platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

『SHOW店街組曲』が・・・

2007-11-30 | ザミュージカルショー「SHOW店街組曲」
 なんと! 『SHOW店街組曲2』として2008年4月帰って来るそうです。エフ・スピリットさま公式サイトのトップページからリンクされている、真琴つばささんオフィシャルファンクラブ「ポジションM」のサイトの"information"をご覧下さい。「緊急告知」としてアップされています。
 愛すべき「秀兄」・中山秀征さんもご出演、ストーリーは新しいものになるようですね・・・で、なんでこんなに小さい字で書いているかというと、青山航士さんのご出演については、現時点ではなにも記載されていないんです~。期待して読んだのに!という方、ごめんなさい。ですので皆さんどうぞ公式発表をお待ちください。
 ところで公式サイトの真琴さんのプロフィール写真、黒がよく似合って綺麗ですよね~。『1』でも黒のコート姿が素敵でしたが、黒のドレスなんかもお綺麗でしょうね『1』の可愛いマコトさんもいいけど、こんなカッコイイ女主人もありなんじゃないでしょうか。・・・ううむ『2』、気になります。

All Shook Up/If I Can Dream....「私には夢がある」

2007-11-28 | ALL SHOOK UP
 各界大物にファンの多いエルヴィス。日本では、やはり誕生日(1月8日)まで同じ小泉純一郎氏は外せないでしょうか。その小泉氏ご自身のセレクトによる"My Favorite Elvis Songs"(03)なんていうCDまであるのですが、いわゆるメガヒットとは少し違う選曲なので、あまり『All Shook Up』のナンバーと重なっていません。その中で「あ、やっぱりこれは入ってる」と思ったのが"If I Can Dream"です。
 プレスリーのバラードはラブソングが多いのですが、"If I Can Dream"の歌詞は個人的な関係を歌ったものとはちょっと違っていますよね。68年の特別テレビ番組「カムバック・スペシャル」のラストを飾ったこの曲は、以前にも触れた、黒人差別撤廃運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング牧師の演説「私には夢がある"I Have a Dream"」(63)を意識したものなのだそうです。
 60年代、立て続けに映画に出演していたエルヴィス。68年、『バギー万才』の撮影中、キング牧師の葬儀の中継を見て泣き崩れた彼は、その後「カムバック・スペシャル」で7年ぶりに純粋なシンガーとしての活動に戻りました。ウケを狙ったつくりの映画と訣別し、マネージャーのトム・パーカー大佐から精神的に離れ、もう自分が信じることのできない歌は歌わない、と語ったそうです。
 キング牧師の歴史に残る名演説をたどるかのように、ありったけの心を込めて歌うエルヴィスの姿には、時代を超えて語りかけてくるエネルギーと、穢れなさを感じます。『All Shook Up』サントラ盤でも、チャド、町長の息子ディーンと黒人の女の子ロレインが歌うこの曲は美しい仕上がりで、劇場で聞くのが楽しみですが、さてデビッド・スワン演出はどうなるのでしょうか。曲の成り立ちを思うと、アメリカ大陸を覆うような大きな愛を感じさせて欲しいな~~。この曲、私にとってもMy Favoriteです。皆さんのお気に入りはどれでしょうか。

韓国版『All Shook Up』動画

2007-11-25 | ALL SHOOK UP
 う・・・う゛~~ん、この間偶然に見つけた韓国版『All Shook Up』の動画なんですが、ハングルがサッパリ分らない私、どういう映像なのか分らないんです。画像が良く、ちゃんと編集されていて、違法に撮影したものとは思えないのですが、PR用なんでしょうか・・・? 一人で悶々としていても埒が明かないので、ハングルがわかる方に伺うつもりでアップすることにしました。「違法」の場合、どうぞ教えてくださいませ~ なにはともあれ韓国版、歌がパワフルでいい感じですね

TagStory/韓国版『All Shook Up』動画

She Bangs

2007-11-22 | ROCKIN' Broadway
 昨日、総閲覧数が25万pvを超えました。拙文を読んでくださる皆さん、本当に有難うございます。 

 自己満足で恥ずかしながら記念に和央ようかさんのコンサートを収録したDVD『NEW YOKA 2007 ROCKIN' Broadway』から青山航士さん@海賊を描いてみました。
 海賊といえばバレエ界ではファルフ・ルジマートフ、映画界ではジョニー・デップと、あまりのカッコよさに「賊」だなんてことも忘れるほど素敵な男性を思い出す訳ですが、この夏は日本にもこぉぉんなにカッコイイ海賊がいたんです~。(私の絵なんで再現には限界がありますが、そこはご容赦のほど)左足を軸にして後ろに振り出した右足を、一気に前に出しながら床に体を倒したところです。衣装つけて出てくるだけでもカッコいいのに、ダンスがまた力強くて素晴らしい! そして以前ちらっと書いた、ネイティブ・アメリカンの民族舞踊を思い出すような衣装デザインだったのも個人的にビンゴでした。かつては男性のものであった「ダンス」の原初的なパワーを感じます。
 このDVDまだ見てないのよね~、という方は是非! 宝塚アン、キャトルレーヴの各店・オンラインショップで販売されています。この曲は和央さんと下道純一さん、青山さんのトリオなので、青山さんのアップも一杯ですよ~
 

All Shook Up/Don't Be Cruel

2007-11-20 | ALL SHOOK UP
 "Elvis the Pelvis"(骨盤のエルヴィス)、腰を振って歌うのでこんなあだ名があったプレスリー。『All Shook Up』でチャドとナタリーのお父さんジムが歌う"Don't Be Cruel"に、「骨盤動かして~!」というチャドのアドバイスが入っていますね。ここは尾藤さんの筋金入りのプレスリー・アクションが見られそうで楽しみです。
 2001年には、その「"Don't Be Cruel"の歌詞をプレスリー自身が書いた一枚の紙」が、250万ドルでオークションに出品されたそうです。兵役中はドイツに駐留していたエルヴィス、特別扱いは拒否して普通の兵士と同じように勤務していたらしいのですが、面会に来る家族と友人のための家をドイツに借りていたというのですからやっぱり大物スターですね~。ただアメリカでの「失神するファン達」の話はすでにドイツでも知られていて、彼女たちが騒動を起こすのではないかと、家を見つけるのはとても難しかったそうです。その足元を見て、かなりの高値で家を提供していた家主さん、読みが鋭いというか商売上手の人だったらしく、プレスリーが帰国すると、置いて行った衣類などをすべて売却したのだとか。01年に出品されたのは、その際ファンが買い取って大切に保存していたものらしいのですが、そんな紙切れまで保存されるなんて、ご本人はどんな感じがするのでしょうか~
 残された映像を少し見ただけですが、大物スターになってからもプレスリーの笑顔は"Don't Be Cruel"発表当時の21才の青年のようで、ファンとの距離を感じさせない人懐っこさがありますね。そんなエルヴィスに"I don't want no other love/ Baby, it's just you I'm thinking of."なんて歌われたら、見境が付かなくなって失神するファンがいても仕方ないかもしれません。さて、250万ドルで売れたのでしょうか? まだ後日譚は見つかりませんが、今月末にもこんどはプレスリーのサインした"Jailhouse Rock"に関する契約書がオークションに出品されるそうです。こちらは25万ドルから。すごいですねえ~~。

All Shook Up/ リロ&スティッチもプレスリーに夢中

2007-11-18 | ALL SHOOK UP
 『All Shook Up』サントラを聞いていると、「どこかで聞いた曲」が多いのですが、"Devil in Disguise(ASUでは「天使に化けた悪魔」てとこでしょうか)"はその逆というか、聞いたことがあるのにあまりにアレンジが違うので初めて聞くような気がするんじゃないでしょうか。
 この曲はディズニーの映画「リロ&スティッチ」のサントラに収録されている、プレスリーのオリジナル曲5曲のうちの1つ。優しいエルヴィスの声がハワイの青い海の波間を漂うように流れて、当時のファンは目をハートにして聞いたんでしょうね~この映画にはプレスリー没後25周年ということで取上げられたそうですが、こうなるとアメリカはおじいちゃん、おばあちゃんから孫世代までプレスリーの曲を聴いている、という感じですね。
 オリジナルのほうは♪君は天使のよう♪と、恋人にメロメロになっている歌詞ですが、ミュージカルでは突然町に現れたチャドをさして、マティルダ・ハイド町長(Alix Korey)が「彼は天使のように見えるけど」と始める曲です。女性がプレスリーをソロで歌うと、どうも線の細さがしっくりこない気がするのですが、この曲のAlix Koreyには、エルヴィス・ファンの方も満足なんじゃないでしょうか。女性町長の貫禄もたっぷりで、歌で演技しているというか、舞台上のドラマがありありと感じられ、ミュージカルの曲はこうでないと♪と思います。改めてベテランの舞台での役割の大きさを感じた一曲、日本版も期待がかかります

All Shook Up/ジャグラーからロックンローラーへ

2007-11-15 | ALL SHOOK UP
 何気なく手に取った週刊文春11月15日号をパラパラめくっていたら『オール・シュック・アップ』の文字が目に飛び込んできました~。ひごろ青山さんのダンスを凝視してるから動体視力がアップしたのかしら、これで「プレミアの巣窟」見られなかったことも忘れられそう、と一人ほくそ笑んで読んでみると、プレスリー・フリークの尾藤イサオさんのコメントをまとめたもので、これがもう劇中の登場人物みたいな内容です。
 まだこの号は販売中なので、かいつまんで書きますと、尾藤さんは1960年、ジャグラーとして一年間アメリカに滞在しておられるので、55年設定のこの舞台は追体験といってもいい経歴の持ち主。アメリカ滞在中には、プレスリーの曲を連続でかけてジュークボックスを占領したりしたそうです。
 53年から曲芸師・鏡味小鉄さんの内弟子として修行に励んでおられた尾藤さんは、16才で独立が認められたというのに、それを捨ててプレスリーのような歌手になりたくて歌の道に進み、帰国後の61年に歌手デビューしたといいますから、本当にプレスリーに人生を変えられた当時の青年のひとりなんですね。こんな方をヒロインのお父さん役にキャスティングするなんて、フジのミュージカルって面白い~。
 それに「プレスリー風の動きだけは誰にも負けない自信があるよ」との頼もしいお言葉も・・・。ヒロインのお父さん役が誰よりもプレスリーな動きがうまい、ってそれだけでコメディとして成功してますよね。ぜひ坂本昌行さんとしのぎを削ってガンガン踊っていただきたいと思いますでは、お後は週刊文春(133ページ)を見てのお楽しみということで~~

All Shook Up/1955年、アメリカで

2007-11-14 | ALL SHOOK UP
 『All Shook Up』の舞台となる1955年のアメリカ・・・なんだかイメージ湧かないなあ、と思う方もおられるかもしれません(私もでした)が、青山航士ファンにとって忘れられない作品『ウエストサイドストーリー』は、55年に起きた10代のギャング同士の暴力事件をきっかけに制作され、57年初演されました。
 そして55年、24才の若さでこの世を去りながら、今なお熱狂的ファンのいるジェームス・ディーンを忘れるわけにはいきません。プレスリーが彼の大ファンで、映画出演を快諾したのも彼への憧れからだったそうです。
 ジェームス・ディーンが自動車事故で亡くなったのは55年9月30日ですから、ちょうど入れかわるようにプレスリーが大手RCAと契約して、世に出たことになります。チャドがYou-never-heard-of-it町を訪れたのは55年夏の設定なので、青年達はジェームス・ディーンに夢中だったかもしれません。
 WSSのJets&Sharksも含めて、彼ら30年代生まれの青年達は、大恐慌を知る親世代とは価値観がかなり違ううえ、50年代のアメリカの経済状態がよかったために、比較的早く家を出て独立していった世代といわれています。が、当時のアメリカは教会の力が強い一方で、人種差別が法的にも認められている等、かなり矛盾し、旧態依然とした社会だったようですね。また、景気がいいとは言っても、現在のように高等教育が一般的ではなかったため、職業選択には限りがあり、日本のバブル期の繁栄とは違うようです。みなぎる若さや純粋さをどこにぶつけていいのかわからず、大人への「反抗」や、悪くすると「暴力」としてしか表現できない青年達にとって、J.ディーンやエルヴィスは、自分たちを代弁してくれる存在だったといえそうです。
 うう~む、『ウエストサイドストーリー』も『エデンの東』もプレスリーも生み出した当時のアメリカ、感じてみたいですね~~。50年代半ばのそんな空間にタイムスリップできそうな『All Shook Up』、楽しみです

All Shook Up/プレスリーをシルク・ドゥ・ソレイユで

2007-11-12 | ALL SHOOK UP
 ノリのいい曲が並ぶ『All Shook Up』のなかで、劇中歌というだけでなくアンコールナンバーとしてもサントラCDに収録されている"C'mon Everybody"は、映画『TOMMY』の母親役アン・マーグレットとプレスリーの共演作『ラスベガス万才』(64)の挿入歌です。
 エルヴィスといえばラスベガス、というくらい彼にとって縁の深い場所ですが、そのラスベガスの今を彩っている、あのシルク・ドゥ・ソレイユによるエルヴィス・プレスリーをテーマにしたショーの準備が進んでいるそうです。プレビュー的なものかもしれませんが、"Elvis Experiences"のヨーロッパ/アジアツアーが08年に予定されているので、日本にも来るかも?ですね。MGMミラージュ社と6人の著名建築家による巨大エンターテインメント施設”CityCenter”の2009年の開場にあわせた企画で、「エルヴィスのラスベガスへの帰還」として、世界中のファンが集まるようなものにしたいとか。
 60階建て4000室のカジノホテル、400室のカジノなしのホテルが2棟、50万平米フィートのショッピング、レストラン、アミューズメント施設が併設され、近くには2800の豪華コンドミニアム・・・というのですからラスベガスってやっぱりスケールが違いますね。プレスリーの肖像権・著作権その他全てを管理しているCKX社のサイトにはエルヴィスは「ラスベガスのエンターテインメント史のアイコン」であるとあります。
 ・・・でも『All Shook Up』の世界に少しでも触れていると、そんなきらびやかな街でキングと呼ばれていたプレスリーよりも、トラックの運転手をしながら自費で歌を吹き込んだ、若き日のエルヴィスの分身のようなチャドのほうにやっぱり魅力を感じてしまいますね。『All Shook Up』の舞台写真を見ていると、アメリカ中部の小さな町から、ひとりの青年がこれからたどっていく遥かな道が垣間見えるような気がします。大スターになっても気取らず、共演者で彼を悪く言うものはいなかったという好人物・エルヴィスの目に、欲望のうずまく不夜城ラスベガスはどんな風に見えていたのでしょうか。

バラ色の日々

2007-11-09 | ROCKIN' Broadway
 和央ようかさんのコンサートDVD『NEW YOKA 2007 ROCKIN’ Broadway』、演出のすごさも、ファンの方の熱気もまさに記録物ですね~~。和央さんを拝見していると、今ナントカ座とかでやっているような一ヶ月通しの公演が、今までにないお洒落で都会的な形で可能なんじゃないかと思えます。そして、ファンの方のご意見とは違うかもしれないけれど、「All That Jazz」を見ていると、こういうキリッとした女性がセクシーな役なんかなさると最高だろうという気がします。
 ・・・で、青山航士さんなんですけど、このDVDを見てまた改めてファンになりました。私なんかのイラストでお目汚しですが、「バラ色の日々」で、横たわった姿勢の和央さんを4人の男性ダンサーがリフトした後の跳躍です。
 これだけ上体をひねって右足を上げ、しかも跳躍自体の高さもあるなんて、いまさらですが驚異的な身体能力です。最初見たときは自分の目がおかしくなったかと一瞬思いましたが、スローで見て二度ビックリでした。青山さんの動きは普通の動体視力では捉えきれないほど速く、それが観衆の目には動きの「キレ」として感じられている云々、以前にも書きましたし、よく分っているつもりでしたが、何年ファンやっていてもまだ驚かされます。生のステージを私は見られなかったけれど、映像でじっくり見てこんなに面白い人ってなかなかいません。皆さんもどうぞスロー再生でこの動きのダイナミックさを味わってみてください デジタル画像の鮮明さが良く映える、DVD時代のダンサーですよね~~。

All Shook Up/プレミアの巣窟

2007-11-07 | ALL SHOOK UP
 皆さんもうご存知かもしれませんが、6日26:18~26:43(実際の日付は7日午前2:18~2:43)、フジテレビ『プレミアの巣窟』で尾藤イサオさんと尾藤桃子さんが出演され、『ALL SHOOK UP』の稽古場風景も流れるようです。ヒロイン・ナタリー(花影アリスさん)のお父さん役・尾藤イサオさんは、公式サイトを覗かせていただいたところ、大のプレスリーファンで、12、3才の時に「ハートブレイクホテル」を聞きノックアウトされた(『あしたのジョー』の主題歌を歌っておられるのでやっぱりこの表現)そうです。そしてそれまで打ち込んできた曲芸師としての修行をやめ、音楽の道にはいったとか。
 今活躍している方でプレスリーに人生を変えられた方ってとても多いようなんですが、それにしてもずいぶん早くから違いの分る男だったんですね~。1963年にはなんとウエスタンカーニバルで「プレスリー賞」を受賞されています。また、桃子さんは実の娘さんということですから、面白いお話が聞けるんじゃないでしょうか。あとひと月で開幕の実感が湧きます~関東地方の方、是非ご覧になってくださいね。

All Shook Up/That's All Right(Mama)

2007-11-04 | ALL SHOOK UP
 "Good Rockin' Tonight"(01)というロック界のオールスター歌合戦(?)みたいなCDがあるんですが、これには54年7月、プレスリーが人生最初のシングルを自費製作したレーベル、”「サン・レコード」の伝説"というサブタイトルが付いています。顔ぶれが凄くてエルトン・ジョン、E.クラプトン、J.ペイジ&R.プラント、ボブ・ディラン、J.ベック・・・と70年代ロックファンなら卒倒しかねない豪華メンバーです。
 なかでもポール・マッカートニーはそのプレスリーの初シングル"That's All Right"を、製作当時と同じテネシー州メンフィスのサン・スタジオで、その時バックを務めたミュージシャンを呼んで録音する気合の入れよう。ロックン・ロール誕生の瞬間を祝う祭典みたいなCDですね。
 20世紀のアメリカを振り返ると、プレスリーが世に出た50年代というのは経済的には一番安定していたそうです。サン・レコードは1950年設立ですから、その安定した空気の中でアメリカ独自の「文化」を生み出したといえそうです。ラジオで最初に流されたときには、多くの人が黒人歌手だと思ったというプレスリーの歌声は、アメリカ中部~南部の音楽が集まる、ミシシッピ河の港町・メンフィスの話題の的になり、白人音楽と黒人音楽の融合の一つの道標となりました。
 50年代後半には、黒人差別が違法であるという判決が下され、アメリカ社会は差別の撤廃へと徐々に動き出すことになりますが、地方都市メンフィスのスタジオでは、社会に先駆けて人種の垣根を越える白人青年がいたということになります。優等生の顔はしていないけれど、やはり天使的なものを感じてしまいますね。社会が下らない偏見に歪んでいても、芸術というのは、まっすぐに進もうとする力があるのかもしれません。
 さて『All Shook Up』では女性ボーカルのブラックなノリがそんな曲の成り立ちを感じさせてくれますが、ダンスも気になりますわ~~。久しぶりに「人間リズムマシーン・青山航士」が見られるかな~

All Shook Up/One Night With You

2007-11-02 | ALL SHOOK UP
 「えっこれもプレスリーが歌ってたの?」という『All Shook Up』ナンバーその2です。
 プレスリーが2年間の兵役後ふきこんだ"One Night With You"(発表当時は"It's Now or Never")、これはあの『オー・ソーレ・ミオ』のカバーで、かなり意外な感じがしたのですが、皆さんどうでしたか。プレスリーのイタリア・カンツォーネ物には、『帰れソレントへ』をアレンジした"Surrender"もありますが、どちらも68年のライブ映像が残っていて、声といい容姿といい、とにかく艶っぽいです。これぞ「色男」という感じで、さすがのイタリア男性も顔色なしでありましょう。
 勤勉実直なプレスリーは、人気絶頂のときにも徴兵に応じ、その2年の間にも余暇を利用して声楽のレッスンを受けていたのだそうです。その結果、声域にも表現にも幅ができて、レパートリーが拡がり、こうした曲にトライするようになったといいますから、やはりプレスリーという人は自分の行く末を見据えている人だったんだな、と思います。ロックン・ロールの王者というだけでなく、文字通りアメリカの国民的歌手になったのは、人には真似の出来ない自分への厳しさがあったようです。
 あれだけ踊れるのに、そこに安住しないで歌のレッスンを積まれている青山さんにも頭が下がりますが、荒野が果てしなく続いていたアメリカの大地に、短い間に大国が築かれていったのも、自分にはないものを手に入れるために、自分を律して駆り立てる人たちがいたからなんでしょうね。プレスリーはアメリカを象徴している、とよく言われますが、知れば知るほどその通りだと思います。そして、かつて「アメリカのティーンエイジャー」だった青山さんが、このいかにもアメリカ的な舞台で躍動する姿、楽しみです