platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

とっておきを子供たちに

2006-12-31 | うたっておどろんぱ!プラス
 年の瀬も押し詰まっているのに『うたっておどろんぱ! プラス』、新作でした。ダンサーズの新映像はなし、はっぴい吉田さんは2001年度のリバイバル、と突っ込みたくならないわけではないのですが、その心意気が嬉しいですよね。
 今回の放送を見て思い出したのは、つい最近見たサンフランシスコ・バレエの『くるみ割り人形』。会場のオペラハウスでは、普段はパーカにジーパンの女の子達がみんな可愛い髪飾りをつけて、フォーマルウェアに身を包んですましていました。ロビーにはテディ・ベアの大きなクリスマス・オーナメントが飾られて、いつもは未就学児入場不可、係員が異常なくらい多く、マナーも厳しいこのオペラハウスがお子様歓迎ムード。
 そして始まった公演は、子供の気持ちを2時間のあいだ引きつけるために十分に練られた楽しいものでした。マジックを取り入れて、空の箱からつぎつぎとダンサーが出てくるわ、セットのツリーがぐんぐん伸びて10mほどになるわ、サーカスのテントをスカートに見立てた塩沢ときさん(知ってる?)みたいなMr.レディも登場するわ、で子供たちも身を乗り出してみていました。もちろんダンサーの技術は一流で、とくに王子役のゲンナジー・ネドゥビギンは、端正で気品があふれて素晴らしいの一言! で、この人の踊りの素晴らしさがまた子供にもちゃんとわかるんです。こんな純粋のダンスール・ノーブルを、子供が多く来るとわかっている演目に出演させるバレエ団は偉いです~。「今日は子供向け」だから「わかりやすさ」という言い訳つきの「手抜き」をするのではなく、とっておきのものを見せる、という意気込みが感じられる、気持ちのいい公演でした。

 来年度のおどろんぱ、どうなるのかとまた気になる季節になりましたが、この番組も「とっておき」を子供に見せることのできる数少ない番組の一つです。「三忍者」や「異種格闘技対決」などは年齢も性別も問わない魅力ある作品でした。今回初めておどる君としてではなく出演された明羽美姫さんも含めて、おどろんぱのメンバーは、十分『くるみ割り人形』のようなファンタジーを子供に見せてあげられる人たちなので、続投がなくても(ああ~言葉にするとちょっときついわ~)DVD作品なり、ステージなり、何かの形でひとつ創作を残してもらいたいな、と思ってしまいます。NHK様、コロムビア様、どうぞご検討くださいませ~
 もう日本は大晦日ですね。島流しになった後も読んでくださった皆さん、本当に有難うございます。新年が皆さんにとってよい年となりますよう 

『TOMMY』チケットを青山航士さん公式サイトで受付!

2006-12-29 | TOMMY
 皆さん、朗報です~ 

 青山航士さん公式サイト”only one”トップページをご覧下さい。
 『TOMMY』公演チケットを所属事務所のF-Spirit様で申し込めるようです。嬉しいですねえ 一足早くお年玉を頂いた気分ですね。迷っている方はもう行くしかありません! もう取っちゃった、という方もこの際回数増やしちゃいましょう~。

 付記:F-Spirit様公式サイトトップの"Profile"に青山さんのページが 皆さんもう知ってました? 今頃喜んでるの私だけかしら・・・・ 

TOMMYとWSS/1950年代のティーンエイジャー

2006-12-28 | TOMMY
 ブロードウェイ版『トミー』は1941年生まれ、45年母親の恋人の殺害を目撃しトラウマを負い、51年(10才)、ピンボールと出会う・・・という設定です。そしてピンボールチャンプとの決戦は1958年、17才ということになります。(映画版は45年生まれ、ピート・タウンゼントと同じ年です。)
 上演から2年以上たった今も、よくティーンエイジャーの心象を克明に描いた『ウエストサイドストーリー』での青山航士さんを思い出しますが、このミュージカルの金字塔は57年作品、当時NYで起きたティーンエイジャーの殺人事件にヒントを得て作られました。つまり、ブロードウェイ・ミュージカル版トミーは、あのNYのJets&Sharksと同世代なのです。
 戦勝国アメリカとイギリスの50年代のティーンエイジャーというのはそれまでの10代とは違い、戦後のベビーブームの担い手であり、経済の拡大によって、アルバイトすれば自分のお金をポケットに持つ事が出来るようになった世代、とBW版スタッフは語っています。
 それまでは大人になるのを待つしかなかったのに、自分たちの楽しみ方を自力で手にするようになったこの世代は「テディ・ボーイ」と呼ばれました。男性のファッションは細身のパンツ、織り地を使ったベスト、襟を立てたシャツ、女性はWSSで目にしたような、ウエストを絞った大きく広がるフレアースカートが特徴だったようですね。また音楽も、クラブに集まり、スキッフル(ジャズとフォークをミックスしたもの)、ジャズ、ロックと同世代だけで自分たちの好みの音楽を楽しむようになったといいます。
 戦中・戦前の教育によって、厳格で堅実な考え方をする親世代とは違って、若さのエネルギーを爆発させ、自分たちの文化を花咲かせた世代ということのようです。だからこそ21世紀になっても私たちはこの世代の生んだアメリカやイギリスのカルチャーに引かれ続けるのかもしれません。
 経済的繁栄の片隅に追いやられるスラムの少年達を描いた『ウエストサイドストーリー』の時間を舞台上に鮮明に蘇らせた青山さんが、今度はひとつのカルチャーを生成するエネルギーを見せてくれるのでしょうか。あの"Dance at the Gym"を想いださせるような、熱いダンスが見られそうですね。

プレスリーと「ピンボールの魔術師」

2006-12-26 | TOMMY
 『トミー』を語るには欠かせないゲーム、ピンボールは1931年、David Gottliebが、bagatelleという昔からあるゲームに手を加えてドラッグストアやゲームセンターに販売したのが始まりだとか。わずか数年後には百ほどの会社が競ってピンボールの新しいバージョンを製造していますので、一種のブームだったようです。もう一回ゲームの出来るボーナス・ルールつきの機種、換金できる新型機が出ると、ただの遊びでなく、武器なしの一騎打ち的な意味も持つようになったそうです。
 そのピンボール・チャンピオンの決戦の場に流れる、"Pinball Wizard"/「ピンボールの魔術師」は映画版『トミー』ではひとつの山場となる、ビビッドな曲です。ブロードウェイミュージカル版振付のウェイン・シレントはこの曲を振付けるにあたってエルヴィス・プレスリーの『監獄ロック』(57)などの古い映画からヒントを得、プレスリーの写真からとった動きもあるということです。日本で思っていた以上にプレスリーの人気は根強く、ポスターやグッズはよく見かけますし、ハロウィンにはちびプレスリー達があちこちでもみ上げをぶら下げて歩いていました。前に触れたディープ・パープルといい、60年代ロックは広く長く愛されて一種の「クラシック」になりつつあるのかもしれません。
 さて日本版はいのうえひでのりさんのインタビューを読むとBW版よりも強烈なものになりそうですね 個人的にはBW版が重量級チャンピオンのプレスリーなら日本版はサイケ時代のデヴィッド・ボウイーあたりどうかしら~、なんて思ってしまいます。青山さんの都会的に洗練されていながらも、強くグラインドするようなターンなんかで見たら、カッコイイだろうな~

 付記:後から気がつきましたがプレスリーとボウイーは同じ1月8日生まれ。プレスリーは35年、ボウイーは47年なので干支も同じですね。似ても似つかぬようなんですが、奇遇です~。これも何かの縁、日本版はボウイーで。

ロック+ミュージカル=ダンスのグレードアップ!

2006-12-24 | TOMMY
 "We Will Rock You"や、ビリー・ジョエルの曲を全編に使った"Movin' Out"、そして"Tommy"と、いわゆる「ミュージカル的な」音楽を使わない作品が話題を集めていますが、これは新しい客層をひきつけようとするブロードウェイの意識的な作戦なのだそうです。
 とくに60年代、ビートルズの"Meet the Beatles"が、ブロードウェイの"Hello, Dolly!"を押さえてヒットチャートを飾って以来、ロックがミュージカルの若い観客を奪った・・・という感覚がブロードウェイの創り手たちにはあるのだそうです。現在のアメリカのミュージカルの観客は中年以上が多数ということで、幕間のお弁当こそないものの、支持層は日本の歌舞伎より少し若い程度かも知れないですね。
 一方ピート・タウンゼントは、ロックは若い人達の音楽ではなく、心に満たされないものを持つ人々の音楽、と語っていて、実際アメリカでは分別盛りの年代の方がガンガンにロックをかけて運転していることも珍しくありません。また逆に、昨日も華やかなクリスマスツリーが飾られたサンフランシスコのユニオン・スクエアで、小学校高学年くらいの男の子達がCDラジカセを鳴らし、テニスラケットをギターに見立ててディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を踊り狂っていました。彼らからすると、殆どおじいちゃん世代の曲のはずなんですが、世代を超えて彼らの「満たされない心」を受け止めるものがあるのでしょうね。
 ただ、「ミュージカル的」でないロックで舞台を作るとすると、やはりダンスも「ミュージカル的」でなくなっていくしかないようです。P.タウンゼントも『トミー』に従来のミュージカルのようなダンスは不要、と考えていたようですが、私もいわゆる「ミュージカル的」なダンスには関心が持てずにいました。それが青山航士さんのクラシックからストリートダンスまで網羅する幅広い表現領域から曲に合わせて厳選され、ステージ上で差し出される造形に触れてからは、せっせとミュージカル通いをしたのですから、ブロードウェイの戦略にすっかり乗せられているということでしょうか。今回の『トミー』も、型にはまったステップとは程遠い、「満たされない心」に響くようなダンスを見せてくれる、そんな気がします。今はミュージカルが変わっていく、その変化を目の当たりにする面白い時代なのかもしれません。

イープラスでROLLYさんのメッセージ

2006-12-22 | TOMMY
 前にお知らせしたイープラスのTheatrixでいのうえひでのりさん、右近健一さん、中川晃教さんに続いてROLLYさんの動画メッセージがアップされました。"Tommy"という作品に対する愛情がひしひしと伝わるメッセージです。しかし中学でThe Whoのファンになられたとは・・・繊細で知的な感じの方とは思ってましたが、なるほどです~。オフザケなしのメッセージがカッコイイです。

2人のトミーが出会うとき

2006-12-22 | TOMMY
 前回触れたウォーカー夫妻の描き方だけでなく、ブロードウェイミュージカル版"Tommy"は、ピート・タウンゼントの初期のアイディアに基づいて創り上げられた点がいくつかあるようです。アルバム発表は69年ですから、およそ4半世紀を隔てても自分の想いを「表現」する執念がカッコイイですね~。
 そのひとつとして、映画版とは違い、BW版は最初から青年のトミーが登場します。ピート・タウンゼントは、アルバム作成の最初の段階で、二つの異なる道が一点に集中していく形で物語をつむいだそうです。一つは「成長し、知恵を身につけ、年をとり、死にゆく」生身のトミー、もう一つは「トミーの不死の魂、年をとらず、無垢でパワフル」この2人がクロスするとき、自由の瞬間が訪れる・・・。この考えをミュージカル化にあたり、演出のデス・マカナフに伝えたところ、彼はとても気に入り、それを演劇的に展開したということです。
 また、彼が"Tommy"のために初めて書き上げた曲は'Amazing Journey'で、それはこの「不滅のトミー」のことを唄ったものだそうです。映画、オーケストレーション、ライブ、とありとあらゆる表現手段で観客に差し出される"Tommy"は、ピート・タウンゼントの文字通りのライフワーク、日本ではどうなるのでしょう。日本版開幕の頃には、BW版からさらに14年の歳月が流れることになります。ご本人チェックなどはいると、観客は喜んでしまいますよね~、ミュージカル化まではアンチ・ダンス派だった彼に、ぜひ青山航士さんのダンスを見ていただきたいものです。そして、もしBW版にならうなら、中川晃教さんファンは遅刻できなさそうですね 

Vpassで『TOMMY』大阪公演チケット受付

2006-12-21 | TOMMY
 前にお知らせした三井住友ビザカードVpassで『TOMMY』大阪公演チケットも申し込み受付中です。前回見逃したようです、すみません~ 大阪は全日程対象ですね。

 トップページの上部インデックスバー「サービスいろいろ」をポイント→「チケット&エンターテインメント」をクリック→開いたページの下寄り真ん中あたりに「お電話でお申し込み」ボックスがありますので、その中の「チケットデスク」をクリック→「西日本公演」の「ミュージカル・ダンス」をご覧下さい。

トミーの両親

2006-12-19 | TOMMY
 ブロードウェイ版『TOMMY』は1940年のプロローグから幕開けです。そしてトミーが殺人を目撃するのは1945年、4才のとき。映画版ではトミーが6才、実の父親が被害者となりましたが、BW版はアルバム発表当時の設定どおり、父親が母親の恋人を殺害する設定です。
 もともとピート・タウンゼントには、トミーに三重苦を与えた親の責任・罪などを描くため、生き残るのは血のつながった親子であるべき、という考えがあったそうです。が、映画監督ケン・ラッセルは父親が犠牲となり、イコン的な存在となることを希望したため、映画版はあくまでトミーを中心に描き、親の心理・責任にはさほど重点をおかなかったといいます。それに映画版は、恋人=義父役のオリバー・リードのね~っとりとしたコミカルな演技がなければ、まったくの別物になりそうですよね。
 トラウマによるトミーの境遇は現在ならばおそらく「自閉症」と診断されるものなのでしょうが、40年代前半のイギリスの医療現場ではまだ疾病として認められていませんでした。戦後、医療は急速に発達し、50年代には医療制度も一新されましたが、自閉症の子どもを持つ親へのサポートは60年代後半までなかったそうです。BW版では50年、10才のトミーをウォーカー夫妻が教会に連れて行きますが、どれほど追い詰められていたかは想像に難くありません。
 ピート・タウンゼントは、子どもを苦難の多い境遇に至らしめたというだけでなく、トミーの反応は血を分けた者だからであり、彼らは生物学的に、遺伝子の底からも親として非難されるべきと感じている、という見方をしているそうです。BW版の母親は、映画版のコケティッシュなアン・マーグレットとはかなり違う、どこか清新な感じのあるMarcia Mitzmanです。いのうえ版は高岡早紀さんだと思いますが、一体どんな母親になるのでしょうか。 

ストップモーションするならば

2006-12-17 | うたっておどろんぱ!プラス
 この10日ほどPCが絶不調、日本のテレビを見るロケーションフリーは起動しないわ、スタートボタンはタスクバーごと消失するわで「ああ~~、おどろんぱが見られない~~」と半泣きになっていましたが、悪戦苦闘の末、昨日深夜ようやく見られるようになりました。不吉なことを口走るんじゃない、とお叱りを受けるとは思いますが「おどろんぱが見られない!」心理状態を味わってしまい、番組が終わったらこんなのかしら~~と恐怖に震えています
 そんなわけでいつもより余計にありがたく感じた青山航士さんの新映像、短くても空気の質感を変えてしまう動きを見ただけで満足でした こういう台詞にたよらないものがパッとできるって「おどろんぱ」のメンバーならではですね。曲は昨年度の「モーション パピプペポ!」。昨年度もぼやいたんですが、この曲を聴くと、「ストップモーション」をテーマにして違うダンスが見たくなります。
 聞いた話なので、どんな言い回しだったのかは全く分らないのですが、ある人がモーツァルトに「音楽の何がもっとも美しいのでしょうか」とたずねたところ、モーツァルトは「音楽の鳴っていないところ」と答えたそうです。これはダンスを見ていても感じることで、魅力あるダンサーはステップからステップへ移っていく、音楽で言えば一つのフレーズが終わって次のフレーズに移るその間に、ふっと全身が空に遊ぶような、音楽で言うなら「無音」のような瞬間があって、それがとても綺麗なんです。その一瞬の静寂/静止が、前後の響き/動きをますます鮮明に感じさせてくれるように思います。青山さんのダンスを見ていて「音楽的」と感じるのも、そんな「音楽の妙」と同じ、一瞬の間があるからかもしれません。
 「モーション・・・」みたいな賑やかな曲も楽しいですが、テーマがあまりにも面白いので違うバージョンが見たいです~。これは「来年度続行」しかありません、よねっ!!

 それから、毎日PCを前にオロオロしていたので気付きませんでしたが、14日に総閲覧数が14万pvを超えました。島流しブログにたくさんのアクセス有難うございました

どうしてピンボール?

2006-12-16 | TOMMY
 イープラスのTheatrixで、いのうえひでのりさん、右近健一さん、中川晃教さんの動画メッセージとインタビューがアップされていました。それによると映画版でエルトン・ジョンが派手に決めていたピンボール・チャンピオン役は、ROLLYさんのようです。派手の質が違う、華やかで魅力的なチャンピオンになりそうですね。また、日曜まで東京公演プレオーダー受付中です。(イープラスのプレオーダーは申し込み=購入ではありませんが、購入決定前に席がわかる公演とわからない公演があります。)

 映画版『TOMMY』の中盤、いつものように鏡を見つめるうちに、トミーはもう一人の自分に誘われるようにしてスクラップの山の中へ入っていきます。そこでピンボールの才能に目覚めるのですが、率直に言って最初は「え? ピンボールってあのピンボール?」と思いました。皆さんどうでしたか?
 95年のRichard Barnesの覚書によると、アルバム製作中、当時とても影響力のあったNik Cohnというロック評論家にラフ・ミックスを試聴してもらったところ、どうも反応が良くなかったようです。製作サイドとしてはどうしても彼の好意的なレビューが欲しい、という局面でした。そこでピート・タウンゼントはCohnがピンボールの大ファンだということを知った上で、トミーが何かサッカーみたいなスポーツか、「ピンボールかなにか」をプレイすることを決めたのだそうです。それを聞いて「大傑作になるだろう」とCohnは即答したとか。話が出来すぎのような気もしますが、ピンボールファンって阪神ファンみたいなものなのかしら。
 このピート・タウンゼントの頭脳プレイが功を奏したのか、作品の完成に先立って"Pinball Wizard"(「ピンボールの魔術師」)はシングルカットされ、全英4位、全米19位までヒットチャートを駆け上がり、エルトン・ジョン・バージョンは全英7位、と成功を収めました。
 ピート・タウンゼントの言葉をかりると「ティーンエイジャーが好きなもので、どこか安っぽく、学校の教師が否定しそうな」ピンボール、あのハデハデの電飾、ガチャガチャとした無秩序な音の響き、無機質な「モノ」の塊が、一歩間違うと抹香くさくなるテーマに若々しい命を与えたような気がします。・・・やっぱりその評論家は偉かった?

『TOMMY』東京公演チケット

2006-12-14 | TOMMY
 1月6日の一般発売はまだ先ですが、以前お知らせした以外のチケット取り扱い窓口のご案内です。いずれもカード会員向けのサービスです。

  チケットOMC 3月18日(日)13:00 半館貸切公演

  三井住友VISAカード Vpass 
   3月13(火)・16(金)・20(火)・23(金)・28(水)・29(木) 18:30
   3月17(土)13:00/17:30
   3月24(土)・25(日)13:00
   3月30(金)14:00/18:30
      電話受付のみ
       会員向けトップページ上部のインデックスバー「サービスいろいろ」をポイントし、 
       「チケット&エンターテインメント」をクリック、「東日本公演」をご覧下さい 

『Tommy』のクリスマス

2006-12-13 | TOMMY
 映画版『トミー』では、幼いトミーが賑やかなクリスマスパーティーに同席するシーンで"Christmas"が歌われますが、ブロードウェイ版はこの曲の背景を教会に変えました。この教会と、続くクリスマスディナーのシーンはアルバム製作時にはなかったアイディアで、ミュージカル用に考案されたそうです。
 トミーが「救われる」ためには、最終的には自分自身のなかに「救い」を見つけなくてはならないのに、母親と父親(映画版では義父)がなんとか「救おうと」連れて行く、医療施設と教会には共通するものがある・・・というのが演出のデス・マカナフとピート・タウンゼントの考えのようです。
 医療では効果が現れず、ウォーカー夫妻は宗教に向かう、そこで牧師とその妻というキャラクターが新たに生まれたといいます。結果、ミュージカルでの"Christmas"は、その祝日のことというより、既存の宗教はどんなやり方でトミーの心を動かそうとするのか、その方法についての曲になったそうです。
 
 舞台写真で見る「教会」はモダンなステンドグラス調の背景で、聖書を手にした聖職衣姿のアンサンブルが並んでいます。デコレーションが施された、華やかな祝祭の雰囲気が漂う12月の街並みを思うとかなり暗く、重々しい感じです。また続くクリスマスディナー・シーンも食卓は豪華なんですが、「パーティー」というはしゃいだ感じは、少なくとも写真からは伺えません。
   
    トミーは今日が何の日か知らない
    イエスが誰なのか何を祈るかも知らない

 "Christmas"では、このフレーズが何回か繰り返されます。・・・そう言われると私も「知らない」ような気がしてきました。自分でも耳が節穴とは思ってきたけれど、もっと違う意味で耳も目も節穴かも?  

ピート・タウンゼントはダンスが嫌い?

2006-12-11 | TOMMY
 ・・・嫌い、というか、ミュージカル製作に入った当初、ピート・タウンゼントは”TOMMY”という作品は踊る事が出来るのか、あるいは踊らなくてはいけないのかと、確信が持てず、演出のデス・マッカナフが振り付けのことを話し出したとき、非常に気がかりだったそうです。
 「どんな種類のダンスでも、『トミー』という作品を既製のブロードウェイミュージカルに結び付けてしまう、そしてそれは69年にレコードとして発表されたときの、オペラ作品との理屈の上での比較に再び陥ってしまう事ではないか、と感じていた。」それでもデスが譲らなかったので、何度も激昂したそうです。そしてなんと「本当にどんなダンスも必要ないと思っていた」とまで。

 ですが、そこは世界に自分の音楽を響かせたアーティスト、その辺のただの頑固オヤジとは違います。徐々に「ダンスが観客を楽しませたり、色を添えたりするだけではなく、物語の各部分の時間のフレームを築くのを助ける形で存在し得ることを理解」し、上演に際しては、ダンスを取り込んだことに非常に満足していたそうです。
 昨年『ボーイフロムオズ』を観劇した際に触れたことですが、大規模な舞台装置が殆ど使われなかった日本公演でも、アンサンブル/ダンスの役割に、そうした物語のフレームを克明に作り出す力を感じました。それもミュージカルに出演するダンサーのレベルが急激に上がっているからこそ出来ることなのでしょう。二年半ほど立て続けにミュージカルに出演している青山航士さんも勿論その一人ですが、『ムーヴィン・アウト』のラスタ・トーマスや、映画『シカゴ』にアンサンブルで出演しているデズモンド・リチャードソンは本当に素晴らしいダンサーで、身体の言語をフルに使って語りかけてくれます。興味のある方は是非バレエ公演のほうも見ていただきたいわ~(あ、また勧誘癖が)。
 そして、柔軟な精神の持ち主、ピート・タウンゼントは『トミー』の振付家ウェイン・シレントに自分の最初のソロ・コンサートの振付を依頼したそうです。
 今回トミー役を演じる中川晃教さんのファンの方は断然「歌派」だと思いますが、そんな訳でどうぞダンスもお楽しみに!