2012年度作品。アメリカ=イタリア=スペイン映画。
ローマを舞台に年齢も性別も異なる男女の4つの物語が繰り広げられる、ウディ・アレン監督によるラブ・コメディ。
監督はウディ・アレン。
出演はウディ・アレン、アレック・ボールドウィンら。
群像劇である。
そのためてんでバラバラなエピソードが特につながりのないまま、進んでいくこととなる。
そういったタイプの作品となると、物語展開がわからなくなるものだが、そこはさすがウディ・アレン。物語をきれいに整理し、わかりやすく見せてくれる。
おかげですなおに楽しんで見ることができた。
またユーモアもたっぷりで純粋におもしろい。
個人的にはコールガールが、金持ち連中とほとんど関係を持っているところに笑った。
ほかにも見ていてにやりとさせられるところは多い。
コメディとしても良質だと感じる。
さて肝心のストーリーだが、くそまじめに捉えるなら、無理の多い作品だと思う。
平凡な男がある日突然有名人になるところや、知り合ったばかりの男がデート中につきまとうところ、シャワーを浴びながらでなければ美声を発揮できない男のために、シャワーを浴びながら、オペラを歌わせるところなど。
つっこみどころの宝庫で、ええっー? と心の中で悲鳴をあげてしまう。
しかしどこかファンタジックな味わいがあるため、割にすなおに、その無茶な設定を受け入れられるのがおもしろい。
基本的にそういった無茶な設定は、登場人物の欲望の具現化でもあるのだろう。
平凡な男は有名になりたいと願い、まじめな夫婦は性的逸脱を心のどこかで夢見てる。
音楽家は何かすばらしいものを残したいと考えオペラを演出し、恋人がいながら浮気する男は、そういった展開をどこかで願ってもいるのだろう。
欲望というものはなかなかに根深いらしい。
しかし何かを願っていても、全員おさまるべき場所におさまっている。
人である以上、何かを夢見ることはある。
だが失望を抱えながらも、帰る場所は自分の今いる場所であるのかもしれない。そんなことを思う。
ほかのウディ・アレン作品に比べると、完成度は低いかもしれない。
だがそれでもなかなか楽しめる作品であった。
評価:★★★(満点は★★★★★)
そのほかのウディ・アレン監督作品
「タロットカード殺人事件」
「ミッドナイト・イン・パリ」
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