platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

”Tommy”ブロードウェイ版オリジナルキャスト

2007-02-27 | TOMMY
 配役がよくわからないのも日本版『TOMMY』の面白さの一つかも知れませんが、今さらながらBW版オリジナルキャストの一覧を見直してみます。

Micael Arnold..........................................Local Lad/Ensemble
Anthony Barrile.................................Cousin Kevin
Bill Buell...........................................Minister/Mr.Simpson/Ensemble
Maria Calabrese.................................Kevin's Mother/Ensemble
Micael Cerveris.................................Tommy
Tracy Nicole Chapman............................Ensemble
Paul Dobie......................................Local Lad/Ensemble
Jonathan Dokuchitz..............................Captain Walker
Tom Flynn.......................................Judge/Kevin's Father/News Vendor/D.J./Ensemble
Cheryl Freeman..................................The Gypsy
Jody Gelb.......................................Minister's Wife/Ensemble
Christian Hoff..................................2nd Pinball Lad/Local Lad/Ensemble/Fight Captain
Paul Kandel.....................................Uncle Ernie
Donnie Kehr.....................................1st Pinball Lad/Allied Soldier/Local Lad/Ensemble
Pam Klinger.....................................Mrs. Simpson/Ensemble
Lisa Leguillou..................................Nurse/Ensemble
Norm Lewis......................................Specialist/Ensemble
Crysta Macalush.................................Tommy, Age 4 Alternate
Michael McElroy..................................Officer #1/Hawker/Local Lad/Ensemble
Marcia Mitzman..................................Mrs. Walker
Lee Morgan......................................Lover/Harmonica Player/Ensemble
Alice Ripley....................................Specialist's Assistant/Ensemble
Sherie Scott....................................Sally Simpson/Ensemble
Buddy Smith.....................................Tommy, Age 10
Carly Jane Steinborn............................Tommy, Age 4 Alternate
Timothy Warman..................................Officer #2/Local Lad/Ensemble
Victoria Lecta Cave.............................Swing
Romain Frugé....................................Swing
Todd Hunter.....................................Swing
Tracy Lengran...................................Swing
Ari Vernon......................................Tommy, Age 10 Understudy

 BW版のために新しく設定された役としては、ケヴィンの両親、「クリスマス」でのMinister(牧師)とその妻、そしてHarmonica Playerがありますね。<ハーモニカ吹き>は、Lee Morganがオーディションで自己アピールとして演奏したのを聴いて、演出のデス・マカナフが作った役なのだそうです。「アシッド・クイーン」の前の場面で、The Hawkerとともに登場します。日本版にもいのうえひでのりさんのアイディアで作られた役なんてあるのでしょうか。

 今日は青山さんのお誕生日、おめでとうございます。今日が初通し稽古なのだそうですが、昨年の今頃は『ビューティフル・ゲーム』のリハーサル中だったでしょうか。再演の二作品をはさんだ一年ぶりの新作で、青山さんの話しておられた「新しい自分」が、本当に楽しみです。

 付記: 昨日、総閲覧数が16万pvを超えました。二年前書き始めたときにはこんなにたくさんの方に読んでいただけるとは思っていませんでした。本当にありがとうございます。

ピート・タウンゼント@カジノ・シティー

2007-02-24 | TOMMY
 御大ピート・タウンゼントが日記再開です。
1月にRenoというカジノの街に行きましたが、その際(1月4日付けの記事です)にアップした画像のポスターで告知されているコンサートのため、彼は現在Renoに滞在しています。砂漠に突然現れるこの街全体がカジノで、ライトアップされた姿はピンボール・マシーンさながらです。日本ならパチンコ台っぽくなるところですが、そこはアメリカ、ポップなセンスのネオンは見ているだけで楽しくなる賑やかさでした。
 ホテルも食事も超リーズナブルな一方で、早い話が「私が負けたり向こうが勝ったり」のカジノ、「こんな事ではいけない、ピンボールで悟りを開こう」と隣の子供向けゲームセンターに行ったのですが、なんとピンボール・マシーンは1台もありません。ギャンブルの街なので子供向けとはいえ一発勝負物ばかり、しかもちゃんと景品を賭けるんですから驚きです。結局悟りを開くどころか1ゲームもできませんでしたが、"Tommy"の作曲者と映画版+ライブ版トミーを迎えた今日は、あの街もピンボールを思い出したでしょうか。
 で、そんな街でもいっぱい見かけたのがUFOキャッチャーです。往年のモンティパイソンなら、UFOキャッチャーで自分を発見するトミーのパロディなんか作るところかもしれません。ブログを拝見すると、ROLLYさんの差し入れバーガー・キャッチャーのアームは青山さんということですが、ひょ、ひょっとしてメカニックなマイムをされたのでしょうか? 青山さんの人形振りファンとしては気になりますね~。

 さて、私事が多く恐縮ですが、3月末に所用のため一時帰国することになりました。『TOMMY』に間に合いそうです。・・・そんな訳で「その日」を迎えるまでなにがなんでも予定通りに進めたいので、私的な雑事処理を優先させていきたいと思います。とにかく器が小さいもので、コメント欄へのレスが遅れるかと思いますが、どうかご容赦くださいませ。それでも読んでやるよ、とお付き合いくださる方、どうぞ宜しくお願いします。

『TOMMY』の舞台裏

2007-02-22 | TOMMY
 青山航士さん、昨日のオフも体調管理とボイストレーニングに費やされたとのこと。大変だな、と思うと同時に、舞台がそんな毎日の積み上げだと知ると、見る側にも気合が入りますよね。

 さて、映画版"Tommy"母親役のアン・マーグレットは、艶やかな容姿を今も保って、2006年にもラス・ベガスをはじめとしてツアーを行っています。映画"Viva Las Vegas"では共演のエルビス・プレスリーが彼女に夢中になったといわれていますが、"Tommy"の撮影現場でも彼女は大人気で、特にキース・ムーンは自分のダイヤの指輪までプレゼントしたそうです。女性の目から見ても本当に素敵ですもんねえ。
 でも彼女の魅力は容姿だけでなく、そのプロ精神にもあったようです。"Tommy"出演のオファーが来るまではThe Whoの曲を聴いたこともなかったそうですが、クランクインには自分が歌うことになる11曲を完全にマスターした状態で臨みました。完璧を期すためにアメリカの自宅からポケットマネーでロンドンに行くこともあったそうです。顔合わせの時には、作品に関する質問をまとめた分厚いノートを持って、ピート・タウンゼントと納得のいくまで話したとも。
 またシャンパンのボトルをテレビに投げつけるシーンでは、27針も縫う怪我をするというアクシデントにあったのですが、翌日には現場に戻り、怪我したほうの手をテーブルの下に隠して撮影を続けたといいます。
 容姿も実力も「女のど根性」も兼ね備え、どんな人でも思わず見とれてしまうような華のある女優さんですが、私生活では、ご主人の俳優ロジャー・スミスが難病の重症筋無力症を患い、その看病のために活動を2年ほど停止していたこともあるそうです。そんな人間性が覗くところも長い人気の一因でしょうか。

 2時間、あるいは3時間といった作品に、出演者、スタッフのどれだけの時間や労力が向けられているのか、さらには一人一人の作品への想いもこめられていて・・・と思うと、舞台という場所の放つエネルギーが目に見えるような気がしてきます。今回はROCK☆OPERAだから、バリバリと静電気の稲妻が走るような舞台になるといいですね。みんなで帯電して髪の毛逆立てて観るのって楽しいかもしれません

トミーの2人のおじさん達

2007-02-19 | TOMMY
 前の記事のR.ダルトリーと対称をなすように、映画版『トミー』撮影中、6時間遅刻というような大名出勤を重ねていたらしい「アーニーおじさん」役のキース・ムーン。予想をはるかに上回る自由奔放ぶりに、ケン・ラッセル監督は彼の出番をどんどん減らすしかありませんでした。で、その減らしたぶんは、「フランクおじさん」のオリバー・リードに託したそうです。トミーがトラウマを負う、あの殺人も、当初はアーニーが犯すことになっていたというから驚きです。ストーリーもかなり違ってくる大きな場面をまかせたことからも推察できますが、もともとオリバー・リードの起用は監督のたっての望みだったそうです。
 「ロック・オペラ」にふさわしく、アン・マーグレットも「女優」の肩書きには納まりきらない見事な歌唱を聞かせるこの作品で、カラオケな歌いっぷりのO.リードですが、あれはヘタうまでなく、とにかく歌は苦手なのだそうです。また口パクもからきしだめ、というので、The Whoサイドはかなり渋っていたといいます。・・・が、K.ムーンとは意気投合し、キースは自分の役をこれ以上減らさないように監督に言ってくれ、とO.リードに頼んだとか。「オレがいなきゃ~キースの出番はもっと減ってたんだぜ」てなこともフランクおじさんは語っています
 さて日本版『トミー』も、なんだかキャスティングがよくわからないところが面白いですよね。しかし、ピンボール・チャンプ役と最初お聞きしたROLLYさんのケヴィンはさまになりますね~。「ピンボールの魔術師」はBW版ではLads(若者たち)とケヴィンのかけあいです・・・ということは??? どこが誰の出番になるのか、いろいろ予想して楽しめそう 

Sensation!!!

2007-02-17 | TOMMY
 青山航士さんのブログで「センセイションで、あるかもしれない」豪快な跳躍の写真を見たので、今日はこの話題です。
 映画版トミーのロジャー・ダルトリー、俳優としての訓練は受けた事がないのですが、かなりの部分をスタントなしでこなしました。ケン・ラッセル監督が提案するものに金髪のトミーが"No"を出したのは、唯一「高い塔から飛び降りる」というもの。これはスタッフ側が「安全は保障しないけど」と言ってから意思を聞いたというんですから笑ってしまいます。 
 そんな訳で、あの消火用ホースのシーンも、鏡に後ろ向きで飛び込むシーンも、燃えるピンボール台の間を走り抜けるシーンも彼自身だそうです。(ただ、この時スタッフはアスベストの防火スーツを着ていたらしく、Tシャツ一枚のR.ダルトリーのほうが安全だったということになるかも・・・)
 彼は撮影中ずっと意欲満々で、トレーラーに篭ることなくスタッフの作業にも頻繁に立会い、こうしたハードなシーンにも大スターなのに文句も言わずに挑んだそうです。
 ですがそこは人間なので苦痛の思い出も・・・そのひとつは、"Sensation"でハンググライダーに乗って大空を行くシーンです。それ自体大変危険なものなのですが、100m上空まであがり、撮影は快調に進み、さあ着陸と思ったら、そこは一面アザミの生い茂る原っぱ。素足でもR.ダルトリーはそこに突っ込むしかなく、足裏いっぱいに無数のトゲが刺さり、奥さんが一つ一つ抜いたそうです。その間「とても活字化できない」言葉を吐続けたとか。もう一つは「滝つぼ」シーンで、とんでもない冷たさだったそうです。撮影後震えが止まるまでに実に3時間を要したというのですから凄まじいですよね。それでも撮影は続行したというのですから、以前紹介したピート・タウンゼントの言葉どおり、彼にはステルス・ボンバーみたいなパワーを感じます。
 この『TOMMY』、映画版にしろ、BW版にしろ、原曲にしろ、話題が一杯です。劇場でハンググライダー、とは行かないと思いますが、センセイショナルな跳躍で観客も心をブッ飛ばすシーンになるかもです 

『テネシー・ワルツ』再々演ですが・・・

2007-02-16 | テネシーワルツ ~江利チエミ物語~
 神崎順さん公式サイト"Jewel"様で、2007年9月『テネシー・ワルツ』再々演に神崎さんのご出演が予定されている、と発表がありました。
 ここで「じゃ、青山さんも」と胸の高鳴るのがファンというものなのですが、青山さんのご出演は確認できておりません。『タイタニック』で思いっきりフライングな記事を書いてしまった私(反省しております)なんかに言われたくないわ、とお思いのこととは存じますが、今は青山さんご自身がブログを書いておられますし、公式サイト"only one"、所属事務所F.Spirit様のサイトもありますので、皆様どうぞそちらでの発表をお待ちください。

 また、この件に関しまして、"Jewel"管理人様に個別にお問い合わせ等をすることは、どうぞご遠慮くださるようにお願い申し上げます。"Jewel"さまは私の「リズム音痴のカスタネット更新」と違って、掲載されている情報は随時更新され、どれも最新のものですので、サイト上でご確認ください。これも、最初に居候として転がり込んだ私に言われたくない、とお思いでしょうが、テネシーも三回目ということで「居候、三杯目にはそっと出し」の精神で行きたいと思います。皆様どうかご理解くださいませ。

ロック・オペラ『TOMMY』の仕掛け人

2007-02-14 | TOMMY
The Whoというバンドについて書かれたものを少しでも読むと、Kit Lambertという名前が目に入ってきます。
 映画版トミー、ロジャー・ダルトリーに言わせれば、作曲者はもちろんピート・タウンゼントだけれど、ランバートの提案なしでは"Tommy"という作品は成り立たなかった、ということです。
 ランバートは、ロックン・ロールというものが大衆に支持されてエモーショナルだというだけで、音楽としての質が低いものとみなされている風潮を変えたかったのだといいます。高名なクラシックの作曲家の息子として生まれ、ロックをこよなく愛した彼は、ロックを芸術の一つの形態として認識させることに努力していましたが、そのほかの音楽業界というものも熟知していました。そして出した結論がThe Whoを、音楽の境界を越えるバンドにするためにあらゆるフォローをする、ということだったそうです。そしてそれまで誰も口にした事がない、「ロック・オペラ」という言葉を発した、というわけです。
 父親である高名な作曲家というのは、コンスタント・ランバート。13才でオーケストラ譜を書き、20才の時にはニジンスキーのプロデューサーとして知られるディアギレフのバレエ・リュス(ダンスファン、力が入ります)とも仕事をし、その後も英ロイヤル・バレエの前身となるバレエ団とコラボレーションを重ね、指揮者としても活躍しました。その一方で、ジャズやポピュラー・ミュージックに注目した最初のクラシックの作曲家として先見性が語られています。また逆に、クラシックの道には進まなかったものの、息子であるキットは、オペラは勿論バレエにも造詣が深かったのです。
 『TOMMY』はロックの雄、The Whoのパワーとともに、この先鋭的な音楽家親子の血にも支えられているということでしょうか。この作品は「ロック」という枠には収まらず、トニー賞のオリジナル・スコア賞まで受賞しているのですから、事はランバートの目論見どおりに進んだことになりますね。そしてクラシックからストリート系ダンスまで、音楽と同調しながらありとあらゆる身体の造形を網羅する青山さんのダンスがこの作品と出会ったのも、この親子のパッションの求心力のせいかも知れません。

トミーとアシッド・クイーン

2007-02-12 | TOMMY
 『Tommy』公式ブログでアシッド・クイーン、ソムン・タクさんの歌声が話題になっていました。
 治療?のためにトミーは彼女のところに連れて行かれるのですが、映画版では青年トミー、BW版では少年時代のエピソードになっています。最初ピート・タウンゼントはこの"The Acid Queen"を自分の声のために書いたのだそうですが、この曲を書いたことで、自分が攻撃的・自己破壊的でない女声のための曲も将来書けるようになる気がしたと語っています。張りのある中川晃教さんの声の向こうを張って、かなりパワフルな女声のようで、この作品がロック「オペラ」であることをまざまざと感じさせてくれる場面になりそうですね。
 
 BW版でこの役The Gypsyを演じたのはCheryl Freeman。彼女はこのキャラクターを、麻薬を買うための資金稼ぎが目的の娼婦だけれど、トミーが子どもだということは分っていて、どんな女性にも備わっている、育てる性を感じさせるところが人間的、と解釈したそうです。日本版のソムン・タクさんはクールな美貌の持ち主ですね、どんなアシッド・クイーンになるのでしょう。お土産に食事になるものを持ってきておられる辺り「母性」も感じますが・・・
 ドラッグに溺れる実際の彼女を目の当たりにした父親はトミーを連れて帰ります。BW版少年トミー最後のエピソードで、次は1958年、いよいよピンボール!の場面です。

 追記: 昨日でこのブログも2周年を迎えました。愛想のないページなのにお付き合いいただいて、本当に有難うございます 突然ファンモード爆発で申し訳ありませんが、青山航士さんのダンスのカッコよさは保証いたします。原曲ファンの方も是非おたのしみに~ 

TOMMYの誕生日

2007-02-10 | TOMMY
 日本版『TOMMY』のチラシやテレビCM、公式ブログですっかりおなじみになったTOMMY人形。じっと見ているとファスナーの口や見開いた目が痛々しくて、パッと見たときとイメージが変わっていきます。BW版よりロジャー・ダルトリーの演じた映画版トミーに似ていますね。
 04年に出版されたロジャー・ダルトリーの伝記によると、映画版トミーの誕生日は1945年5月8日、ヨーロッパの勝利(VE)の日です。ロジャー・ダルトリー自身は44年生まれですが、母親は体が弱いうえ、腎臓摘出手術を受け、医師から子どもを持つことを諦めるように言われながらも、自分の固い意思で彼を生んだのだそうです。映画版では妊娠中のトミーの母親(アン・マーグレット)がひとり爆撃の恐怖に耐えるシーンがありますが、これはロジャーの母親の体験と重なっているといいます。
 そしてまた、ピート・タウンゼント自身の言葉は紹介されていませんが、トミーの耳が聞こえない、口がきけない、目が見えない苦しみは、「部分的に」彼の子ども時代の記憶にインスパイアされたのだそうです。45年生まれのピート・タウンゼントの両親は終戦直後の生活苦から、不幸な結婚生活を送り、彼は両親によってひどく傷つけられて(marred)少年時代をすごしたということです。発表後何年もたってから、「たとえ戦中を生きていなくとも、自分たちが戦争の残響によって苦しんでいたことを示そうとした」とピート・タウンゼント自身が明言したと記されています。
 日本版のトミー人形はどうやら回復したようで歌も歌っていますが、2009年には作品"Tommy"誕生40年を記念するプロジェクトを、という声がある、とピート・タウンゼントの公式サイト(現在休止中)にありました。癒されない、満たされない誰かがいる限り、この作品は何度でも息を吹き返すのかもしれません。

男が踊れば風が吹く

2007-02-07 | TOMMY
 サンフランシスコ・バレエの07年シーズンが始まり、早速行ってみるとなんと客席の約半分が男性。客席の殆どは女性客、という日本の劇場とかなり雰囲気が違います。"
 演目はバランシン振付"Divertimento N.15"、J.ガルニエ振付"Aunis"、フォーサイス振付"Artifact Suites"。そのうち"Aunis"は全編男性3人のみ、つづく"Artifact Suites"でも男性ソリスト12人による群舞をはじめとして男性ダンサーの見せ場が多く、とにかくダイナミックな公演でした。観ているものを舞台空間に取り込んでしまうようなエネルギーあふれる男性群舞は、いっせいに跳躍するたびに風がおき(喩えでなく事実です~)、どんな衣装も舞台装置も作り出すことの出来ない迫力/吸引力に満ちています。
 とかく優雅さや贅沢さのイメージが張り付いているバレエ/ダンスあるいはオペラですが、実際に演じる人たちの身体の頑強さは格闘技家なみです。ヒラヒラの衣装を着ている女性ダンサー達ですら、あのタイツの下は陸上選手のような筋肉ムキムキの脚なのです。『TOMMY』も「ミュージカル」の枠には収まりきらない、「ロック・オペラ」である証をダンスで大胆に見せてもらいたいですね。『トミー』の客席はThe Whoのファンの方をはじめとして、いつもより男性も多そうですし。
 演出のデス・マカナフの談話ではピンボール台がロックン・ロールの象徴、それが爆発するところがピート・タウンゼントのギター破壊パフォーマンスと重なるのだそうですが、やはり「台」は動きにくいですよね~、映画みたいにクローズアップが出来ないのだから、ここは暴力的なぐらいにハデに動いて欲しいところです。もう、ROLLYさん+男性群舞しかありません! ああ獰猛な獣を思わせるような『ウエストサイドストーリー』の青山さん@タイガーが目に浮かぶ・・・ 

ドアと窓と鉄のフレーム

2007-02-05 | TOMMY
 青山航士さんのブログで予告されていた『TOMMY』公式ブログがイープラスで始まりました。これから毎日楽しみですね。トップバッターはもちろんいのうえさん、右近さん、ROLLYさんのお三方ですが、出演者だけでなく、スタッフの方のお話なんかも是非聞かせていただきたいものです。

 BW版"Tommy"の舞台美術はジョン・アーノン。93年トニー賞舞台デザイン賞を受賞した後、03年にはアメリカン・バレエ・シアターの"Artemis"も手掛けています。"Tommy"を手掛けた際は、音楽が途絶えることのない作品なので、キャストがずっと動いていることを念頭に入れ、空間を出来る限り大きくキープしながら、観客にはその「場」が理解されるようにデザインしたそうです。成る程そんな方ならバレエの舞台もお願いしたいですね

 彼は"Tommy"を、親子の関係とその分離、そしていかにして「個人」となるかの物語と捉え、多くの部分が家庭の中で展開することと合わせて、「ドア」と「窓」を特徴とするセットを作ったそうです。彼いわく、「どちらも人を家の内側に、安全に囲むものではあるけれど、その向こう側には違うものがある、そして外側にあるものだけでなく、自分自身の中にあるものももっと発見しようとする欲望を目覚めさせる。その気持ちが、最終的にはドアを開けて自分を外に出て行かせる鍵となる」
 そして、一貫して舞台に設置される鉄フレームの柱は、観客のイマジネーションをかきたてるために考えられたそうです。観客がそれまでに体験した、それぞれの心象とつながる「感覚的な記憶」となりうるものを提示したかった、ということです。BW版の舞台写真を見ると、確かにどのシーンでも舞台に立てられて、視覚的な特徴として脳に刷り込まれそうです。『2001年宇宙の旅』のモノリス、ロックがらみで言うとレッド・ツェッペリンの『プレゼンス』の黒いオブジェみたいな感じでしょうか。
 彼の言葉で印象的なのは、「(演出の)デスも私も観客のインテリジェンスを信じている・・・その感覚を彼らが経験するようにデザインしたんだ。」正直言ってミュージカルの舞台を見ていると、「わかりやすさ」があまりにも強調されていて、くどい感じがすることがあります。こんな風にドカン、とスタッフからの謎かけみたいな装置が置いてある舞台って、わけのわかんなさが楽しそう~青山ファン的にはベルトコンベアーなんかも嬉しいです。 

I was

2007-02-03 | TOMMY
 さきほどまでgooブログ編集画面にどうしてもアクセスできませんでしたので、先にso-netブログに記事をアップしました。gooはここ数日、ずっと調子が悪いので、アクセスできない、それでも読んでやろうと思ってくださる方は、so-netのページを覗いてみてください。ご面倒おかけしますが宜しくお願いします。

 1978年9月7日、映画版でアーニーおじさんを演じていたThe Whoのドラマー、キース・ムーンが処方薬のオーバードーズのためこの世を去りました。73年、サンフランシスコでコンサート中に倒れた彼の代わりにScott Halpinというファンがドラムを叩いたという話も残っているくらいで、ストーンズのブライアン・ジョーンズ、後輩ではセックス・ピストルズのシド・ビシャスのように、キャラクターを「地で行く」型のアーティストだったのかもしれません。

 また2002年7月27日には、"Tommy"で「従兄ケヴィン」を書いたベーシストのジョン・エントウィッスルがラス・ベガスのハード・ロック・ホテルの一室で、自然死の状態で発見されました。翌日には同ホテルでThe Whoのツアー皮切りとなるコンサートが予定されていましたが、二人目のメンバーの死でコンサートはキャンセル。それを乗り越えて現在も全米ツアーを行っているピート・タウンゼントとロジャー・ダルトリーのパワーはものすごいですね。

 この文のタイトルにした曲"I was"は、ピート・タウンゼント作曲で、わずか17秒です。現存する"Tommy"製作初期段階のトラックリストにもないこの曲は、2003年の"Tommy Delux Edition"に収録されています。作品製作のごくはじめの段階ではトミーは一度死に、新しい人格として輪廻転生する、という設定だったといいます。"I was"はその曲ではないかということですが、東洋思想に傾倒していたピート・タウンゼントなら・・・そういうこともありそうですね。日本のアマゾンで視聴できます。なにせ17秒ですから「全曲」聴けますよ~。ディスク2の最初の曲です。

 メンバー二人の死を見送ったピート・タウンゼントが、東洋の島国で自分の作品が上演される、ということについて何を思うでしょうか。あるいは彼にとっては"Tommy"という作品自体が、輪廻転生する「もうひとりの自分」なのかもしれません。

BW版"Tommy"オフィシャル本と93年トニー賞

2007-02-01 | TOMMY
 何度かご紹介しているBW版オフィシャル本"The Who's Tommy : The Musical"(Pantheon Books, New York, 1993)は、現在アメリカのamazonでユーズドならかなり安く手に入ります。表示が刻々と変わるページですが、サーチ欄"Books"、キーワードを"Tommy, Musical"で検索するとヒットすると思います。
 何社かが取り扱っており、私の見た限りでは全部マーケット・プレイス扱いでした。業者によってあまり信用度の高くないところや、海外発送をしないところもあるようですので、ご自身でお確かめくださるようお願いします
 舞台写真が豊富で、ピート・タウンゼントをはじめとしてスタッフ・出演者のコメント満載、内容的にはとても充実していると思います。

 また、hildaさんのブログでも紹介されていた、BW版トミー、Michael Cerverisの公式サイトで93年トニー賞でのパフォーマンスが見られます。
 トップページの下から2行目"Stage Door"をクリック→開いたページを下に3分の1ほどスクロールすると、"Tommy"の舞台写真があり、その下の写真の横に"Tommy" on Tony Awards 1993とあります。そして"real video"をクリック。 4分余りですが、噂のピンボール台爆発シーンもあり、青山航士ファンなら、アンサンブルのダンスで嬉しい予感に浸れそうです。「BW版、意外と地味」と評判(?)のこのシーン、川崎悦子さんの振付は、もっとダイナミックに決めてくれる気がしますね