platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

『Tommy』のクリスマス

2006-12-13 | TOMMY
 映画版『トミー』では、幼いトミーが賑やかなクリスマスパーティーに同席するシーンで"Christmas"が歌われますが、ブロードウェイ版はこの曲の背景を教会に変えました。この教会と、続くクリスマスディナーのシーンはアルバム製作時にはなかったアイディアで、ミュージカル用に考案されたそうです。
 トミーが「救われる」ためには、最終的には自分自身のなかに「救い」を見つけなくてはならないのに、母親と父親(映画版では義父)がなんとか「救おうと」連れて行く、医療施設と教会には共通するものがある・・・というのが演出のデス・マカナフとピート・タウンゼントの考えのようです。
 医療では効果が現れず、ウォーカー夫妻は宗教に向かう、そこで牧師とその妻というキャラクターが新たに生まれたといいます。結果、ミュージカルでの"Christmas"は、その祝日のことというより、既存の宗教はどんなやり方でトミーの心を動かそうとするのか、その方法についての曲になったそうです。
 
 舞台写真で見る「教会」はモダンなステンドグラス調の背景で、聖書を手にした聖職衣姿のアンサンブルが並んでいます。デコレーションが施された、華やかな祝祭の雰囲気が漂う12月の街並みを思うとかなり暗く、重々しい感じです。また続くクリスマスディナー・シーンも食卓は豪華なんですが、「パーティー」というはしゃいだ感じは、少なくとも写真からは伺えません。
   
    トミーは今日が何の日か知らない
    イエスが誰なのか何を祈るかも知らない

 "Christmas"では、このフレーズが何回か繰り返されます。・・・そう言われると私も「知らない」ような気がしてきました。自分でも耳が節穴とは思ってきたけれど、もっと違う意味で耳も目も節穴かも?