臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

一首を切り裂く(046:じゃんけん・其のⅡ)

2010年12月01日 | 題詠blog短歌
(伊倉ほたる)
○  じゃんけんのグーなら「グ・リ・コ」 三歩しか縮まぬ距離がもどかしすぎて

 たった一言。
 詠まぬに如かざる<愚作>である。
  〔返〕 ゴールすることに意義在る者も居るいくら何でも伊倉ほたるは   鳥羽省三
 しかし、お題が詰まらなかったですからね。
 かく言う私の作品も亦、「じゃんけんで負けた童女を死者役にいつまで続く葬儀屋ごっこ」といったような、愚にもつかないどころか、現役時代だったならば、諭旨解雇ものの愚作でしたからね。


(bubbles-goto)
○  じゃんけんのチョキのかたちでモメるよに議論の仕方からする議論

 「じゃんけんのチョキのかたち」にもいろいろありますからね。
 私の田舎では、親指と人差し指での「チョキ」でしたが、或る時、女子高校生相手にその「チョキ」を出したら、一人負けと宣告され、苺牛乳を七杯も奢らせられました。
  〔返〕 中指と人差し指とでチョキ作り生徒に馬鹿にされなくなった   鳥羽省三


(今泉洋子)
○  じやんけんをする前からもう負けてゐる気弱なわれの影は揺らぎぬ

 指定された<お題>は確かに「じやんけん」ではなく「じゃんけん」でしたよね。
 「じやんけん」は、許容範囲内にも入っていない筈です。
 つまるところは、本作の作者・今泉洋子さんは、「じやんけんをする前からもう負けてゐる」のでは無くて、投稿する前から既に「負けてゐる」のでした。
  〔返〕 じやんけんはお題でないから違反です文語短歌も時によりけり   鳥羽省三
  〔返〕 どじな吾を気弱な我と気取っても花も咲かない還暦過ぎは       々


(ひぐらしひなつ)
○  あの庭の遠き薄暮のじゃんけんを花の赤さにぼんやり見てた

 あの日、「あの庭」で「じゃんけん」に興じていた遊び仲間は、みんなみんな人攫いに攫われてしまい、ある者はサーカスに、ある者はジャカルタに、ある者は吉原に売られて行ってしまったのである。
  〔返〕 赤いベベ着て人買いに来てたのはあの日じゃんけんしていた袈裟代   鳥羽省三


(zoe)
○  出身は北海道とはにかんでじゃんけんホイと遠き目をする

 五句目の「遠き目をする」が宜しい。
 「じゃんけんぽん」と言えずに、思わず「じゃんけんホイ」とお国言葉を口にしてしまったのが、何と無く恥ずかしかったのでありましょうか?
  〔返〕 出身はフランスですと嘘抜かしジャラケツホイと淫らに言うか   鳥羽省三  


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