Randonneur旅日記

おじいちゃんの自転車一人旅
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八丁峠・絶景の金山志賀坂林道を走る…みみ爺一人旅          2015年10月20日 火曜日

2015-10-29 11:42:45 | サイクリング・自転車旅
 長引いていた風邪もようやく抜けたようだよ。歳をとると、ちょっとした風邪もなかなか治らない。体調と天気予報の両方に相談して、ようやくOKが出たんだ。
 金山志賀坂林道は景色がいいと評判だ。その景色を、生きているうちに一度は見たい。しかし、西武秩父駅から八丁峠を越えて戻ってくると90キロほどの長い距離になる。この年で1200メートル以上の標高のある八丁峠を上り、90キロもの長い距離を明るいうちに無事に走ってくることができるだろうか。その心配と、いよいよ出かける喜びとで、前の晩はなかなか寝付けず、うとうとしては目が覚め、またうとうとしては目が覚めるというような具合で、ほとんど寝た気がしない。
 朝、4時少し前に起きて準備を始めた。外を見ると、まだ真っ暗な夜空に星が瞬いていたよ。
 
 5時過ぎに家を出る頃、ようやく空が白み始めた。
 電車の窓から見る空にはいつのまにか雲が広がっていたけれど、その雲の端々は朝やけの色できれいに縁どられていたので、晴れると確信したよ。天気予報でも、今日は秋晴れのはずだ。嬉しいねえ。

 8時12分。西武秩父駅に到着。いつもの場所で自転車を組み、カメラを地面に置いて一人記念撮影だよ。
          


 9時ちょうど。
 いよいよ出発だ。時間的に峠越えが無理だったら、どこか途中で引き返すかコースを変更するかね。…それもいやだなあ。
 秩父公園橋だ。空は青い。かなり高いところに秋らしい雲が薄くたなびいている。天気は上々だね。
                         


 橋の上から下に目をやると、ちょっと古い「武の鼻橋」を見ることができる。秩父公園橋の旧橋だろうか。いい橋だなあ。



 県道72号を少し北へ走り、左へ細い道に入ったんだ。小さな山を一つ越えて国道299号へ出る近道だ。
          


 狭い道にもかかわらず、油断していると、向こうからかなりのスピードで車が来る。
                          


 あれっ?街に近いこんなところでも熊が出るんだろうかね。熊出没注意の標示だよ。
          


 どうやらここがピークだね。
                         


 国道に出たよ。車はそれほど多くはないようだ。よかったね。
          

 国道に出て間もなく、この小さなピークを越える。ここから先はゆるやかな上りがずっと続くはずだ。
                         


 赤平川だ。6月に城峰山・上武秩父林道の石間峠を走ったときも、違う橋だがこの川に架かる橋を渡ったね。その時のきれいな川の眺めを覚えているよ。



 空はほんとに秋の空だね。
 勾配のゆるやかな真っ直ぐな国道だ。しかし、次々と変化する景色のおかげで飽きることもない。風もなく快適だ。景色を楽しみながら淡々とペダルをこいでいくよ。
          

                         
    

 山が近づいてきたね。相変わらず車は少ない。気持ちのいい国道だよ。
          

                         
    

 赤谷温泉の“まつり館”だよ。おやと目を引く、秩父夜祭りの巨大な山車のような建物だ。一階は囲炉裏座敷のある食事処になっているらしい。
          


 道はゆるやかな勾配で上っている。赤平川の流れが細くなってきたね。
                         


    

 山が近づいてくるにつれて、色づいた木々が目立つようになってきたよ。
          

                         
    

 志賀坂トンネルまであと13.2キロの標示があるよ。柿がきれいに色づいて、沿道のところどころに日を浴びて輝いている。車が少なくて、国道とは思えないほど走りやすいね。
          

                         
    

 単調な一本道の国道だが、本当に飽きることがない。のどかな風景が次々と目に飛び込んでくるよ。



 いちいち自転車を止めて写していたら時間がいくらあっても足りないよ。右手でカメラを持って、走りながら写すことにした。
 少しピンボケだが、優しい色のコスモスが揺れている。
          


 ずっとこのくらいの勾配なら最高なんだがね。赤平川がきれいだし。
                         

          


 あれは何という山だろう。地図で確かめてみた。どうやら白石山というのだろう。二子山の山容に似ているね。



 おや、国道が少し細くなったね。この辺りだけかね。



 いい風景が続くよ。
          

                         
    

 地図を見ると、国道の右手が日向集落、左手の川の向こう側が日影集落とある。この辺りの川は河原沢川という名で、もう赤平川とは言わないのだろうか。これからは河原沢川に沿って上って行くんだね。



 素朴な感じの真福禅寺だ。以前にもどこかで書いたことがあるけれど、みみ爺は禅寺というのが好きなんだ。質素で、飾り気がなくて、落ち着いた感じがするよ。
          


 11時ジャスト。予定どおりだ。よかったよ。コースを変えなくてもよさそうだね。
 ここ真福禅寺までは勾配1~2%程度のほんとに緩やかな上りだったけれど、ここからは5~6%ときつくなるよ。

 
 民宿二子山壮のちかくから見た二子山の姿だ。あんなに高い。迫力があるなあ。



 高いところにガードレールが見えるよ。これから上って行くんだね。



 それほどきつい勾配ではないけれど、自転車のスピードは落ちたね。時速6~7キロといったところだよ。まあ、12時には志賀坂峠に着くだろう。真福禅寺からはだいたい6キロほどの距離だからね。
          

                         
    

 走ってきた道が下に見えるよ。こんな景色もいいなあ。



 二子山だ。西岳への登山道口だね。
 素晴らしいなあ、二子山の姿は。



 志賀坂峠までもう少しだ。



 やっと峠に着いた。志賀坂トンネルだ。
 11時58分。
 時間はだいたい計算通りだ。日が短いから、遅くとも午後2時までには八丁峠に着いていたい。この調子ならまず大丈夫だろう。
 トンネルの手前左手が金山志賀坂林道の入口だ。いよいよ八丁峠を目指すぞ。
          


 これは志賀坂峠からの眺めだよ。谷あいをずっと走ってきたんだね。



 さあ出発だ。どんな絶景に会えるかなあ。
          

                         
    

 どんどん高度が上がって行く。勾配は志賀坂峠までより更にきつくなっているよ。
          


 小石や落ち葉が散乱している。
                         

          
    

 おおっ、素晴らしいね。迫力あるねえ。



 標高が上がるにつれて紅葉が目立ってきたよ。やっぱり山の上は気温が低いんだね。全山紅葉とまではいかないが、それでもとてもきれいだ。





 だんだん二子山が低くなっていくよ。



 いい林道だなあ。勾配を示す%が標示されていないね。





 八丁峠の九十九折れだ。





 もう景色から目が離せない。カメラから手を離せない。危険な片手ハンドル。













 もみじがすっかり赤く染まっているよ。



 絶景の連続だよ。







 1時26分。やっと八丁峠に着いた。2時前に着くことができてよかったよ。
 駐車場は日が当らず寒々としていた。登山者のものだと思うが、車が3台とめてあるだけで人の姿はなかったよ。
          


 この寒々とした人影のない峠でおにぎりを食べることにした。お決まりのコーヒーは、今日は時間的に余裕がなさそうだと思ったので用意してこなかったよ。バーナーや燃料など約800グラム軽くなったのはよかったが、やっぱりちょっとさみしいね。

 峠からの眺めだよ。二子山が目の高さより下に見える。二子山の標高が1160メートル、八丁峠の標高は1240メートルだからそれは当然だ。だが、来る途中に何度も見上げてきた二子山が今は目より下で、そのことにすごく感動していたよ。それだけ上ってきたんだね。





 2時ちょうどに峠を出発。
 さあ、八丁隧道だ。明かりがなく真っ暗なうえ、886メートルもの長く狭いトンネルだよ。途中で車が入ってきたらと心配だったが、さいわい向こう側へ抜けるまで1台も入って来ることはなかった。
          


 二つ灯したライトのおかげで、不安なく長いトンネルを抜けることができたよ。
 こちら側は日差しがあって明るくあたたかい。こっちでおにぎりを食べれば良かったね。



 あとは下る一方だよ。下るのは速いから、時間は大丈夫だろう。
 落ち葉がすごいね。
          

                         

          


 ここは両神山登山口だね。ここにも熊出没とある。
                         


 岩がごろごろ重なり合い、川のように落ちてきているが、この上の方には水のない堰堤がある。
           


 下りもきれいな景色が続くよ。





 これがニッチツ秩父鉱山の廃墟となった旧鉱山社宅住宅群なんだね。廃墟という響きにはなんだか重いものを感じるねえ。











 これは鉱山職員の殉職者の慰霊碑だ。
          


 右手にちょっとした滝が落ちていた。この少し先で林道はおしまいになる。林道起点とある。
                         

          


 規模は小さくなっているが、鉱山は現在も稼働中だ。操業している機械の音が山あいに響いているよ。



 さらに道を下って行くと、廃墟となった建物がまたいくつか現れた。





 この郵便局は今も使われている。でも、人の気配がない。



 山と空がきれいだ。



 雁掛トンネルだ。こちらも暗いトンネルだね。
          

                         


 トンネルを出ると、こんなにきれいな景色に出会ったよ。



 ここからは神流川に沿って下って行くんだ。





 下り坂で自転車のスピードは速いけれど、通り過ぎるにはもったいないような景色が次々に現れる。カメラを片手にどんどん下って行くよ。
          

                         
 

 日差しがだいぶ弱くなってきたね。暗くなる前に駅まで辿り着けるだろうか。
          

                         


 聳え立つ巨大な岩壁だ。青空をバックにすごい迫力だ。



 神流川の渓谷は美しい。





 オーバーハングしているよ。下を通るのはちょっと怖いねえ。
          


 おお~っ、見上げるほど高いぞ!



 神流川沿いをさらに下って行く。



 この四角いコンクリートのトンネルを抜けると、神流川は中津川に合流するんだ。
          


                      

 トンネルがいくつも続くぞ。持桶トンネル、仏石山トンネル、大滑トンネル、雷電高山トンネル…



 中津川に沿って下って行くよ。





 中双里の集落だ。静かなたたずまいのいい集落だね。



 左手に中津峡の渓谷を見ながら下って行く。



 鷹岩トンネルを抜けたところで、塩沢もみじ橋が見えてきたよ。



 この塩沢もみじ橋は、滝沢ダムのダム湖である奥秩父もみじ湖の対岸に渡ることができる。時間に余裕があれば、対岸の道を走りたかったんだがなあ。
          


 日没が迫っているので、とにかく急ぐことにする。
 アーチ橋は国道140号の中津川大橋だね。
                         

          


 県道210号はここまでで、ここからはひたすら国道140号を下って行くことになる。
                         


 国道に入ると、やはり車の数が多くなったね。トンネルの中を走っているときだけは嫌だね。車がトンネルに入って来たとたんに、トンネルの中は恐ろしいばかりの轟音に包まれる。その轟音にずっと追立てられる。
          

 滝沢ダムループ橋だ。通称:雷電廿六木橋(らいでんとどろき橋)。いつか走ってみたいと思っていた橋だよ。



 ループ橋の上からちょっと下をのぞいて見た。怖いねえ。





 正面からダムの姿を撮影しようかと思ったが、逆光でうまく撮れなかった。これが精いっぱいだったよ。



 目がくらむねえ。



 日没が迫っている。急ごう。
          

                         


 旅の終わりも近いよ。淋しさが少しずつ膨らんでくる。
 秩父鉄道の三峰口駅の付近に着いたのは4時25分くらいだったよ。まだ少し明るいね。疲れてはいたけれど、西武秩父駅まで走ることにした。このまま国道を進めば、わずか10キロほどだ。上りがなければ30分くらいで行けるだろう。6時25分発の秩父特急44号に間に合えばいい。急ごう。



 浦山ダムだ。5月に有間峠を走ったときに見たね。あのときは県道73号から見たんだ。巨大なダムは、今は夕暮れの中に沈んでいるよ。





 5時過ぎ、無事に西武秩父駅に着いたよ。
 金山志賀坂林道、八丁峠越えはとてもきつかったよ。西武秩父駅から志賀坂トンネルまでの距離がけっこうあったからね。でも、明るいうちに帰って来ることができてよかった。
 それにしても、金山志賀坂林道はすばらしかったね。噂どおりの絶景ロードだったよ。上りも下りも目を見張るような景色の連続だった。

 今日は、90キロほど走った。明るいうちに走り切れるかどうか心配だったけれど、なんとか走り切ることができてほんとによかったよ。66歳、よく頑張ったね。お疲れさん。
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