マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~』

2010年04月09日 | 映画
はたから見たら、「なんでこんな無駄でアホなことをして生きているんだろう?」的人間が大好きな私。

この作品の主人公役の岡村隆史演じる金城健司がまさにその通りのアホで、汚れていく沖縄の海に珊瑚礁を再生させようと、見果てぬ夢を追い求めるがゆえに世間から煙ったがられる。

普天間問題ではないが、真剣になって沖縄の海を守る純粋な男とそれを支える家族愛の物語でもある。

ニュートンは木からりんごが落ちるのを見て、万有引力の法則を確立し、ライト兄弟は鳥がなぜ空を飛べるのかと真剣に考え込み、飛行機を発明した。

発明や文明というものは、本来こういったどこにでもあり得ることを、そして誰もが疑問に思わなかったことに「なぜ?」と疑問符を打つことから始まるのかもしれない。

平たく言えば、ニュートンやライト兄弟も、その時代には、この主人公と同じに「奇跡に向かって夢を追い求める」一人のアホだったに違いない。

ナインティナインの岡村隆史のちょっと関西弁交じりの沖縄弁セリフが実にいい。最近メキメキと演技力をつけてきた妻役の松雪泰子のおっとりとした演技も新鮮でほのぼのとして、見終えた後、心の中がじわーっと程よい温かさになっていた。

いい映画だ。

『デトロイト・メタル・シティ』で、ヘビーメタル、デスメタル界をコミカルに描き、大爆笑させていただいた李闘士男監督。

やはり、この監督って凄い力を持っているんだと発見できたことも収穫だった。

【監督】李闘士男
【出演】岡村隆史、松雪泰子、吉沢悠、國村隼、渡部篤郎、原田美枝子

2010年4月24日よりバルト9ほか全国にて公開