platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

「The Musical AIDA」DVD 12月10日発売/ゲキXシネ『五右衛門ロック』上映中

2009-03-06 | 表現者 青山航士
青山航士さんご自身によるブログです。blog 青山航士ブルーマウンテンカフェ
◆青山航士さんOfficial Web Site "only one"
◆青山航士さん 公式ファンサイト "only one"


本ブログはjugemに移転しました。2008年2月以降の記事はこちらでご覧くださいplatea/プラテア 新url


◆1990-1997
ジュリアード学院(The Juilliard School, New York)
ボストン・コンセルヴァトリー(The Boston Conservatory, Massachusetts)
アイデルワイルド芸術高校(Idyllwild Arts Academy, California)などでダンスを学ぶ
◆◆1996 埼玉県舞踊協会賞受賞◆◆◆

◆主な出演作品
【STAGE】
スーザンを探して(09)
五右衛門ロック(08)
ルドルフ RUDOLF The Last Kiss(08)
ALL SHOOK UP オール・シュック・アップ(07)
ザ・ミュージカル・ショー SHOW店街組曲(07)
The Who's TOMMY(07) /The Hawker役
ボーイフロムオズ(05/06/08)
テネシー・ワルツ ~江利チエミ物語~(05/06)
ビューティフル・ゲーム(06)
グランドホテル ザ・ミュージカル(06)
WEST SIDE STORY(04/05)/JET団 Tiger役
森羅(01/02)[エディンバラ国際フェスティバル01年参加作品]/主演
【TV】
NHK教育テレビ 『うたっておどろんぱ!』 レギュラー出演(01年度~05年度)
NHK教育テレビ 『うたっておどろんぱ! プラス』 レギュラー出演(06年度)


Mr. Chet Walker

2007-06-07 | 表現者 青山航士
 青山航士さんが参加されたチェット・ウォーカー氏のワークショップ、凄そうですね~。青山さんが「惚れた」とまで言う人ってどんな人?と色々のぞいてみましたが、もう何から書いていいかわからないぐらい、世界中で活躍されていますね。
 でもなんといっても1999年のトニー賞受賞作品"Fosse"をボブ・フォッシーの愛弟子アン・ラインキング、夫人のグウェン・ヴァードンらと共同で発案し、振付の再構成を担当したことは外せません。フォッシーの作品を網羅し、エンターテインメントとはこういうものだ、という気迫が漲るこの作品、DVDが発売されています。フォッシーといえば、のティーカップハンドの写真がジャケットに使われていますね。レンタルでは見かけた事がないのですが、興味のある方は是非!
 "Fosse" ブロードウェイキャスト版 
 さてウォーカー氏、とんでもない忙しさのようなのに、指導も世界規模で行っておられるようです。特別講師としてプロフィールとお写真が紹介されているページがありました。
 Broadway Dance Center
 ワークショップで振付が行われたという"Big Deal"(86)はフォッシー最後のブロードウェイ作品です。翌87年にフォッシーは亡くなりますが、86年にはフォッシー自身が作品の集大成をつくるプランについてウォーカー氏と話し合っていたそうです。20世紀を代表する振付家でありダンス界の革命児であるフォッシーは死期を悟っていたのかもしれませんが、その遺志をついで20世紀の終わりを飾るように上演された"Fosse"は最高の花むけになったことでしょう。世襲制とはほど遠いアメリカのショービジネス界の財産は、才能から才能へと受け継がれていくようです。フォッシーが亡くなって20年後のワークショップでも、21世紀にふさわしい若い才能に受け継がれていますよね。
 

舞台の外で

2007-05-28 | 表現者 青山航士
 『SHOW店街組曲』千秋楽も大成功のようでしたねご覧になった方のレポを読ませていただくと、カメラが入っていたそうなんですが、何かの形で公開されないかと期待してしまいます 青山航士さん出演のミュージカルは映像化されたものがなかったので、『おどろんぱ』終了に泣いた日本全国のファンのためにも公開していただきたいですよね~。
 今回も『TOMMY』に引き続き、ダンスだけでなく歌でも客席を魅了しておられたそうですね。ダンスは結構長く見てきましたが、青山さんほどのレベルのダンサーで歌もあれだけ上手い方を私は劇場で見たことはありませんし、あれだけ踊れる歌い手を探すのは難しいだろうと思います。

 私は歌舞伎も好きなんですが、日本のミュージカルともいえるこの演劇には、役者に様々の芸を要求する役柄がいくつかあります。踊りと演技は当然として、よく上演される『京鹿子娘道成寺』も、「本格」と呼ばれる演出では主人公みずから唄わなくてはいけません。また『壇ノ浦兜軍記 阿古屋』では、阿古屋役は舞台上で三味線・胡弓・琴を独奏しなくてはならず、充分な準備が必要となります。当代では坂東玉三郎丈がこの大役を務めておられますが、こうした稽古に十年という時間をかけたと、ある雑誌で読んだ事があります。しかも、稽古を開始された時点ではこの役をやるかどうかは全くの白紙だったそうです。

 ダンスは若いときに始めないとものにならない、とよく言われますが、片手間に出来るものでもなく、またダンスをマスターしてから歌を勉強すると今度は体が動かなくなる年がすぐ近づいてくる、と嘆く欧米のパフォーマーの発言を何度か目にした事があります。欧米では20代後半をすぎると、踊りが急速に重くなる方が少なくないのです。彼らと比較すると青山さんのダンスはとても若々しく、東洋人ならではの軽やかさが感じられ、これからがますます楽しみになります。今は歌声でも観客をうならせてくれますが、舞台の外でどれほどの鍛錬を積まれているのでしょうか。日本の芸の道が突きつけてくる厳しさを、自分自身に課すことのできるパフォーマーの次の舞台が待たれます。

青山航士さんオフィシャルサイト”only one”オープン

2006-11-22 | 表現者 青山航士
 青山航士さん公式サイト”only one”管理人様より、サイトオープンのお知らせを頂きました。誠に有難うございました。まだ作成中とのことですが、トップページのお写真が『ウエストサイドストーリー』のタイガーなんです~~。もうこれだけでも長時間鑑賞してしまいますし、インデックスのお写真がまたどれも素敵です。
とにかく皆さん、覚悟の上ぜひご覧下さい!!

Koji Aoyama Official Web Site "only one"

 じつはこの文を書くのは2回目です。私の脳波がパソコンを狂わせているのか、書き上げていざ投稿、という段になって、安定しているはずのgooが、なんと全文綺麗さっぱりクリアしてくれたうえ、その後ログインできなくなってしまいました。それでも怒る気にならないくらい嬉しいお知らせですが、ブログ上にアップするのが少し遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。
 あゆあゆさんからも青山さんご自身のブログ「青山航士★☆ブルーマウンテンCafe☆★」オープンのお知らせを頂き(いつも本当に有難う)ましたが、公式サイトのコンテンツとしてリンクされていますので、まだご覧になっていない方は落ち着いて(と自分に言い聞かせる)クリックしてください。今日は全青山ファンにとって記念すべき日になりましたねしかも明日は『ボーイフロムオズ』大阪公演初日。嬉しいニュースの連続で不整脈状態です。

 翌日付記:嬉しすぎて変な文書いていたのを今やっと訂正しました(こんな日に限ってgooの調子が悪い~)。脳内麻薬噴出中ですので、色々とお見苦しいところをお見せしていますがどうぞお許しください。ああ、でも公式サイト、何度見ても素敵ですね~~

あゆあゆさんがブログを開設されました♪

2006-08-16 | 表現者 青山航士
 またこんなに近いうちに・・・と笑われそうですが、いつもこのブログにコメントを寄せていただいているあゆあゆさんがブログ『路上の宝石』を開設されました
 オタク失格の私がまだ見ていない踊り隊プラス版レポ、3人の姿がありありと眼に浮かびます
 皆さんもぜひぜひアクセスしてくださいね!

  路上の宝石
 

アメノウズメの

2006-07-27 | 表現者 青山航士
 ・・・あゆあゆさんのコメントを読んで、私も"Fosse"のDVDを観てみました。時折映し出される客席のリラックスした表情を見ていると、ブロードウェイ版CATSに出演された堀内元さんの「ミュージカルの観客は、何かいいものを見せて、とゆったり構えている」という言葉を思い出します。演じるほうも「楽しませてやるぜえっ!!」というサービス精神の塊のようです。
 これぞエンターテインメントというステージを見ながら、ふと思い出したのが、先月の南座で観た坂東玉三郎丈と鼓童の初共演作『アマテラス』。弟神スサノオの暴挙を嘆いて天の岩戸に篭ってしまった天照大神を引っ張り出すべく踊るアメノウズメ。あまりの盛り上がりに天照大神も思わず岩戸を開けて覗いたところを・・・というおなじみの神話をいわば「和楽器によるミュージカル」として見せてくれました。太古の時代の「ダンサー」アメノウズメ役の小島千絵子さんは、この作品を創りあげたことで、これまで抱えてきた「舞を踊るということがどんな意味を持つのか」という問いが「芸能によって世の中に光をもたらす」「岩屋戸の舞に行き着く気が」したとコメントしておられます。難解さは感じられない、でもブロードウェイのあのリラックスして楽しげな雰囲気とは少し違う、日本独自のパフォーマンスのひとつの形をみせてくれたような気がしました。神話には民族のいろいろな文化のルーツが読み取れると言いますが、日本に純然たるエンターテインメントが今ひとつ根付かない感じがあるのも、「楽しみ」だけでなくそんな「光」を求めるところが観客にも演者にもあるからかもしれません。
 以前からアメノウズメは両性具有者と決め付けて「女性」とは思っていない私は、『森羅』で初めて青山航士さんを見たとき、「心を閉ざしたはずの天照大神が覗かずにはいられない踊り」を踊ったのはこんな舞踊手ではなかったか、と思いました。「楽しみ」とは言い切れない、心の向きを変えてくれるような、「出来事」のような踊りと言うのでしょうか。たとえアメリカでダンスを学んでいても、どこか「岩屋戸の舞」につながっている、そんな感じを受けました。
 その後、青山さんはミュージカルに立て続けに出演されていますが、それがエンターティンメントとして作られた作品であっても、例えば『ビューティフル・ゲーム』の「決勝戦」のようにエネルギーが発光するようなダンスを見せてくれ、「楽しみ」「サービス」とは異質な世界を描いてくれます。だから、もしも青山さんが"Fosse"を踊ったら・・・何かこのBW版にない感覚を盛り込んでくれるのではないでしょうか。
 テレビのように観客の幅の広い世界で、踊りに興味のない人でも目を留めてしまうダンスを披露しているのも、やはりアメノウズメの末裔、ということかもしれません。「ダンスを生で見たことないわ」という方、一度青山さんのダンス、覗いてみてはいかがでしょうか。私も青山さんが出演するまではミュージカルって殆ど見ない人間でした。それなのに覗いてしまうんです、どうしても

残像のむこう

2006-07-20 | 表現者 青山航士
 「ダンスファン倍増計画」にいただいたあゆあゆさんのコメントを読んで、また懺悔ネタです。じつは前のイラストの"She Loves to Hear the Music"のポーズは私が頭の中で勝手に作ったものです~。
 参考にしたのは『劇団演技者。』のOZ特集の、向かって左からのショットで、勿論いつもの1/16スロー映像。青山航士さんの動きは、実際には一度もこういう普通にいう「きめポーズ」にはならず、腕がこの状態の時には右足はもうフロアについています。「でもあんなふうに見えたけど?」という方もおられるかもしれませんが、それはおそらくは残像であって、実際には身体はコンマ何秒かぶん、記憶のなかの姿よりも早く大きく動いているのです。・・・そこで思ったのはいわゆるダンスの、あるいはフォッシーの「ノリ」とか「キレ」とか言われているものは「これ」かもしれない、ということです。
 以前イチロー選手を引っ張り出して動体視力の話をした事がありますが、スローで見ると実際の時間の中では拾い切れなかった情報が確かに「ある」。私も含めて、普通の動体視力でとらえた場合は、青山さんの身体の動き全てが把握できているのではなく、残像をふくめたすわりのいいポーズごとの「コマ送り」状態で情報を処理しているのかな、と思います。
 「キレ」という言葉につられているのかもしれませんが、スローを見ていると「・・・こんなに脚上がってた?」というような、見覚えのない動きが、私には必ずあります。動きの連続がどこかで切れてところどころ抜け落ちているのでしょう。名バッターは調子がいいと「ボールが停まって見える」といいますし、イチロー選手ならすべての動きが見えるかもしれませんね。ただ、コマからコマへと移るときに飛ばされる情報=動きが多いとダイナミックに見えるのもよく経験することで、「見逃したもの」は、スピード感は残していくようなのです。青山さんの動きはスローで見ると膝から下がとんでもない角度まであがっていたり、肩が大きく動いていたりしますが、その視覚で完全につかみきれない「事実」が私たちには「キレ」や「ノリ」として感じられるのかもしれません。
 フォッシー自身はO脚で、完全な外股=アンドゥオールを理想とするバレエでは大変なコンプレックスを抱いていたといわれています。その欠点を強調する形で編み出された彼独自のスタイルは、バレエを見慣れた眼には「うねり」「ひずみ」というか、極端に言えば「異形の」美として映ります。青山さんが「フォッシー調」の振付で見せるコンマ何秒かぶんのいわゆる「ポーズ」からの逸脱は、キレやノリだけでなく、この「ひずみ」の美を最大限に表現している、そんな気がしました。あゆあゆさん、私も青山さんがフォッシー踊りまくるところみたいです~。
 そして同時に『ウエストサイドストーリー』での、正確なポーズを連綿と繰り出したクラシックの技術を思い出したりすると、青山航士というダンサーのダイナミックレンジの広さに改めてねじ伏せられます。再演のニュースも嬉しいけれど、なにか違う作品との出逢いがみたいですねえ。

エル・クンバンチェロ「云々」の中身

2006-05-23 | 表現者 青山航士
 「1秒の間に」にあゆあゆさんからコメントと励ましの言葉を頂き(いつも有難う~)、図に乗った私は『テネシー・ワルツ』再演のこの機に、「エル・クンバンチェロ」の出の回転ジャンプについて「云々」の中身も書いてみることにしました。そうなの、まだあるのよ・・・。懺悔コーナーみたいですみません。
 「ジュッテ・アントルラセ」が『ビューティフル・ゲーム』で出てきたし、動画で見られるサイトもご紹介できたので、これも皆さんのお目汚しに、と思いました。私のつたない文で、というのが申し訳ないけれど、本当に青山さんが観客に見せてくれているものって、「ぎっしり」なんです。回転ジャンプは、「初動を取ってから着地してポーズまで」が1秒におさまる一瞬の技ですが、青山さんのそれは命そのものの輝きのように、目の前でフラッシュがたかれたように、時間と記憶の軸を良い意味で歪めてくれるような感じがします(私の場合ゆがみすぎなんですけど・・・)。では、お付き合いください
 
 ≪・・・そしてさらに、回転中に両脚をのばし着地がアラベスクだと「ドゥーブル・ジュッテ・アントルラセ」と呼ばれているものになります。『ドン・キホーテ』の男性舞踊手のソロで披露される事が増えてきたダイナミックな超難技で、跳躍としてはこれが近かったと思います。シアター・アプルというコンパクトな劇場でこんな大きな跳躍が披露されたのは初めてではないでしょうか。ただ、「エル・クンバンチェロ」は、いかにもクラシックな感じのするアラベスクで降りるような曲ではなく、この公演での着地は膝をまげて降りておられたと記憶(・・・たぶん)しています。
こうして曲想などさまざまの条件にあわせてどこか工夫され、技術を複合されているので、青山さんの技を「あれは〇〇です」と私の知っている範囲で断定するのは難しいのです。
 実際にモダンの作品を見ていると、時々、曲想に関係なくビシッ!と正統派クラシックの技が披露され、その舞踊手に技術があるのはよくわかっても、一気に舞台への視線が冷めてしまうことがあります。その点、青山さんは常に曲とタイトな形で技を織り込むので、「曲から浮いている」のを感じた事がありません。この「エル・クンバンチェロ」の出は、そのとき・その場所の条件下で最高レベルのものを見せてくれる、表現者としての観客への誠実さをも感じた1秒でした。≫

 う~ん、でもご本人が読んだら「違います」とおっしゃるような気もするなあ。青山さんのダンスを初めて見たとき、とにかく「ええ???」というか、厳格に創りあげられたバレエの技術が、まるで生まれたばかりのもののように自由に、命にあふれて見えて衝撃でした。これだけ書いといて言うのもどうかと思うけど、青山さんをクラシックの枠組みで語ることの空しさそれ自体が、なによりも青山さんの「新しさ」「個性」を語っていると思うのですよね~。

 とはいえ青山さんのダンスをバレエ抜きで語ることもまた難しく、その身体の隅々にまで、鍛錬の後が克明に刻み付けられています。バレエって非日常的な動きですし、技の名前も長ったらしいフランス語でなにかととっつきにくい感じがするのですが、青山さんはその形をなめらかに現代に融合させて、スニーカーをはいて軽やかにも、足袋をはいて武術的な美としても、裸足でラテンの熱情の爆発としても踊って見せる事が出来る、本当に稀な存在だと思います。様々の異文化を、追い立てられるようにして取り込んできた東京で、21世紀の東京独自の魅力・美というものが生成されているなら、その中に青山航士という舞踊手がいることは確実です。 

進化する身体が纏うもの

2006-05-12 | 表現者 青山航士
 「今日もテレビでバレエ!」に頂いたあゆあゆさんのコメント、とても面白いので是非皆さんも読んでください。青山さんを見ていると、今まで言葉にならなかったもの、でも心の奥底にあったもの、がパッと出てくる事があります。あゆあゆさん、そんな状態だったのかな? 皆さんもそういうこと、ありませんか。以下はそのレスですが・・・こっちは乱文です、すみません。


 どんなにお金持ちだろうと、ちいさな動物だろうと生まれてくるときには身一つ、長い生命の歴史の中では、何かを「纏う」ことなんて、一瞬のようなわずかな時間しか刻んでいないことになると思います。でも、なかには体の色や形態が変化する動物がいる、というのでBBCが制作した自然の変色・変態(としかいいようが・・・)に関するドキュメンタリーを見たことがあります。
 科学者が何人も出てああだこうだと2時間近く説明していたのですが、彼らが最後に行き着いた結論はなんと、そうした生き残るための「進化」の原動力となるのは、「そうなりたいと強く願うこと」というものでした。さんざん科学的データを引っ張り出した末の、あまりにも非科学的なオチに衝撃をうけましたが、でもこれは、ダンスに置き換えると、すごくよくわかります。
 とても同じ人間とは思えないような技を実現しているダンサーの筋肉・腱・関節・靭帯等々の働きは、たとえばダンサーがタイツ一枚で踊っていても「兵士」に見えたり、「水」に見えたり、はてはもっと抽象的に「音楽」に見えたりもします。私にとってダンサーは、そんな研ぎ澄まされた身体組織を包む「皮膚」が何よりも美しく変幻自在なテクスチャーだということをひしひしと感じさせてくれる存在です。衣装を「余計なもの」と思ってしまうくらいに・・・
 ただ、誰も彼もがダンサーのようにストイックに自分を追い詰めて「こうなりたい」という願いを体現できるわけではないですよね。選ばれた存在であり、努力を重ねる彼らだからこそ、生まれ持った「纏うもの」を幾重にも、まるで布を織り成すように展開する事が出来るのだと思います。そこで人間は、保温や皮膚の保護のためだけでなく、何か他のものを「纏う」ことで、ある程度「なりたい姿」になろうとしたということなのかもしれません。
 歌舞伎が男性だけで、しかも年配の役者が10代の姫の役を演じることも多い演劇だということと、あの工夫の凝らされた荘重な衣装は切っても切れない関係にあると思います。もちろんそこにあるのは「芸の力」を最重要とする姿勢ですが、年老いた男性俳優が若い女性を演じるのは、バレエの生まれた西洋ではまず考えられないそうです。歌舞伎役者が纏う衣装/皮膚がくるんでいるのは、芸を磨いて蓄積された歳月なのかもしれません。
 私が青山さんという表現者から眼が離せないのは、その両極の「纏うもの」を、一つは鍛錬の末に得たものとして、一つはその血の中に横たわるものとして持っている存在だからかもしれません。皮膚が衰える頃、西洋のダンサーを舞台から下ろす「歳月」ですが、『ウエストサイドストーリー』から『ビューティフルゲーム』まで、一連の舞台で目にした、尽きることのない集中力、ダンスという領域を超えるように全てが綿密な「演技」でもあった身体の動きを思い出すと、青山航士という人は歳月と共に、ずっと「こうなりたい」と願うものに進化し続けていくような気がするのです。・・・やっぱり科学者の言うことは正しいようですね。天下のBBC制作だったし。

1秒のあいだに

2006-05-10 | 表現者 青山航士
 少し前、観劇直後の文章で、興奮の余り青山航士さんの決め技を何度か間違えて書いてしまっていることを白状しましたが、今日はその懺悔と言い訳を~。すみません、ひらに
 読んでくださっている方から、ときおり技の名称の問い合わせを頂くのですが、昨日触れたように、青山さんのダンスというのは洗練されたfusionで、クラシックの技をそのまま見せるのではなく、どこかしら現代の時間にあわせてアレンジしているので、私のような普通のバレエファンが書くと、とても長くて読みにくい(いつもより・・・)文になってしまいます。もっと詳しい方ならうまく表現されると思うのですが、力不足で申し訳ないです。
 例えば一口に「回転ジャンプ」といっても、踏み切りや着地の脚の形で違う名前がついているので、書いてみてあまりの長さに消去することがしょっちゅうです。
 再演の決まった『テネシーワルツ』の「エル・クンバンチェロ」の出の回転ジャンプを書いたときは、次のような文を書いていて間違えたのでした~。返す返すもすみません。
 
 「めぐりあいっていいね」で披露されるトゥール・アン・レールは密かに普及期間のような感じで何度か(しつこく)書きましたので皆さんも「あれだな」というのはあると思いますが、私が見た際に披露されたのは高い高いソ・ド・バスク。
 違う点は色々とありますが、まずトゥール・アン・レールがいったん静止して両足踏み切りで垂直に跳ばれるのに対し、ソ・ド・バスクは「助走して片脚をふりあげて」跳ぶように見えると思います。おどろんぱ'03年度の「ダンスダンスダンシング」の回、「チャレンジダンス」青山さんソロ編で言うと最初のものがソ・ド・バスク、最後のがトゥール・アン・レールです。
 ・・・ただ・・・ですね、ソ・ド・バスクは片足先を回転軸の脚の膝につけるのがスタンダードですが、青山さんは細やかにそのときに応じて両脚をのばしたり両方曲げたりしています。脚をのばすと回転はより速く力強くなり、脚を曲げるとそれだけ抵抗があるので柔かく浮揚感が出る、というので使い分けされているのだと思います(たぶん)。私が知らないだけで空中の脚の形でも別の名前があるかもしれませんが・・・。でもってさらに言うと、空中で両脚を伸ばして両足着地だとアッサンブレ・アン・トールナンということになります。暗かったり、前の観客の方の影になったりで実は私、この時の着地は見えませんでした云々。

 ひとつの跳躍を書いても以上のような調子ですので、書いているうちに自分でめげてしまい、「・・・回転ジャンプ、にしとこう」とバーッと消したのが運のつき、なぜかトゥール・アン・レールを残してしまい、そのまま文章を書きアップしてしまいました。頭の中が「青山さんカッコよかったわ~」しかない状態だったのは覚えております。
 でも今落ち着いた状態で考えると、ほんの1秒ほどの間に、様々の美しい形が詰まっているのがダンスの素晴らしさだし、それを観客の方を向いて丁寧に見せてくれるのが青山さんだという気がします。要領を得ない文ですが、「ぎっしり感」だけは伝わるかも、と今日はおそるおそるアップしてみました。
 クラシックバレエの大技は本当に素晴らしいけれど、それはアジアの島国が重ねてきた時間のなかで培われた美意識とは違うものから生まれています。観客と距離があるのは当然かもしれません。それなのに、キリのように鋭い力強い回転をする青山さんの姿を見て、『テネシーワルツ』の客席はどよめきました。わずか1秒ほどの時空に、音楽にぴったりと合い、ダンスに親しんでいない人にも「!」な感情をわきあがらせ、魅せる形を選び出すセンスは本当に稀有のものだと思います。真のプロフェッショナルだけが持つ、あのフラッシュのようにはげしくも鮮やかなダンス、また見たいですね~。

ウエストサイドストーリー再び

2006-05-09 | 表現者 青山航士
 8月に来日公演がある『ウエストサイドストーリー』。青山航士さんが踊った"Ballet Sequence~Somewhere"が余りにも鮮烈で、いまだに次を見ようという気が起きないのは困ったものです。以前ファンサイトに書き込ませてもらった事がありますが、青山さんの通ったザ・ジュリアード・スクール(通常はジュリアード音楽院と訳されています)は映画『ウエストサイドストーリー』のロケ地跡に建設されたリンカーンセンター内にあります。ロックフェラーがあのスラム街一帯を買い取ったといいますが、アメリカのお金持ちはスケールが大きいですよね~。ジュリアード・スクールも、芸術をこよなく愛した富裕な繊維商ジュリアードの遺産で、現在のような世界に名だたる芸術大学になったのだそうです。日本のお金持ちにも是非聞いていただきたい話です。
 
 音楽科はいうまでもありませんが、ダンス科も1951年の開設時の教授として振付家ホセ・リモンやマーサ・グラハムが就任、若き日のピナ・バウシュもドイツから留学している超名門校です。公式Web Siteには、古典バレエの技術と、いま私たちが生きている時代のモダン・ダンスの両方を習得したfusion dancerを育成する、とあります。・・・もっぱらクラシックを学ぶ人が圧倒的に多い日本では少ないタイプになりますが、青山さんそのままですね。『ビューティフルゲーム』の「決勝戦」はfusion dancerでなければ出来ないものを明確に見せてくれました。
 
 久しぶりにジュリアードのサイトをゆっくり読んだところ、プロフェッショナルであるということはどういうことか、技術的なことはもちろん、「リハーサル・スケジュールの詳細を読むことから、パフォーマンスのあとのお辞儀まで」を教え込む方針なのだそうです。確かに青山さんのステージに触れると、高い集中力にどんどん引き込まれますし、それはカーテンコールのお辞儀まで途切れる事がないのです。それはまた『うたっておどろんぱ!』でも同じで、どんな題材でも手を抜いている、と感じた事はありません。
 5月19・20日はダンス科卒業公演とのことですが、卒業をまたずに世界各地のバレエカンパニーにスカウトされる人も少なくなく、また振付家として活躍する卒業生も多数おられるようです。私もいままで気付かなかったのですが、ラー・ルボヴィッチという、『オセロ』をアメリカン・バレエ・シアターで上演した、とてもドラマチックな振付家がこのジュリアードのダンス科出身です。ルボヴィッチの作品『マイ・ファニー・バレンタイン』は、ロバート・アルトマン監督の映画『バレエ・カンパニー』で見る事が出来ます。レンタルにも出てるので興味のある方は是非~。映画としても面白いですよ
 
 (5月19日付記:『マイ・ファニー・・・』は雨の中の野外ステージシーンで男女2人が踊ります。フィギュアスケートを意識して作ったということで、新鮮な感じです。)
 
 ジョージ・チャキリスが黒猫みたいに踊っていた場所で、創造と鍛錬の毎日を過ごした青山さんが今後どうなるのか、本当に楽しみです。青山さんの"Somewhere"は・・・NYの青年の心が、光と空気に戯れる真っ白な鳥のように舞っていましたね、「クール」がまためちゃめちゃにカッコよくて・・・ああ、もう一度みたい。

「時よとまれ、お前は美しい」・・・スローモーションなら尚更に

2006-03-23 | 表現者 青山航士
 3月16日付けの「フジTV『劇団演技者。』で特番!」へ、あゆあゆさんから青山さんが「決勝戦のシーン」でまるでスロー再生しているような動きをしていたというコメントを頂きました。DVDプレイヤーを買った日からスロー再生ばかりしている私には猫にマタタビな話題です。
 
 WBCでも大活躍だったイチロー選手、うろ覚えの話で申し訳ないのですが、スピードを出して通過する自動車のナンバーを読み、2桁ずつ足し算をするのを繰り返していた時期があるのだそうです。動体視力がいいからそんなことで遊べるのか、それともその繰り返しの末に動体視力が向上したのかはわかりません。ただ、この動体視力にはかなりの個人差があるそうです。
 瞬時にすりぬける車のナンバーを次々と読み取り脳で処理する、それが普通の動体視力では困難なように、ダンサーの一瞬の動きを、少なくとも私の眼は完全には捉えていないらしく、スロー再生するとそのダイナミックさ、繊細さにびっくりする事が多いのです。その美しさは決して写真では味わえない、時間の流れの中でしか捉えられないものですし、実際の時間の流れでは一瞬しか保つことの出来ないバランスの妙を堪能できたりもして、つい長々と見入ってしまうのです。

 それを舞台という実際の時間の中で見せる、そのアイディアは他でも見られるかもしれませんが、あゆあゆさんがスロー再生ではないかと眼を疑うような動き、それを可能にしているのはやはり青山さんの強靭な身体と「血」なのだと思います。
 西洋のダンサーが日本舞踊の何に眼を引かれるかというと、そのスローモーションのような、ゆっくりとした澱みのない動きだといいます。重心のすえ方、膝の使い方に大きな違いがあり、西洋的には最高の技術を持っている彼らであっても、あんなにゆっくりと腰をおとしたりあげたりしたら転んでしまう、というのです。
 青山さんも西洋の技術を身につけた方ですが、例えば「三忍者Ⅵ」後半、森川さんとのからみに入る青山さんの右側面からのショット、ものすごく腰を深く落としながら上体を激しく動かす部分があります。とても危ういバランスなのに、足がまるで床に吸い付くように安定していて、日本舞踊に通じる重心の低さ、膝の強さが見て取れます。西洋のダンサーにはない、青山さんのこの特徴は『森羅』を見たとき以来、ずっと注目してきたところなので、それがスロー再生ではなく『ビューティフルゲーム』舞台上で見られるのなら、とても嬉しいです。もう今日はオタクモード全開。
 青山航士が舞台上で、フットボールの激しい動きを、時間と身体を支配するようにスローで見せる、これはもうブロードウェイでもウェストエンドでも見られないユニークな「日本版」になるに違いありません。いい春になりそうです。
 

月刊ミュージカル誌の2005年ベストテンで

2006-02-03 | 表現者 青山航士
 3位に『ボーイ フロム オズ』、10位に『テネシーワルツ』がランクインだそうです。青山さんの出演作が好評なのは嬉しいですよね。また、どちらも現時点では再演の噂がありますので、前回見送られた方、どうぞご検討を♪
 正直な話、青山さんの複雑で重層的な持ち味のダンスの「すべて」を見るというのはとても難しいです(見たいけど)。でも、一曲一曲ほんとうにその世界をありありと描くように魅せてくれるので、どんなに遠くからでも観にいく価値はありますよ~。かっこよかったなあ・・・。


 

フィギュアスケート、日本女子が強いのは

2005-12-16 | 表現者 青山航士
強いですね~、少女時代、試しにやってみたら回転ジャンプができたという天才・伊藤みどりさん以来、個性ある選手が次から次へと出て、毎年楽しみです。なんといってもジャンプのレベルは世界最高、その秘密はどうやら「骨盤のコンパクトさ」にあるそうなのです。身長と比較するとアジア人の骨盤は白人のそれと比べてかなり小さく、薄いので、回転軸がずれにくい、つまり質の高い回転ジャンプができる、という話です。そういえば青山航士さんの回転もとても綺麗です。あの分厚い「おどろんぱ」スニーカーで踊っているときですらああですから・・・。『テネシーワルツ』中、素足で踊った「エル・クンバンチェロ」の軸が見えるような精度の高い回転、全国のファンに一目見せたいくらいです。

 今日トップにたった浅田選手が明日チャレンジするトリプルアクセルは、他のジャンプと違ってトップスピードで前向きに踏み切るのですごく恐い感じがするのだそうです。陸上なのでトリプルとはいきませんが青山さんが『ちいさなうたのおおきなちから』のラストで決めるジャンプ、形はシングルアクセルと同じです。明日のスケートを見る前に、青山さんのビデオでチェックするのも面白いかもしれません~。空中姿勢も決まってて、かっこいいですよ♪