臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

一首を切り裂く(028:幾・そのⅡ・決定版)

2013年10月28日 | 題詠blog短歌
(コバライチ*キコ)
幾何学の父なる男ルカ・パチョリの精緻なる図をダ・ヴィンチ描く

 「ルカ・パチョーリ(1445年~1517年)」は、イタリアの数学者であり、「近代会計学の父」とも呼ばれ、修道僧でもあった。
 また、彼は、「1490年代後半にはミラノのスフォルツァ家をパトロンとし、レオナルド・ダ・ヴィンチと共に幾何学的立体図形に関する研究を行った」ともされている。
 〔返〕  容疑者の馬鹿な息子も身のもんだ平身低頭謝罪会見  鳥羽省三
 

(たえなかすず)
幾たびも繰り返される愛憎がなかったことになるほどの月

 「愛憎がなかったことになるほどの月」と慨嘆なさると共に「なるほどの月」と合点なさったのでありましょう。
 〔返〕  幾星霜繰り返さるる満ち欠けを忘るる如き中秋満月  鳥羽省三


(莢)
いつの日か記憶の中で幾度でも紙飛行機を飛ばしてみせて

 「記憶の中の紙飛行機」って、何だか短編小説のタイトルみたいね!
 〔返〕  颯爽と滑空して行く飛行機の夢の覚むれば横雲の空  鳥羽省三                     

(さわか)
声かける人も増えゆく雪解けも間近であろう耐えて幾日

 降雪期間は、お互いに口を開くのも辛いので挨拶もそこそこに通り過ぎたり、すれ違ったりして行くのであるが、「雪解けも間近」になると、お互いに挨拶を交わし合うようになるのである。
 〔返〕  「晴れたなし!」と言えば「晴れたなし!」と返し來る出羽の横手の雪解け頃は  鳥羽省三
 

(遥)
幾何学を専攻してるクソ真面目 靴下の色 左右で違う

 近頃は左右の柄や色が異なっている「靴下」だって買うことが出来ますよ。
 そんな靴下を履いている学生を、私は一人だけ知っていますが、彼は「幾何学専攻」の学生では無くて、「介護福祉士コース」の学生だったような気がします。


(砂乃)
人間は幾多の人に嘘をつき綺麗な顔で笑うのだろう

 今更に馬鹿なことを言ってはいけませんよ。
 人の世は砂、周りからポロポロと崩れて来る、砂の中で暮らしているようなものですよ。
 〔返〕  名にし負はば愚かなことは言ふ勿れ人の世はスナ砂乃女よ  鳥羽省三


(西中眞二郎)
作業着がとことん似合う男にて吉幾三はCM歌う

 あれでなかなか計算高い男ですから、あのニヤケ顔に誤魔化されてはいけませんよ。
 〔返〕  顔かたちスタイル少しも似てなくて「村のプレスリー」とは云ったもんだよ!  鳥羽省三


(西村湯呑)
いいとこを幾つもほめた でも君はあいつの「バーカ」の方に惹かれた

 褒めるばかりが女誑しの極意とは限りません。
 たまには、長い舌を出して「映子のバーカ」ってみなさいよ!
 案外、惚れられるかもしれませんが、それとて保証の限りではありません。
 〔返〕  いいとこを幾つも挙げてただ一個嘘を吐いたが招致成功  鳥羽省三


(映子)
幾つ?って年聞くこともイケないの個人情報保護法だって

 「個人情報の保護に関する法律(通称・個人情報保護法)」が施行されたのは、平成17年4月1日の事。
 私たち日本国民の間には、それ以前から、女性相手に「幾つ?」って、年を聞くことは「イケない」事との、生活習慣が確立されていたのである。
 映子さんも「バーカ」な事を言っててはイケません。
 〔返〕  「幾つ?」って男が訊いたらこう言いな「ビスケット知らずの男は嫌い!」と  鳥羽省三


(鳥羽省三)
幾たびも雪の深さを尋ねられ菊女は遂に顔赤らめつ

 初稿は「幾たびも雪の深さを尋ねられ清少納言は御格子を上ぐ」でありましたが、「誤字在り」を装って再投稿させていただきました。
 〔返〕  行くたびに一万円も呉れたならお祖父ちゃんちにたびたび往くよ  鳥羽省三


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