(伊藤夏人)
○ じゃんけんで勝ったら泊めてくれるよね負けたら泊まってくれるんだよね
「勝った」にしろ「負けた」にしろ、本作の作者・伊藤夏人さんは念願叶って、今夜は彼女と同衾出来るのである。
納豆よろしく粘っこくやるんですよ。
〔返〕 じゃんけんに勝ったら上に寝かせるね私の部屋は二段ベッドだ 鳥羽省三
(船坂圭之介)
○ 春来しや窓のかなたにそれぞれの調べそぐはぬ「じゃんけん」の声
文語調の作品であるが、内容からして、私はこの作品を口語調の作品にしてみたいと思う。
好みの問題ではありましょうが?
〔返〕 軒下で声の揃わぬ「じゃんけんぽん」峡の村にも春が来たのだ 鳥羽省三
(間宮彩音)
○ 時として最初はグーで始まらない意地の悪さを競うじゃんけん
「最初はグー」という「じゃんけん」の存在を私が知ったのは、教師になってからのことである。
習慣の違いとは言え、「最初はグー」などと無駄な手順を踏んでの「じゃんけん」を習いとしている神奈川県の子供たちを、その当時の私は、少し大袈裟に言えば、<知恵遅れ>の子供たちだと思っていたのである。
ところが、夏休みになって郷里に帰省してみたら、郷里の子供たちもまた、<知恵遅れ>みたいに「最初はグー」などと言って「じゃんけん」をしていたのである。
<知恵遅れ>めいたあの悪習は、何時の時代に、何処の土地で、何方のアイディアで始められたものでありましょうか?
「じゃんけん」の際に掛ける掛け声についてのアイディアと言えば、私は、小学生の頃に、その掛け声を<ジャンケンポン>では無くて<ジャラケツホイ>にしたらどうかと提唱して、その響きに備わっている隠微さ故に男子には大いに指示されたが、女子には指示されずに終わってしまった、という苦い経験を持っている。
その頃は、<セクハラ>などという高級な思想も言葉も無かったから、もしも、私のささやかな提唱が全国的に支持され、<ジャラケツホイ>という隠微な掛け声で以って「じゃんけん」が始まったとしたならば、今となっては児戯に成り果ててしまった「じゃんけん」が大人社会にも受け入れられて、社長と部長とが、それぞれの女性秘書のお尻に目を走らせながら<じゃらけつほい>という掛け声を上げて、「じゃんけん」をやっていたに違いないと思って、そのことだけを一途に惜しんでいるこの頃である。
〔返〕 時としてお局さんも参加して「じゃらけつほい」とのじゃんけんゲーム 鳥羽省三
(じゅじゅ。)
○ 好きなことすればいいじゃんけんかして会社辞めるも君の人生
<じゅじゅ化粧品販売株式会社・社長賞>を授与しても宜しいような、ちょっとしたアイディアの見られる作品である。
〔返〕 馬鹿なことやればいいじゃんけんぽうを改定するもしないも無駄さ 鳥羽省三
(晴流奏)
○ じゃんけんは負けて素直に引き下がる人が居るからバランスが良い
それを言うならば、
〔返〕 じゃんけんは負けた人から抜けるから総理決めるに具合宜しい
(理阿弥)
○ じゃんけんショあの蝦夷松の林までカバン係だじゅんばんこだぜ
学校帰りに、同じ町内の通学仲間たちがよくやったものでした。
でも、私はそんなことはやらなかった。
何故ならば、出来るだけ早く帰って、ピアノ教室や塾に行かなければならなかったからです。
嘘、嘘、嘘ですよ、そんなことは。
早く帰ったら、畑仕事の手伝いをさせられるばかりだから、「カバン係」ごっこはしないまでも、私はいつも寄り道ばかりしてました。
〔返〕 じゃんけんショあのマドンナの住まいまで今頃丁度行水してる 鳥羽省三
(青野ことり)
○ じゃんけんで決めればいいね最後には なにを言っても恨みっこなし
「じゃんけん」で勝って心臓移植をしてもらったり、首相になったりする世の中の到来が、もう間近かに迫っているのかも知れません。
〔返〕 じゃんけんで決まったクラスの小鳥番父の仕事は焼き鳥屋です 鳥羽省三
(じゃこ)
○ 見抜かれているってことが嬉しくてじゃんけんぽんでまたチョキを出す
人間の心理の一つとして、「見抜かれているってことが嬉しくて」という倒錯した心理が在ることは確かである。
〔返〕 見抜かれて居るってことが快感でパパにダイヤをまた強請ってる 鳥羽省三
(南葦太)
○ じゃんけんで決めな 身体はひとつしかないし ほら寧々愛花 凛子も
南葦太さんは、その持ち前の教養も空しく、<今太閤>を気取っていらっしゃるのでありましょうか?
〔返〕 順番はじゃんけんぽんで決めなさい精力絶倫百戦錬磨 鳥羽省三
(蓮野 唯)
○ コンビニに行ってきてよとじゃんけんの勝ちで天下を取ったみたいな
昼休みの「コンビニ」弁当買出し係も、「じゃんけん」で決めてるのでありましょうか?
パート仲間同士でそんなふざけたことをしている暇があったら、もう少し早く起きて、手作り弁当を作って出勤した方が宜しいかもね。
〔返〕 一時間八百円の賃金でコンビニ弁当食べたらあかん 鳥羽省三
(桑原憂太郎)
○ 君たちの15の春をじゃんけんで決めても大きな逸脱はない
他ならぬ桑原憂太郎先生が、そんな不謹慎なことを仰るとは。
〔返〕 パンツ脱ぎ「15の春」を唄ってたあの歌手の子がデビューしたとか?
(お気楽堂)
○ じゃんけんで負けたのかしら真夜中にほたる一匹なぐさめに来る
「じゃんけんで負けたのかしら」というご自覚を持っていらっしやることは、必ずしも良くないことではありません。
しかしながら、
〔返〕 今様は沢のほたるも群れて飛ぶみんなで亘れば怖くないから 鳥羽省三
(山田美弥)
○ じゃんけんはいつもあいこだ 友達は鏡の中の私だけだし
引き籠りの方も「鏡」を見る習慣をお持ちなのかしら。
〔返〕 鏡面に映るあなたはあなたでないいつか必ず勝負が着くさ 鳥羽省三
○ じゃんけんで勝ったら泊めてくれるよね負けたら泊まってくれるんだよね
「勝った」にしろ「負けた」にしろ、本作の作者・伊藤夏人さんは念願叶って、今夜は彼女と同衾出来るのである。
納豆よろしく粘っこくやるんですよ。
〔返〕 じゃんけんに勝ったら上に寝かせるね私の部屋は二段ベッドだ 鳥羽省三
(船坂圭之介)
○ 春来しや窓のかなたにそれぞれの調べそぐはぬ「じゃんけん」の声
文語調の作品であるが、内容からして、私はこの作品を口語調の作品にしてみたいと思う。
好みの問題ではありましょうが?
〔返〕 軒下で声の揃わぬ「じゃんけんぽん」峡の村にも春が来たのだ 鳥羽省三
(間宮彩音)
○ 時として最初はグーで始まらない意地の悪さを競うじゃんけん
「最初はグー」という「じゃんけん」の存在を私が知ったのは、教師になってからのことである。
習慣の違いとは言え、「最初はグー」などと無駄な手順を踏んでの「じゃんけん」を習いとしている神奈川県の子供たちを、その当時の私は、少し大袈裟に言えば、<知恵遅れ>の子供たちだと思っていたのである。
ところが、夏休みになって郷里に帰省してみたら、郷里の子供たちもまた、<知恵遅れ>みたいに「最初はグー」などと言って「じゃんけん」をしていたのである。
<知恵遅れ>めいたあの悪習は、何時の時代に、何処の土地で、何方のアイディアで始められたものでありましょうか?
「じゃんけん」の際に掛ける掛け声についてのアイディアと言えば、私は、小学生の頃に、その掛け声を<ジャンケンポン>では無くて<ジャラケツホイ>にしたらどうかと提唱して、その響きに備わっている隠微さ故に男子には大いに指示されたが、女子には指示されずに終わってしまった、という苦い経験を持っている。
その頃は、<セクハラ>などという高級な思想も言葉も無かったから、もしも、私のささやかな提唱が全国的に支持され、<ジャラケツホイ>という隠微な掛け声で以って「じゃんけん」が始まったとしたならば、今となっては児戯に成り果ててしまった「じゃんけん」が大人社会にも受け入れられて、社長と部長とが、それぞれの女性秘書のお尻に目を走らせながら<じゃらけつほい>という掛け声を上げて、「じゃんけん」をやっていたに違いないと思って、そのことだけを一途に惜しんでいるこの頃である。
〔返〕 時としてお局さんも参加して「じゃらけつほい」とのじゃんけんゲーム 鳥羽省三
(じゅじゅ。)
○ 好きなことすればいいじゃんけんかして会社辞めるも君の人生
<じゅじゅ化粧品販売株式会社・社長賞>を授与しても宜しいような、ちょっとしたアイディアの見られる作品である。
〔返〕 馬鹿なことやればいいじゃんけんぽうを改定するもしないも無駄さ 鳥羽省三
(晴流奏)
○ じゃんけんは負けて素直に引き下がる人が居るからバランスが良い
それを言うならば、
〔返〕 じゃんけんは負けた人から抜けるから総理決めるに具合宜しい
(理阿弥)
○ じゃんけんショあの蝦夷松の林までカバン係だじゅんばんこだぜ
学校帰りに、同じ町内の通学仲間たちがよくやったものでした。
でも、私はそんなことはやらなかった。
何故ならば、出来るだけ早く帰って、ピアノ教室や塾に行かなければならなかったからです。
嘘、嘘、嘘ですよ、そんなことは。
早く帰ったら、畑仕事の手伝いをさせられるばかりだから、「カバン係」ごっこはしないまでも、私はいつも寄り道ばかりしてました。
〔返〕 じゃんけんショあのマドンナの住まいまで今頃丁度行水してる 鳥羽省三
(青野ことり)
○ じゃんけんで決めればいいね最後には なにを言っても恨みっこなし
「じゃんけん」で勝って心臓移植をしてもらったり、首相になったりする世の中の到来が、もう間近かに迫っているのかも知れません。
〔返〕 じゃんけんで決まったクラスの小鳥番父の仕事は焼き鳥屋です 鳥羽省三
(じゃこ)
○ 見抜かれているってことが嬉しくてじゃんけんぽんでまたチョキを出す
人間の心理の一つとして、「見抜かれているってことが嬉しくて」という倒錯した心理が在ることは確かである。
〔返〕 見抜かれて居るってことが快感でパパにダイヤをまた強請ってる 鳥羽省三
(南葦太)
○ じゃんけんで決めな 身体はひとつしかないし ほら寧々愛花 凛子も
南葦太さんは、その持ち前の教養も空しく、<今太閤>を気取っていらっしゃるのでありましょうか?
〔返〕 順番はじゃんけんぽんで決めなさい精力絶倫百戦錬磨 鳥羽省三
(蓮野 唯)
○ コンビニに行ってきてよとじゃんけんの勝ちで天下を取ったみたいな
昼休みの「コンビニ」弁当買出し係も、「じゃんけん」で決めてるのでありましょうか?
パート仲間同士でそんなふざけたことをしている暇があったら、もう少し早く起きて、手作り弁当を作って出勤した方が宜しいかもね。
〔返〕 一時間八百円の賃金でコンビニ弁当食べたらあかん 鳥羽省三
(桑原憂太郎)
○ 君たちの15の春をじゃんけんで決めても大きな逸脱はない
他ならぬ桑原憂太郎先生が、そんな不謹慎なことを仰るとは。
〔返〕 パンツ脱ぎ「15の春」を唄ってたあの歌手の子がデビューしたとか?
(お気楽堂)
○ じゃんけんで負けたのかしら真夜中にほたる一匹なぐさめに来る
「じゃんけんで負けたのかしら」というご自覚を持っていらっしやることは、必ずしも良くないことではありません。
しかしながら、
〔返〕 今様は沢のほたるも群れて飛ぶみんなで亘れば怖くないから 鳥羽省三
(山田美弥)
○ じゃんけんはいつもあいこだ 友達は鏡の中の私だけだし
引き籠りの方も「鏡」を見る習慣をお持ちなのかしら。
〔返〕 鏡面に映るあなたはあなたでないいつか必ず勝負が着くさ 鳥羽省三