心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

タミフルから考える,○○ベイスト・メディスンの行方

2007-02-28 10:45:32 | 効果・実証・エビデンス関連
タミフル,大丈夫なんですかね。また,タミフル飲んだのが原因なのか,服用中の中学生がなくなったそうです。



とはいえ,厚生労働省によれば,明確に副作用を否定する証拠も肯定する証拠もないのが現状だそうです。(参考:ウェキペディア
しかし,これだけ報道されるとタミフル飲む勇気はないですな。この先,タミフルは一体どうなるのか。。
ちょっと飲み会で自慢できるトリビアですが,タミフルの原料は,八角らしいですよ。あの中華の香辛料の八角。

そうした植物由来のものなんで,世界から枯渇しているんだとか。そのくせ,75%が日本で使われているだそうで,しかも,米国の13倍も子どもに使われている。ああた,13倍ですよ,13倍。子どもの数は断然,米国のほうが多いから,となると,本当に何倍使われているんだって話ですよ(つか,その辺の数字が精査されているのかわからんのですが)。
日本人の薬好きは今日に始まったことじゃないですが,副作用とかの話も,根本的にこの辺が問題なんじゃないかと思うわけです。


とタミフルの問題を考えると,次元は違いますが,なんとなく連想するのが,

薬害エイズ問題

でありますね。
事件の渦中で,一躍脚光を浴びたのが(浴びたくはないでしょうが)川田 龍平さんでありました。マスコミに出た当初,少年ぽい方でありましたが,いまはちゃんとしたオサーン... 大学の教員をされているそうですよ。
そして,いまはこんな仕事を。

エイズ教育のこれから―龍平から子どもたちに伝えたいことエイズ教育のこれから―龍平から子どもたちに伝えたいこと
川田 龍平

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薬害エイズといえば,「今日の出来事」の櫻井 よしこさんであります。彼女の国家論や社会論は,国益優先主義的で好きではありませんが,薬害エイズに関しては評価します(ってエラそうですが)。

これが火付け役であります。

エイズ犯罪 血友病患者の悲劇エイズ犯罪 血友病患者の悲劇
櫻井 よしこ

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これは,裁判取材の過程で,安部英元帝京大学教授に「名誉棄損」で訴えられた櫻井さんの話。いわば,サブストーリーでありますね。

安部先生、患者の命を蔑ろにしましたね安部先生、患者の命を蔑ろにしましたね
櫻井 よしこ

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ですが,結局は,安部氏は無罪になりました。義憤にかられる一書。

薬害エイズ「無罪判決」、どうしてですか?薬害エイズ「無罪判決」、どうしてですか?
櫻井 よしこ

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どれも手に取りやすいので,どぞ。

また,他の医師の証言もあります。

真実を直視する―薬害エイズ訴訟の証人医師として真実を直視する―薬害エイズ訴訟の証人医師として
内田 立身

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現状の医学の問題点が浮き彫りになっているものです。
薬害エイズの問題は,象徴的な医学の問題なんですね。


さて…
無罪判決を受け,2005年に死亡した安部英氏ですが,血液学,特に血友病の大家でありました。東大医学部(旧帝大ですが)出身でありまして,1986年にはこんな本を出されています。

『エイズとは何か―謎の正体に迫る』


ちなみに,無罪になった理由は,一医師である安倍氏に,その当時では非加熱製剤のエイズ薬害問題は予見できなかった,ということなんですが…
ま,個人的には,安倍教授の問題は刑事裁判で裁くべき問題なのか,というところも引っかかります。というのも,予見ができたか否か,ということが業務上過失致死になる,ということで争われているのならば,ちょっと刑事罰は妙な感じもするのです。「医師」という職種にそこまでの責任を負わせるのは,社会通念上厳しい気がします。(ミドリ十字から金をもらって説を曲げたというのならば,これは悪魔の所業でありますが。)

一方で,かの医師に道義的な責任を感じていたのか,と怒りがあったりします。たぶん,刑事告訴に踏み込まれたのも,医師としての良心はいずこへ行ったのか,というような状態だったからではないかと邪推します。

知らないからいいのか,ではなく,知らなかったことをこそ悔やんでほしいと。

そんな怒りからだったのではないかと。

世界各地で非加熱製剤の問題は大問題になったらしいですが,裁判までなったのは,他にフランスだけだったらしいですね。医者までがあげられたのは,日本だけだとか。
ウーム。

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「ユーザー・ベイスト・メディスン」つう概念をいまふと閃いたんですが,だれか使ってやってください。



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