platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

どうしてピンボール?

2006-12-16 | TOMMY
 イープラスのTheatrixで、いのうえひでのりさん、右近健一さん、中川晃教さんの動画メッセージとインタビューがアップされていました。それによると映画版でエルトン・ジョンが派手に決めていたピンボール・チャンピオン役は、ROLLYさんのようです。派手の質が違う、華やかで魅力的なチャンピオンになりそうですね。また、日曜まで東京公演プレオーダー受付中です。(イープラスのプレオーダーは申し込み=購入ではありませんが、購入決定前に席がわかる公演とわからない公演があります。)

 映画版『TOMMY』の中盤、いつものように鏡を見つめるうちに、トミーはもう一人の自分に誘われるようにしてスクラップの山の中へ入っていきます。そこでピンボールの才能に目覚めるのですが、率直に言って最初は「え? ピンボールってあのピンボール?」と思いました。皆さんどうでしたか?
 95年のRichard Barnesの覚書によると、アルバム製作中、当時とても影響力のあったNik Cohnというロック評論家にラフ・ミックスを試聴してもらったところ、どうも反応が良くなかったようです。製作サイドとしてはどうしても彼の好意的なレビューが欲しい、という局面でした。そこでピート・タウンゼントはCohnがピンボールの大ファンだということを知った上で、トミーが何かサッカーみたいなスポーツか、「ピンボールかなにか」をプレイすることを決めたのだそうです。それを聞いて「大傑作になるだろう」とCohnは即答したとか。話が出来すぎのような気もしますが、ピンボールファンって阪神ファンみたいなものなのかしら。
 このピート・タウンゼントの頭脳プレイが功を奏したのか、作品の完成に先立って"Pinball Wizard"(「ピンボールの魔術師」)はシングルカットされ、全英4位、全米19位までヒットチャートを駆け上がり、エルトン・ジョン・バージョンは全英7位、と成功を収めました。
 ピート・タウンゼントの言葉をかりると「ティーンエイジャーが好きなもので、どこか安っぽく、学校の教師が否定しそうな」ピンボール、あのハデハデの電飾、ガチャガチャとした無秩序な音の響き、無機質な「モノ」の塊が、一歩間違うと抹香くさくなるテーマに若々しい命を与えたような気がします。・・・やっぱりその評論家は偉かった?