マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

第66回プロムナード・コンサートの演奏曲について2

2023-10-22 00:01:01 | ラ・プロムナード・ミュジカル
前半のソロで演奏する3曲目は、ドビュッシー(1862〜1918)の小品です。
「燃える炭火に照らされた夕べ」という長いタイトルで、ドビュッシー死の前年の1917年の作です。
2001年に発見され、2003年に出版されました。
この曲がドビュッシー最期の作品。
タイトルは、ボードレーヌの詩「バルコニー」の中の一節です。
ボードレーヌの詩の一節を使ったタイトルは他にもあり、前奏曲集第1集の「音と香りは夕暮れの大気に漂う」もボードレーヌの「夕べのハーモニー」からの引用です。
詩の一節を引用したという共通点からか、炭火〜の曲の出だしは、音と香り〜の出だしと酷似しています。
他にも、モティーフを応用した曲があるという見方がありますが、私としては、好きなフレーズやモティーフを使っただけなのかもな…と思っています。
晩年、ドビュッシーは大腸がんを患い、体力の衰えがあり、金銭的にも、離婚した元妻への支払いとか苦労していたようで、なかなか厳しい生活だったようです。
炭を買うお金もなかったとか…。
炭屋が、お金の代わりに曲を作ってくれるようにと言い、そのために作った曲とのこと。
なので、私は、好きなフレーズや記憶に残っているモティーフを使って作ったのか…と思うわけです。
どんな想いを込めたのか…誰にもわかりません…。
曲は、静かな中にポッと炭火が明るくなったかのような、穏やかな気持ちになる優しい曲となっています。

ドビュッシーは1918年に亡くなったのですが、その翌年には2番目の妻との娘、クロード=エンマが髄膜炎で亡くなっています。
ドビュッシーの生家は、パリ郊外のサン=ジェルマン=アン=レーの小さい家で、現在はドビュッシー博物館となっています。
まぁ、小さい…ですね。
お父さんの陶器店の経営難で、2歳の時そこを離れています。

4曲目は、「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」です。
作曲は、フランチェスコ・サルトーリ(1957〜)で、アンドレア・ボッチェリの「君と旅立とう」という曲名で歌った曲です。
この曲が有名になったのは、イギリスのソプラノ歌手サラ・ブライトンがボッチェリとデュエットで歌ったことで、その際、歌詞の一部をイタリア語から英語の「タイム・トゥ・グッバイ」に変更したそうです。
グッバイとあると、お別れの曲のように思いますが、あなたと共に新しい世界で生きていこうという旅立ちの歌で、お別れの歌ではないです。
今回演奏するのは、イル・ディーヴォという4人組男性ヴォーカルグループが歌った演奏を参考にアレンジしました。
歌ものをピアノで演奏するには、歌詞がない分難しくなりますが、原曲の良さを損なわないように…と。



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