルスの元妻)を連れて来日したそうだ。下世話だが、アシュトンをキャメロンに取られてしまったら心配と、デミはついてきたのかもしれない。

 なんであれ、キャメロンは本当に美しい。帝国ホテルの外では稲妻が光り、雷が鳴り、大雨が降りしきっていた。雷が大雨が、キャメロンの美しさに嫉妬しているかのように大荒れした1日だった。

 何度も言うけど、そのくらいキャメロンは綺麗だった。パーフェクトだった。

 久しぶりに究極の美に出会い、感動で興奮している。