わたしたちは、いわば、二回この世に生まれる。
一回目は存在するために、二回目は生きるために。
「エミール」/ジャン・ジャック・ルソー・著
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選ぶことができないもの。健康、性別、時代、境遇、親。
選ぶことができるもの。生きかた、生きること。
わたしは人間として生まれた。人間の社会の仕組みのなかに生まれてきたので、自分を縛るものに取り囲まれていた。それらに身をゆだねることもできた。でも気持ちに納得のゆかないものがあって、それはいらだちに変わり、やがて耐えられないものになった。心には、別の願望が植物のように伸びてきたから。
だから、思い切って飛び出した。わたしは自分の気持ちにしたがって飛び出してきた。自分の本当の気持ちに忠節でありたいから。わたしは、ようやく、生きることを始めた。たくさんぶつかったけれど、そのたびに知恵を拾ってきた。独身者だけれど、セレブじゃないけれど、同い年の人や年長の人と話したり、一緒に仕事をしたりしていて、はっきりわかったことがある。自分は彼らの誰よりも、多くの「知恵」を身につけてきた、と。
奴隷であった経験は、けっしてムダじゃなかった。傷ついた経験はけっしてムダじゃなかった。失った経験はけっしてムダじゃなかった。わたしには、少なくとも奴隷たちとは違っている点がある。
自分の気持ちにしたがって生きていること。誰かを見返すためじゃなく、誰かに認めさせるためでもなく。
「わたしは生きている」とはばかりなく言える人間がどれほどいるだろうか。他人に認めてもらうために生きるのは、生きているんじゃない、単に存在しているだけだ。
一回目は存在するために、二回目は生きるために。
「エミール」/ジャン・ジャック・ルソー・著
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選ぶことができないもの。健康、性別、時代、境遇、親。
選ぶことができるもの。生きかた、生きること。
わたしは人間として生まれた。人間の社会の仕組みのなかに生まれてきたので、自分を縛るものに取り囲まれていた。それらに身をゆだねることもできた。でも気持ちに納得のゆかないものがあって、それはいらだちに変わり、やがて耐えられないものになった。心には、別の願望が植物のように伸びてきたから。
だから、思い切って飛び出した。わたしは自分の気持ちにしたがって飛び出してきた。自分の本当の気持ちに忠節でありたいから。わたしは、ようやく、生きることを始めた。たくさんぶつかったけれど、そのたびに知恵を拾ってきた。独身者だけれど、セレブじゃないけれど、同い年の人や年長の人と話したり、一緒に仕事をしたりしていて、はっきりわかったことがある。自分は彼らの誰よりも、多くの「知恵」を身につけてきた、と。
奴隷であった経験は、けっしてムダじゃなかった。傷ついた経験はけっしてムダじゃなかった。失った経験はけっしてムダじゃなかった。わたしには、少なくとも奴隷たちとは違っている点がある。
自分の気持ちにしたがって生きていること。誰かを見返すためじゃなく、誰かに認めさせるためでもなく。
「わたしは生きている」とはばかりなく言える人間がどれほどいるだろうか。他人に認めてもらうために生きるのは、生きているんじゃない、単に存在しているだけだ。