platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

「舞闘」の時代!

2007-08-29 | ダンスファンの独り言
 hildaさんにコメント付けてもらったので、す~ぐ調子に乗って今日もラスタ・トーマスのことを少し。
 公式サイト、トップ映像をご紹介したものの、「一体どれが"Movin' out"のなのよ~」と思われた方も多いと思います、失礼致しました。赤いノースリーブで左脚を曲げ、右脚で見事な「飛び蹴り」をしている写真がそれです。「・・・ダンスでこんなのあり?」というご意見はごもっとも、実は彼は10種類ほどの武術の経験者なのです。
 公式サイトの彼自身によるバイオによると、2才ぐらいのとき交通事故で脚と肋骨数本を折り、歩行障害が残る、と診断されるほどの大怪我をしたそうです。リハビリのため、お父さんが色々な教室に連れて行ったということですが、その数も彼の才能も半端ではなく、歩くどころか、5才で黒帯の快挙をなしとげました。が、武術の道場のオーナーでもあるお父さんはそれだけで満足せず、体操、モトクロス、サッカー、陸上競技、バスケット、水泳にも息子を連れて行ったそうです。いや~、星一徹も真っ青ですね~。特に水泳はジュニアオリンピック50mバタフライチャンピオンにまでなったのですが、コンマ何秒を争う世界は彼には合わないのだとか。
 そんな優秀なラスタ少年、精神的にはともかく、外見上(本人談)先生に対して態度の悪い生徒だったそうです。みかねたお父さんが「明日チュチュを着せてやる!」と脅しても聞き流していたら、翌日本当にバレエに連れて行かれてしまった・・・これが彼とバレエの出会いだというから面白いですよね。さらにこの時の先生が彼の資質を見抜き、「この子は踊るために生まれてきた」と言ったのだそうです。
 その後家族とともにワシントンDCに転居した矢先、ワシントン・ポスト紙の「新しいバレエスクール(キーロフ・アカデミー・オブ・バレエ)開校」の広告がお父さんの目に留まりました。件の先生の言葉を思い出し、オーディションを受けたところ学費全額免除の奨学生に選ばれた、というわけです。子供の可能性って周りの大人の眼差しの中で芽を出し、育つものなんですね~。様々な動きを叩き込まれた彼のダンスには、あらゆる枠を飛び越えていくような、みずみずしい新しさが漲っています。
 青山航士さんも『うたっておどろんぱ!』で子供番組の枠をはるかに超える、武術の動きとダンスを融合させた「三忍者」シリーズを残されましたが、いわゆる「バレエ」的でない、勇壮としてカッコイイ新時代のダンスには、男女の別も年齢も関係なく目を留めた方が多いのではないでしょうか。ありあまる身体能力を暴力でなく、美技に昇華させる、それ以上にカッコいいものがあるとは思えませんは・・・またオタク語りに入り込みそうなので今日はこのへんで~。 

サリーとSacred Monsters

2007-06-14 | ダンスファンの独り言
 昨日は青山さん「出演しません」情報だし、その前は支離滅裂な独り言だし・・・とすっかりトーンダウンしていましたが、hildaさんから"Sacred Monsters"にコメント頂き、もう少しこの話題で突っ走ることにしました

 "Sacred Monsters"の劇作を担当したGuy Coolsは、観客の期待に答えようとするあまり、スター達は失敗したり、不完全であったり、ありのままの感情を表現する余裕がなくなっていく、と解説しています。この作品はギエムとカーンのソロとデュエットで構成されていますが、自分のソロを踊り終わったギエムはそのまま舞台の隅に正座したり(!)してカーンのソロをじっと見ていました。タオルで汗を拭いたり、デュエットのために髪を自分で三つ編みにしたり・・・と彼らの日々の研鑽がそのまま舞台に持ち込まれ、今も積み上げられているところ、という感じをうけます。完全主義者で知られるギエムが、形式としての完全さをスパッと切り捨てている、そんな風に見えました。
 Coolsは解説の最後にこう語ります。「二人とも古典的な伝統によって形作られ、育まれ、すでに素晴らしい価値を持っているけれど、さらに実験し、彼らの認識を一新し、もっと人間的な、彼ら自身の声を聞きたいと思っているのです。」
 公演各地でのレビューで必ずといっていいほど触れられているのが、前の記事で触れたマイムとギエム自身の「語り」です。かなりくだけた口調で、公演によって内容に違いがあるようですが、他の公演でも話したと思われるサリーの話を少しだけ。外国語を覚えるのに漫画『ピーナッツ』を読んだけど、自分はチャーリー・ブラウンのおませな妹、サリーに似ていると思う、子供のころ学校でサリーと呼ばれていたし・・・とギエムが英語で話します。幼いのに「哲学」なんていう言葉をちょくちょく使ったりして、大人の世界の決まりごとをポンと飛び越すようなところのあるサリーとギエムは、私の中でも重なるエピソードがひとつあります。
 ギエムが体操でオリンピックの強化選手だったことはよく知られていますが、たしか『徹子の部屋』にゲスト出演した際、バレエに転向した理由のひとつとして、「体操ではある程度まで行くと非常に危険なことをやらされる」ということを挙げていました。両親とも優秀な体操選手で、恵まれた身体を持って生まれた彼女は、その優れた資質と自分の人生を、本能的によく知っていたということでしょう。国威をかけた戦いを課す大人に「あいにくだけど、この体はメダルの台ではなくてあたしのものなの」とサリーさながらに言い放つ少女の姿が見えるようです。周りの期待にこたえるべく、非人間的に、化け物じみてくるのはスター達だけでなく、大人の期待にこたえようと子供も経験すること、子供は皆ある時期まで"Sacred Monsters"だ、ともCoolsはいいます。少女ギエムは"Sacred Monsters"に「される」ことを拒否した、とも言えるでしょうか。
 最初は、フランス演劇界の大スターのあだ名として"Sacred Monsters"という言葉が生まれたそうですが、確かに舞台の上の優れた表現者に、Monsterを感じることはよくあります。それが人間的であることと引き換えの輝きであったとしたら、少し舞台が怖くなりますね。人間的であって、Sacred Monstersでもあること、そんな形をこの作品は提示しているのかもしれません。この冬、ギエムの踊る古典はどんな世界を見せてくれるでしょうか。

Sacred Monsters

2007-06-12 | ダンスファンの独り言
 前の記事で触れた、やり直せるならもっとクラシックなダンスを創る、というボブ・フォッシーの言葉から、一ヶ月ほど前に観たシルヴィ・ギエムとアクラム・カーンの"Sacred Monsters"(英ガーディアン紙レビュー)を思い出しました。
 バングラデシュにルーツを持つカーンはインド古典舞踊のKathakを学び、現在は創作舞踊を中心に活動しています。自分をテニスボールに喩えて、自分の居場所は古典と現代舞踊を分けるネットの上、と語る彼の下肢の強さは西洋の舞踊手にはないものです。それぞれに古典舞踊の技術を身につけながら、芸術家の「創造する」という健全で真摯な営みを、のびのびとリラックスした表情で披露するギエムとカーンには、与えられた身体への愛情のようなものが感じられました。
 二人のダンスは途方もない包容力に満ち、カーンの大地のように安定した下肢の動き、鋼のように強靭であると同時にどこまでもしなやかなギエムの肢体の描く美しい造形に心行くまで見とれました。そんなダンスの合間に、ギエムがあれこれと話しながら床に左脇をつけて寝そべり、肘を突いて手で頭を支える、という一連の動作を一つ一つまったく独立した動きとして見せる場面がありました。これほど身体と意思がぴったりと一致した動きを私は目にした事がありません。まさしく圧巻なのですが、威圧するような感じではなく極上のパントマイムといった感じで観客の笑いを誘います。その動きの裏の、長い時間をかけて培われた技術の蓄積は、舞台に緊張感よりも安らかでゆったりとした空気を生み出していました。
 
 ボブ・フォッシーが殺し屋"Killer"と呼んだ舞台は、ギエムにとっては聖なる怪獣"Sacred Monsters"なのだそうです。作品"Sacred Monsters"もまた、現代の最高の技術のうちに、はるかに遠い時間の魔法が残っているような印象を残しました。クラシックの逆を行くようなシャープな動きで、ダンス界を一新した革命児フォッシーにとって、舞台がリアルで生々しい現代の時間を刻む修羅場そのものであったとしたら、彼が死の前年にクラシックなダンスに想いを馳せたのも自然なことだったように思います。
 様々なスタイルのダンスを身につけ、東洋の文化を血の中に持つ青山航士さんにとっての舞台はいったいどんなものなのでしょうか。・・・書きたい事がありすぎて、長くなったのを短くしたのですが、われながら支離滅裂な文章でひいております、失礼致しました。 

ボブ・フォッシーと殺し屋

2007-06-10 | ダンスファンの独り言
 チェット・ウォーカー氏のワークショップに青山航士さんが参加し、"Big Deal"の振付指導を受けた、とダンスファンが聞くと、どうしても想像してしまうナンバーがあります。
 ボブ・フォッシー最後のブロードウェイ作品"Big Deal"はロングランにはならなかったけれど、トニー賞の振付賞を受賞、なかでも'Beat Me Daddy Eight to the Bar'は、二人の男性ダンサーのダンスの素晴らしさで知られています。なんとブロードウェイオリジナルキャストでは、その一人がウェイン・シレント、BW版"Tommy"の振付家です。私もこれまで気付かず、BW版"Tommy"の舞台写真にしっかり「猫背内股」ポーズのものがあるのを見て、フォッシーの忠実なお弟子さんなんだなあ位に思っていたのですが、毎回アンコールがかかったという伝説のシーンのダンサーだったんですね~
 フォッシーと数々の名作を創りあげたMergery Beddowの著書"Bob Fosse's Broadway"によると、「たくさんのシンコペーションのリズムに合わせてキックやジャンプ、肩をすくめるしぐさを使い、リズムを掴むようにサスペンダーまで操って、素晴らしいスタッカート・ダンスを見せた」。・・・私の思い込みかもしれませんが、シャツが絞れるほどの汗を青山さんたちがかいたのは、このナンバーじゃないかと妄想は膨らむばかりです。ウェイン・シレント達も突き詰めた動きを積み重ねるような振付を踊り終わった後は舞台袖でぐったりし、アンコールに答えられるような状態ではなかったそうです。

 前述の本には、"Big Deal"初日4日前のインタビューでフォッシーが語った言葉が紹介されています。「もしやり直せるものなら(ジェローム・)ロビンズのようにもっとクラシックなダンスを創っただろう。もう遅すぎる。今じゃあ満足に動くこともできないんだ、自分の靴紐だって結べない。」坐骨神経症と背中の痛みを抱えていた彼は、コルセットをはめてこのショーに取り組み、「このショーを僕は愛している、だがね、こいつは殺し屋だよ」と言ったそうです。凄まじいですね。
 クラシックバレエの舞台を幾つか見てフォッシーのダンスを見ると、空間ごと強烈なエネルギーでねじれて異彩を放っているような感じをうけます。整然と、無駄のない理想の描線をたどるクラシックにはないドライブ感のある動きは、観客の想像を絶するようなエネルギーを踊り手に要求するのでしょう。フォッシーの舞台に漲る独特の魔性は、彼と「殺し屋」との愛という名の一騎打ちから生まれていたようです。 

The Gifted and Talented

2007-06-05 | ダンスファンの独り言
 知人に誘われて、"Talent Development"の公開レクチャーを聴いてみました。平等が重んじられる日本では余り耳にしませんが、アメリカの英才教育についての話です。タイトルにある言葉が何度も繰り返され、"Gifted"は「天から優れた資質を与えられた者」、"Talented"は、「(主として芸術的)能力を備えた者」というところでしょうか。青山航士さんのダンスを初めて見た時、頭に浮かんだのもこの言葉でした。
 前にも書いた事がありますが、床に両手をついてウエストから下を大胆にひねったその動きのスムーズさ、描く円弧の鮮明さに目を疑いました。その一瞬の動きは練習を重ねることでは得られない、持って生まれた資質の驚異的な高さを語るのに充分です。また、残念ながらDVDに収められていないのですが、NHK教育『りんりん丸』ゲスト出演の「普通の日曜日に」で、片脚で描く大きな円にも、股関節の形状の良さがありありと見て取れます。そして完全に音楽と同調する多彩なダンスは、青山さんの音楽的なセンスを感じさせてくれます。
 レクチャーを聴いて、Gifted Childrenの才能をいかに伸ばし、大成させるかということにアメリカの教育機関がどんなに真剣に取り組んでいるかを改めて思いました。歴史の浅い、この若い国の財産は何よりも「能力」ということなのかも知れません。アメリカにダンスを学びに日本からやってきた14才の少年が、あれほど見事に異なる文化を吸収したのも、そんな取り組みの一つの成果なのでしょう。もしも青山さんが日本でダンスを学んでいたら・・・? あの恵まれた資質に変わりはなくとも、やはり違ったことになっていただろう、と思いました。
 アメリカが築き上げた、若い才能へのスケールの大きいサポートは、どこまでも伸びていく生命力をも青山さんの資質に与えたのでしょうか。ご本人のブログからは途切れることのない鍛錬の積み重ねが伺われます。「実力主義」といいきれない日本、まして一観客には何も出来ないけれど、The Gifted and Talentedなパフォーマーを、せめて心から応援しよう、と思います

サンフランシスコ・バレエ シーズン開幕へ

2007-01-22 | ダンスファンの独り言

 もうすぐ開幕を迎えるサンフランシスコ・バレエの2007レパートリーシーズンに備えて、街のウインドウにバレエの衣装やトゥシューズが飾られています。島流しでグレがちなダンスファン(私)にはじ~~~ん、ときました。アメリカで最も長い歴史を持つこのバレエ団を、街全体でサポートしている証なのだそうです。上の画像はごく一部ですが、華やかでお洒落で素敵ですよね。なんだか虫の好く街だとは思っていたけれど、こんな街があるなんて嬉しいわ~。おまけにどのお店も撮影を快諾してくれました。
 そんな愛すべき街サンフランシスコに負けずに、東京と大阪でも、青山航士さんのブログで紹介されていた日本版『TOMMY』の縦長チラシが春の街の彩りとなりますように ・・・アレ、ちょっとアブない感じがいいですよね。いよいよ本稽古開始だそうで、「気分はもう春」の青山ファン、というところかな。

アフリカとアメリカの宝石

2006-10-03 | ダンスファンの独り言
 予想通り、というべきかネット開通はまだです。
 今度は道を横切っている線を水曜日夜に替えるそうです。アメリカとしては「古い」部類に入る住宅地なので、電話線も古いタイプなのだとか。確かにうちの周りはモダンな建物はなく、寒色系パステル調の昔風のつくりの家が並んでいます。
 で、アメリカのモダンアートのビビッドな色彩はどこから来るのかな?とぼんやり思っていたところ、サンフランシスコの現代美術館の近くにアフリカ文化を紹介する機関を見つけました。外側はモノトーン調の建物なのですが、中は眼の覚めるような鮮やかな色彩があふれんばかり!! また動物の体の形をした玩具や、植物の形を模した食器など、とても複雑なもので、あらためて彼らの文化の豊かさを知りました。
 アフリカがアメリカの音楽やダンスにもたらしたものの大きさというのはこれまでもよく感じたことなんですが、あの色彩感覚・造形のセンスは「モダン・アート」と呼ばれているものにどれだけインスピレーションを与えたことでしょうか。
 購入できるものもたくさんありましたが、そこはダンスオタクなのでまずはAlvin Ailey American Dance Theaterの写真集を・・・レジの方も「いいもの選ぶわね」といってくれました 青山航士さんはこのダンスカンパニーのサマースクールで奨学金を得ておられますが、エイリー亡き後、カンパニーはこの学校をとても大切にして、彼らの編み出したものを次の世代に手渡すことを、創作と同様に重視しているそうです。日本から海を越えてやってきた青年も、アフリカとアメリカの必ずしも幸福で彩られているとはいえない歴史の中の宝石に、そこで出会ったのでしょうか。 
  

お詫びです

2006-09-16 | ダンスファンの独り言
 ゆ~ったりした西海岸、案の定、予定日を越えてもまだ我が家のネットはつながっていません~。なので今日はネットカフェから更新です。
 気になっていた『タイタニック』ですが、どうやら青山航士さんの出演はなさそうです。書きっぱなしで行方をくらましたようになってしまい、お騒がせして本当に申し訳ありませんでした。あゆあゆさんにタイムリーなフォローをしていただき、平に感謝です。

 九州の方には待望の『テネシー・ワルツ』公演が始まりますね。いつも馬鹿の一つ覚えみたいに「エル・クンバンチェロ」のことを騒いでいる私ですが、こうして西海岸にいると、青山さんのあの独特の透明感とラテン的な熱情の共存は、こんな世界中から人が集まる、抜けるように高い空と乾いた空気の中で培われたのかな、としみじみ思います。
 『テネシー・ワルツ』の振付は、率直に言ってしまえば青山さんの技術が充分に発揮される、とは言えないのですが、場面、曲に応じて万華鏡のように変わる表情が楽しいですよね。そしてそれと同時に「あの個性は他のどこにもない」とも思います。人種ごとの体型の違い、文化の違い、感性の違い、そうしたものを感じずにはいられない毎日ですが、青山航士というダンサーはその「違い」をバランスよく無数に積み上げていった、コスモポリタンのひとつの理想形のような気がします。「個性的」であるということと、「多面体的」であるということが矛盾しないんですよね~。
 
 青山さんのダンスの軽やかさ、永遠の若さは、ブレブレの画面で見る『うたっておどろんぱ! プラス』でもしっかり感じられます。懐かしい「こころのこえをきかせてよ」、'02年バージョンよりもある意味「若さ」を感じたのは私だけではないと思うのですが・・・・。こんなダンスは、西洋人の大人にはぜ~ったい無理。青年期の激情を描いた『ウエストサイドストーリー』に青山さんを起用したマクニーリーさんはやっぱり見る眼あるわ~。
この秋の『ボーイ フロム オズ』再演、"Love Crazy"は全踊り隊ファン必見です。愚痴はやめようと思うけれど、青山さんのダンスが見られるって、本当に羨ましいです、迷っている人は今度こそ見に行ってしまいましょう お詫びのはずがまた勧誘になってしまいました~。重ねてお許しを
 

タイタニック、甦る

2006-09-02 | ダンスファンの独り言
 出発前に思い残すことのないように、『テネシーワルツ』と『ムーヴィン・アウト』を見たのですが、この『ムーヴィン・・・・』はですね~、色々な意味で私の欲を刺激してくれてちょっと逆効果、思い残すことが増えてしまいました。ラスタ・トーマスに何の不満もない(どころか全力投球のステージに大満足)けれど、こういう生命が燃焼するような作品を見るとやっぱり青山航士さんバージョンを想像せずにはいられないのがファンですわ~。ホントにフジTVで次はこれにしてほしいですサープの振付を青山さんが踊る・・・想像するだけでもシアワセなんですが、以前から熱望しているこの組み合わせ、いつかこの眼で見たいですねえ。
 それからもうひとつ、公演当日配っていたチラシの中に来年1月のミュージカル『タイタニック』が・・・。これ、青山さん出演の芳香がそこはかとな~く漂ってるんです~。演出はグレン・ウォルフォードさん、キャストに(以下レディファースト+順不同)紫吹淳さん、諏訪マリーさん、藤木孝さん、岡幸二郎さん、大澄賢也さん、そして『ビューティフル・ゲーム』の浜畑賢吉さん。想像するなと言われても~、と後ろ髪引かれて暮らしている私の目に、なぜか”TITANIC”の文字が飛び込んできて・・・。そうなんです、なぜかこの流刑地(?)で「タイタニック展」が開催されているのです。
 野次馬なので早速行ってみると、海底から引き上げられた遺留品と共に、あの時計の飾られた階段や一等客室、レストランの一部が原寸大で再現・展示され、一等客室の通路の復元モデルは実際に通り抜ける事が出来る、という大規模なものでした。
 『ビューティフル・ゲーム』の記事でも少し触れましたが、この船はとにかく特別で、最高の客室は現在のお金に換算すると78,950ドル、950万円ぐらいでしょうか。二等客室でも、他の客船の一等級のサービス内容だったのだそうです。レオナルド・ディカプリオ扮する主人公が映画の冒頭で手にした三等客室の切符は、まさに夢の切符だったのです。
 この展覧会は日本にも行くのでしょうか。『ビューティフル・ゲーム』で知ったベルファストという街で作られた悲劇の豪華客船が、港町サンフランシスコでゆっくりと彼女の物語を皆に聞かせています。東京の国際フォーラムで、タイタニックが甦る日、自分がそこにいないのはとても残念ですが、乗船していた方ひとりひとりのドラマの重さが、どんな形であっても人の胸をうつだろうと思います。

 プロバイダの事務的手続きのため、一週間ほどネットが使えません。以前しばらくのあいだ休みます、と書いた後も連日たくさんの方にご覧頂き、11万pvを超えていました。本当にいつも読んでいただいて有難うございます。これからも愚痴っぽくならないように気をつけながら(手遅れ?)続けますので、どうぞ宜しくお願いします。
 

ダニエル・シュミット追悼

2006-08-11 | ダンスファンの独り言
 8月5日、スイスの映画監督ダニエル・シュミットが亡くなったのを一昨日知りました。映像詩人、と呼ばれるのがこんなにぴったりな人も少なく、本当に美しい映画を撮る人でした。手元にある作品は95年の『書かれた顔』のみですが、この映画では坂東玉三郎、武原はん、大野一雄といった日本の舞踊が、大切な秘密をそっと開くように映しだされ、彼の眼差しの中に引き込まれていくような感じです。
 久しぶりでビデオを見て、花がいっぱいに飾られたつば広の帽子を被る88才の大野一雄がはっとするほど綺麗だったり、杉村春子さん(この方はどうしても「さん」付け)のなんともいえない女らしい仕草にドキッとしたり、102才(!)の現役芸者さんの三味線につややかさを感じたり・・・と、黄昏と長い時間の煌きとにふんわりと酔いました。
 シュミット監督は、この映画の製作中のインタビューで、西洋と東洋の舞踊は基本的には同じ、でも自分が武原はんの舞踊を見て感動するのは、その「動きが静止であるような動き。静止が動きであるような静止」であり、それはヨーロッパの舞踊には見られない、と語っています。10年以上前にスイスの映画監督が日本の舞踊について思った事を、青山さんに引き寄せて考えるのは無理があるかもしれないけれど、何十年かして、青山さんが何をどう踊っているのか、この映画を見ているとぼんやりと影が見えるような気もします。
 感動した舞踊の舞台映像って、ワクワクして見てみると生の素晴らしさには遠く及ばなくてガッカリする事が多いものですが、この人の作品は例外。その時心に迫った、そのままの鮮やかさです。『グランドホテル』で眼にしたマリオネット振りの静かな静かな悲鳴も、ダニエル・シュミットなら克明に記録してくれたと思います。65才と少し早く、寂しい知らせでした。

 今日でブログを書き始めて1年半です。青山さんのご活躍と皆さんに頂くコメントのおかげで、いつもたくさんのアクセスを頂き、本当に有難うございます。
 まったくの私事ですが、今月末からサンフランシスコ近郊に1年間滞在することになりました。青山さんの舞台を見ることは難しい1年となりますが、1年や2年好きなダンサーが見られないのは普通、というのがダンスファン(悲惨~)だし、上記の映画見ていたら「1年なんて」と思えてきました。それなりの形を模索しながらファンページとして継続していきたいと思っています。・・・が、ここに来て私の「明日できることは今日するな」主義が順当な行き詰まりを見せ、片付けないといけない雑事が山のように。もともとカスタネット更新でしたが、しばらくの間、お休みさせていただきます。でもあゆあゆさんの『グランドホテル』詳細レポは無期限でお待ちしていますし、皆さんからのコメントはいつでも大歓迎ですので、お気の向いたときにお願いしますそれではまた近いうちに
 

WSSと『ムーヴィン・アウト』が気になる

2006-07-30 | ダンスファンの独り言
 以前お知らせした大澄賢也さんとピーターさんの案内による『ウエストサイドストーリー』特番が関西方面でも放映されます

  朝日放送 8月5日(土) 午前10時25分~11時20分
 
 ワールドツアーの一環である今回の来日公演も、青山さんが出演した'04/'05年版とおなじジョーイ・マクニーリーさんの演出です。あの夏から2年、と思うと早いですね~。
 これと、以前あゆあゆさんが話題にしていたトワイラ・サープ振付の『ムーヴィン・アウト』も7月27日に開幕と、この夏はダンスファンにはたまらないですわ~。すでにチケットを買った方、もし「ラスタ・トーマス」の出演日だったら大当たりですよ! 彼はバレエダンサーですが、「ブロードウェイを知りたかった」ということでこの作品への出演を決めたのだそうです。サープがバレエとブロードウェイ両方を振付けるのなら、ダンサーである自分も両方踊れるはず、とも語っていて、かなり意欲的な様子。今後ミュージカルのダンス、レベルがますます上がりそうですね。
 「ラスタ・トーマスが出るのか、そっか・・・」と気持ちが高揚してくると、やっぱり青山さんが踊るところも想像してしまいます。フジtv様、次はこれなんかどうでしょう?
  

『ウエストサイドストーリー』来日公演特番

2006-07-12 | ダンスファンの独り言
 関東地方では7月15日(土)15:30~16:25、テレビ朝日で「ピーター&大澄賢也 NYでパワーをもらう旅!!」として、来日公演WSSを特集するようです。大澄男爵が案内役のうえ、オーディション風景も映るとのことで、いまだに行くかどうか決められない私も「テレビくらいは見てみよっかな・・・」と思ったら、今のところ関東以外の地域での放送予定はないようです
暑さが身に応えます。

『シカゴ』をちょっと拝見

2006-07-11 | ダンスファンの独り言
 『シカゴ』の写真が見られるページを見つけました
 この作品でキャサリン・ゼタ・ジョーンズはアカデミー助演女優賞を受賞しましたが、何度見ても異常なほどのカッコよさ 動く姿はなおさらなので是非いちど 美貌は見てのとおり、そのうえ歌もダンスも演技もきめる、さすが舞台出身の女優さんですね。
 ではスチール写真はこちらです。

ダンスファン倍増計画

2006-07-09 | ダンスファンの独り言
 前の記事に、『ボーイ フロム オズ』のShe Loves to Hear the Musicは、ボブ・フォッシー調の振付云々書きましたが、「・・・フォッシーってどんな人?」と公演まで(なんてったって秋、長丁場ですからね~)気になった方は映画『シカゴ』のDVDなんかいかがでしょうか。これはフォッシー原作ではあるけれど、オリジナル振付に忠実ではないのですが、監督のロブ・マーシャルは舞台『キャバレー』を手掛けたこともあり、「映画と舞台の違い」とフォッシーへの敬意を矛盾なく共存させているように思います。
 もちろんピーター・アレンの妻であったライザ・ミネリの出世作である映画『キャバレー』を見るほうが『ボーイ フロム オズ』の雰囲気やフォッシー直伝の猫背・内股のカッコよさを味わうのに向いているとも思いますが、現実の世界に華やかなミュージカルの世界が滑り込む『シカゴ』、暑い盛りに『テネシー・ワルツ』待ちの青山ファンには良い清涼剤(興奮剤?)になると思います。
 時代設定は、これまで話題にしてきた『グランドホテル』『雨に唄えば』と同じ1920年代後半。「刑務所のタンゴ」で披露される、『ビューティフル・ゲーム』の刑務所とはかなり違う、妖艶な演出も面白いです。
 で、なにが「倍増」かというと、以前『雨に唄えば』は良い子のみんなにお勧めさせていただきましたが、これはちょっと「良い子」向きではなく、ご主人をお誘いしてご覧になってはいかがかと思いました スタイル抜群の美女がわらわらと出てくるうえ、おどろんぱダンサーズのような若い美男ダンサーはあまり出てこないのです~。もちろん映画としても楽しく、エンターティンメントの魅力一杯です。
 やっぱり映画って面白いですよね~。振付はもちろん、とにかくカメラワークがかっこいいのです。青山航士さんのダンスをこんな画面で観てみたい・・・おどろんぱのカメラさん、よろしくお願いいたします
 

ジーン・ケリーとウエストサイドストーリー

2006-06-22 | ダンスファンの独り言
 もう昨日になりますが、BSで『雨に唄えば』が放映されましたね。ミュージカルに疎い私が言っても仕方ないけれど、私にとって「ミュージカル」のイメージは、この『雨に唄えば』のような次から次へとダンスが登場するものです。春の『ビューティフル・ゲーム』では、音楽が何よりも主役、という楽しみ方にも開眼しましたが、そこはダンスファンの戯言です、どうぞご寛容のほど・・・。
 来日公演間近の(どうしても気になる)『ウエストサイドストーリー』もダンスの比重の高さといい、質といい、私にとっての「これぞミュージカル!」なんですが、このふたつの作品の要であったジーン・ケリー(1912年生まれ)とジェローム・ロビンズ(1918年生)、大体同時代を生きているのです。フレッド・アステア(1899年生)は少し上の世代とはいえ、立て続けに桁外れの才能が現れた、すごい時代だったんですね~。ちなみに今日はアステアの命日です(1987年没)
 当然接点もあり、ジーン・ケリーは自分の憧れのアイドルであったアステアと『ジーグフェルド・フォーリーズ』(46)で共演。また以前に書いたように、ジーン・ケリー主演の『踊る大紐育』(49)の原案はロビンズです。そして61年のアカデミー賞で『ウエストサイドストーリー』の振付によりロビンズに特別賞が贈られましたが、このときのプレゼンターはジーン・ケリーだったそうです。この時代に生きていた人たちのアメリカへの憧れがどんなものだったか、なんだか想像できますよね。
 また「ダンス」というと若さが連想され、踊り手は短命な感じがありますけど、実際に観客を楽しませる踊り、というのは体が良く動くからといってできるものじゃないんだな、とも思います。アステアやジーン・ケリーの40代のダンスの素晴らしさといったら、もうとびきり上質のお酒という感じで、口あたりのよさを楽しんでいるうちにすっかり酔わされてしまいます
 日本のミュージカルはどんな風に変わっていくのでしょう。私的にはもちろんダンス・ミュージカルが増えて欲しいです。「ブロードウェイ」というとき、めくるめくようなダンスを想像する方って、ダンスファンでなくても多いと思うのですが・・・。それでやっぱり、10年ぐらい後に、青山さんがどんな踊りを見せてくれるか、楽しみなんですよね~。